クーラント自動希釈・浄化装置 · 基礎知識
クーラントの濃度管理の基本|濃すぎ・薄すぎの不具合、測り方、自動補正の範囲
水溶性クーラントの濃度が濃すぎ・薄すぎで起きる不具合、タンクの中で濃度が動く理由、屈折計・自動測定・常時計測の違い、pHや液温など一緒に見たい指標を、中部クリーン・ハイダック・山本金属製作所などの公式の説明で整理します。
水溶性クーラントは、原液を水で薄めて使います。濃すぎても薄すぎても加工や作業環境に影響が出るため、決めた濃度の範囲に保つことが液管理の基本です。
このページでは、濃度管理で何が起きるのか、どう測るのか、どこまで自動にできるのかを、掲載メーカーの公式の説明をもとに整理します。
濃すぎ・薄すぎで起きること
各社の公式サイトには、濃度がずれたときの不具合がまとめて書かれています。表は、その記載を並べたものです。
| 濃度 | 公式に書かれている不具合 | 出典 |
|---|---|---|
| 濃すぎる | 発泡やべたつきによる作業環境の悪化、冷却性能の低下による工具温度の上昇 | 山本金属製作所 |
| 濃すぎる | 必要以上に原液を使い、皮膚炎の可能性も出る | ハイダック |
| 薄すぎる | 加工不良、腐敗、製品や加工機の錆 | 山本金属製作所 |
| 薄すぎる | 細菌が繁殖しやすくなり、摩耗が大きくなって工具の耐用年数が短くなる | ハイダック |
ハイダックは、最適な濃度は加工・材料・クーラントの種類で変わり、原則として5〜10%の値になると説明しています。実際の設定値は、使っている油剤のメーカーの推奨値に合わせてください。
タンクの中で濃度が動く理由
正しい濃度で補充しても、使っているうちにタンクの濃度は動きます。中部クリーンは、加工中に蒸発や付着で濃度が自然と上がるため、初期設定を低めにすると原液の使用量を減らせると説明しています。
- 水の蒸発:加工熱や室温で水だけが減り、濃度が上がる
- 持ち出し:ワークや切粉に付いて液が出ていき、液量が減る
- 補充のばらつき:手作業の希釈は、作る人や日によって濃度が変わる
- 異物の混入:浮上油やスラッジが混ざり、液の状態そのものが変わる
中部クリーンのFAQでは、水の蒸発を考えた濃度設定によって原液の使用量を半分にできると書かれています。濃度管理は、品質だけでなく原液の費用にも関わります。
濃度の測り方は3段階
濃度の測り方には、人が測る方法、装置が自動で測る方法、測った値を記録してデータで見る方法があります。
| 測り方 | 内容 | 公式の例 |
|---|---|---|
| 人が測る | 屈折計(糖度計)や試験紙で確認 | ハイダックは典型的な検査方法として屈折計を挙げる |
| 装置が自動で測る | 機械側の液を定期的に測り、補正する | 中部クリーン クーラントコントローラ(指定したタイミングで自動測定) |
| 常時計測して記録 | 濃度・pH・汚染度などをグラフで見る | 山本金属製作所 COOL-i(Brix測定範囲0〜30%、測定精度±0.5%) |
岩本工業の楽〜ラントは、糖度計での測定を不要とし、装置側に濃度を表示すると説明しています。ジャパンセパレーターのデジタル式は、ボタンで押した数値がそのまま液の濃度になるとしています。
濃度と一緒に見たい液の指標
濃度だけを見ていると、液の腐敗に気づくのが遅れます。各社は濃度とあわせて次の指標を見るよう説明しています。
- pH:山本金属製作所は、細菌が増えるとpHが下がり、さらに増えやすくなる悪循環になると説明。中部クリーンのコントローラはpH監視をオプションで追加できる
- 液温:COOL-iは液温を測り、温度は寸法のばらつきや細菌の増殖に関係すると説明
- 汚染度:COOL-iは汚染度を0〜100で表示
- 液量:中部クリーンのコントローラやハイダックのFCU 5000は液量・タンクレベルも監視
クール・テックは、液管理を濃度確認だけで行うと腐敗や臭気、持ち出しロスに対応しにくいとして、濃度とpHを同時に設定できるAquaBlend Proを出しています。
自動化の範囲を決める
どこまで自動にするかで、選ぶ装置が変わります。補充だけを自動にするのか、濃度の補正まで自動にするのか、記録まで残すのかを決めてください。
| 自動化の範囲 | 主な装置 | 公式の数値 |
|---|---|---|
| 希釈と補充 | 中部クリーン FKM・FAM、岩本工業 楽〜ラント、ME SYSTEMS | 楽〜ラントは同時接続40台程度まで |
| 濃度の補正 | 中部クリーン クーラントコントローラ、ハイダック FCU 5000・PCS 2000 | FCU 5000は最大10台、PCS 2000は最大5台 |
| 記録と見える化 | 山本金属製作所 COOL-i、ハイダック(デジタルダッシュボード) | COOL-iの記録頻度は1・5・10分から選択 |
山本金属製作所は、毎日20台の工作機械のクーラントを確認して紙に記録していた工場で、PCやタブレットでの確認・記録に切り替えた例を載せています。
装置を選ぶときは、設置の単位と導入のしかたも確かめてください。公式の記載を並べると、次のような違いがあります。
- 中部クリーンのクーラントコントローラは、工作機械1台ごとに設置が必要
- ハイダックのPCS 2000は、固定配管の代わりにフレキシブルホースで接続するため設置が早いと説明
- ハイダックのFCU 5000は、消費量と濃度のデータをTRGS 611に準拠した形で自動で記録
- 山本金属製作所のCOOL-iは、タンクにホースを差し入れるだけで設置でき、販売とレンタルの両方で使える
補充の手間と費用を数字でつかむ
濃度管理を自動にするかどうかは、今かかっている手間と原液の量を数字にすると判断しやすくなります。各社の公式サイトには、導入前後を比べた数字が載っています。
| メーカー | 公式に載っている数字 |
|---|---|
| 岩本工業 | 自社で切削液の補充に年間504時間かかっていたことが開発のきっかけ |
| 中部クリーン | 原液の使用量がドラム缶36本から18本に減った例 |
| ハイダック | 流体管理にかかる時間が最大78%短縮、コストが最大38%削減と説明 |
こうした数字は各社が示す例で、どの工場でも同じになるわけではありません。自社の補充時間と原液の購入量を1か月分記録しておくと、見積を比べるときの基準になります。
濃度管理を始めるときの手順
いきなり全台を自動にする前に、今の状態を数字で押さえると、必要な装置がはっきりします。
- 使っている油剤の推奨濃度を確認する
- 全台の濃度とpHを同じ日に測り、ばらつきを記録する
- 補充の頻度と1回の量、原液の月の使用量をまとめる
- ずれの原因が補充か、蒸発・持ち出しか、汚れかを切り分ける
- 補充の自動化か、濃度補正か、浄化かを決めて、デモや試用を相談する
原因が汚れにあるなら、希釈装置よりも先に浮上油回収やろ過を考えるほうが近道です。浄化の方式は別の記事で詳しく整理しています。
この記事に出てくるメーカー
- 中部クリーン株式会社希釈供給から濃度補正・浮上油まで
- クール・テック株式会社濃度とpHを同時に設定
- 株式会社ハイダック監視データ付きの自動補正
- 株式会社岩本工業多台数への一括自動供給
- ジャパンセパレーター株式会社0.1%単位のデジタル希釈
- ME SYSTEMS株式会社機械ごとに止められる集中供給
- 株式会社山本金属製作所濃度とpHを常時記録
参照元
よくある質問
クーラントの濃度は何%にすればいいですか?
使っている油剤の推奨値に合わせるのが基本です。ハイダックは、最適な濃度は加工・材料・クーラントの種類で変わり、原則として5〜10%と説明しています。
濃度を自動で測る装置はありますか?
あります。中部クリーンのクーラントコントローラは指定したタイミングで濃度を自動測定して補正し、山本金属製作所のCOOL-iは濃度・pH・汚染度などを常時計測して記録します。ハイダックのFCU 5000とPCS 2000も濃度を継続的に監視します。
濃度管理で原液の使用量は減りますか?
中部クリーンは、水の蒸発を考えた濃度設定で原液の使用量を半分にできると説明し、原液をドラム缶36本から18本に減らした例を載せています。結果は現場ごとに違うため、今の使用量を記録してから比べてください。
【用途別】クーラント自動希釈・浄化装置メーカーおすすめ3選
複数台の工作機械へ自動で希釈・供給し、機械ごとの濃度も直したいなら
中部クリーン株式会社
供給台数の目安1〜20台のFKMと、機械ごとに濃度を測って補正するクーラントコントローラ
FKMシリーズは混合槽350L・500Lで、供給台数の目安は1〜10台・1〜20台、希釈濃度1〜10%。FAMシリーズは設定濃度±0.5%以内とする。クーラントコントローラは工作機械1台ごとに置き、指定したタイミングで濃度を自動測定して補正し、液量も補給する。浮上油回収装置は試用機を1週間貸し出す(往復送料のみ負担)。
浮上油と細かい異物を取り、液の腐敗や臭いを減らしたいなら
株式会社スギノマシン
エアだけで動くマイクロバブル浄化。訪問デモと、液を送る浄化テストでレポートが返る
JCC-HMは直径1〜100µmのマイクロバブルで液中の油分や異物を浮かせて取る。動力はエアだけで電源不要、フィルタなどの消耗品も出ない。JCC-HM2は処理能力13L/min、タンク容量25L。担当者がデモ機を持参する浮上分離デモと、使用中の液30〜40L程度を送って実機で処理する浄化テストを案内し、結果をレポートにまとめて返す。
研削・研磨の細かいスラッジを、µm単位でろ過したいなら
濾過精工株式会社
不織布フィルターと特許の逆洗浄。2〜5µで99%の目安と、デモ機貸出・濾過テスト
精密クーラントろ過システムは不織布のフィルター・エレメントでスラッジを捕集する循環式で、2016年に特許を取得した逆洗浄で加工を止めずにフィルターを洗える。ろ過精度の目安は2〜5µで99%、1〜2µで86%(保証値ではない)。水溶性・油性の両方に使える。デモ機の現地貸出と、検体を預かっての濾過テストを実施し、粒度分布の測定結果とあわせて報告する。