3比較ハブ熱処理の受託加工会社

熱処理の受託加工会社 · 用途別

航空機・アルミ合金・超合金の熱処理を頼む|Nadcap・AMS規格・記録に対応する受託先【2026年版】

航空機部品や研究用の試料で、アルミ合金・マグネシウム合金の溶体化・時効や、インコネル・ハステロイなど超合金の真空熱処理を、規格どおりの記録つきで頼みたいときの受託先を整理します。Nadcap・AS9100D・特殊工程承認の確認点、温度記録、炉の寸法まで公式サイトの記載からまとめました。

公開 2026年10月1日

航空機の部品や研究用の試料の熱処理では、硬さが出るだけでは足りません。決められた規格の温度と時間で処理したことを、記録で示す必要があります。

このページでは、アルミ合金や超合金の熱処理を、規格と記録に対応して受託している会社をまとめます。

熱処理は、処理の後から正しく行われたかを確かめにくい工程です。そのため航空宇宙の分野では、工程そのものを認定する仕組みが使われています。

航空宇宙の熱処理で求められること

航空宇宙向けの熱処理では、処理の結果よりも、処理の過程を管理していることが問われます。発注元から求められることが多い項目を並べます。

項目内容
特殊工程の認定Nadcapなど、熱処理工程を第三者が認定する仕組み
品質マネジメントAS9100、JIS Q 9100など航空宇宙向けの規格
処理規格AMS(航空宇宙材料規格)など、材質ごとの処理条件
炉の管理温度の均一性、計器の校正(AMS 2750など)
記録温度チャート、処理記録の提出

どの認定や規格が必要かは、発注元の調達仕様で決まります。受託会社に問い合わせる前に、指定されている規格の名前と版を確認してください。

アルミ合金・マグネシウム合金の規格熱処理

アルミ合金は、溶体化して急冷した後、時効で強さを出す熱処理が基本です。T4やT6などの記号で、処理の組み合わせが決まります。

記号処理の内容
T4溶体化処理の後、自然時効
T5高温加工から冷却後、人工時効
T6溶体化処理の後、人工時効
T7溶体化処理の後、過時効(安定化)

TANIDAのかほく工業試験所は、軽合金の熱処理をメインにT4・T5・T6・T7に対応し、AMS 2771(アルミ合金)とAMS 2768(マグネシウム合金)を規格例に挙げています。清水熱処理もアルミのT4・5・6を営業品目に、渡辺製作所もアルミ合金の熱処理を挙げています。

Nadcap認定の受託先

今回調査した25社のうち、熱処理工程でNadcap認定を取得していると公式に書いているのは、TANIDA(かほく工業試験所)の1社でした。公式の記載を整理します。

  • 熱処理ページで「Nadcap認定を取得」と記載し、サイトにAS9100Dのロゴを掲示。ただしリンク先の認定書(Heat Treating)は有効期限2022年11月30日のもの
  • すべての熱処理に熱処理記録を提供。熱処理後の温度チャートを提出可能
  • 最小ロット1個から。試料、試験片、量産品に対応
  • 最大ワークサイズ1,500×1,500×1,000mm、対応温度20℃〜800℃(要確認)
  • 温度均一性±5.5℃、溶体化後の焼入れ遅れ時間13秒

焼入れ遅れ時間は、炉から出して冷却液に入れるまでの時間で、アルミ合金の強さに影響します。公式に数字を出している会社は多くないので、比べるときの手がかりになります。

超合金・耐熱合金の真空熱処理

エンジン部品などに使うインコネルやハステロイは、真空中で溶体化や時効を行います。公式に対応を書いている会社です。

会社公式の記載
ファインテックインコネル718・X-750、ハステロイ、Ni基単結晶超合金。AMS2750、AMS2759等に対応。真空炉915×915×1220mm・1350kg
武藤工業インコネル718の熱処理。真空熱処理の材質にインコネル600/718/750Xなど。AM材(積層造形品)の後処理にも対応。処理時間が長くなるため短納期は条件次第と記載
三和熱処理ニッケル合金の焼なましや溶体化。耐食耐熱用超合金の1000℃を超える処理
渡辺製作所真空熱処理で析出硬化処理・溶体化処理

ファインテックは、川崎重工業ガスタービン事業部と島津製作所航空機事業部の特殊工程承認を受けたと公式に書いています。発注元が特定の機体メーカーやエンジンメーカーの承認を求める場合は、その承認を持つ会社かを確認してください。

認証の有効性を確かめる

認証や承認は、取得した後に更新・返上されることがあります。公式サイトの記載が最新かを、発注前に確かめてください。

  • ファインテックは、JISQ9100を2015年に取得し、2021年1月に返上したと公式に書いている
  • 認定の対象となる工程(熱処理か、溶接や検査か)を確認する
  • 認定の対象となる事業所を確認する
  • 必要なら認定書の写しを依頼する

TANIDAのかほく工業試験所は公式サイトに認定書を見るためのリンクを設けていますが、リンク先のNadcap認定書は2022年11月30日が有効期限で、住所も金沢市の旧所在地のものです。Nadcapの認定はeAuditNetの公開リスト(QML)で現在の状況を確かめられるので、発注前に照合してください。認証の範囲と有効期限は、見積の段階で書面で確認しておくと安心です。

研究・試験用の試料を処理したいとき

大学や研究所、材料開発の部門では、規格の処理条件と同じ条件で試料を処理したいことがあります。少量で、記録が必要な点は航空宇宙と同じです。

会社研究・試験向けの記載
TANIDA(かほく工業試験所)試料、試験片、量産品まで最小ロット1個から。温度チャートを提出可能
丸眞熱処理工業試作コンビ二工房。特殊な温度帯での単独処理や長時間の貸切チャージにも対応
三和熱処理成分非公開の実験材料も指示に従い処理

条件を変えて何本も処理する場合は、炉の貸切になることがあります。処理の本数と条件の数を先に整理して相談してください。

アルミ合金の熱処理で起きやすいこと

アルミ合金の溶体化処理は、高温から急冷するため、薄い部品や長い部品は歪みやすくなります。また、炉から出して冷やすまでの時間が長いと、強さが出にくくなります。

起きやすいこと関係する要素
歪み・反り急冷時の冷え方の差、部品の吊り方
強さが出ない焼入れ遅れ時間、炉内の温度のむら
規格から外れる温度の均一性、時効の温度と時間

TANIDAのかほく工業試験所は、溶体化後の焼入れ遅れ時間を13秒、温度均一性を±5.5℃と公表し、別途歪取りも相談できると書いています。歪取りが必要な部品は、熱処理と同じ会社で続けて行えるかを確かめてください。

三和熱処理は、300〜400℃台のアルミ合金の低温処理にも対応すると書いています。アルミの焼なましなど規格を伴わない処理なら、一般の熱処理会社にも相談できます。

発注前に用意する情報

規格熱処理の見積には、通常の熱処理より多くの情報が必要です。次の項目をそろえて送ってください。

  1. 材質と、材料の規格(AMSなど)・ミルシート
  2. 指定された処理規格の名前と版、処理記号(T6など)
  3. 必要な認定・承認(Nadcap、発注元の特殊工程承認など)
  4. 提出してほしい記録(温度チャート、処理記録、硬さ・導電率など)
  5. 寸法・重量・数量と、歪取りの要否

記録の様式が発注元で決まっている場合は、その様式も添えます。受託会社の標準の記録で足りるかを、最初に確認しておくと手戻りがありません。

規格対応の熱処理先の選び方

認定と材質の組み合わせで、相談先はかなり絞られます。今回の25社の公式情報から整理します。

必要なこと最初の相談先の例
アルミ・マグネ合金をNadcap認定の工程でTANIDA(かほく工業試験所)
インコネル・ハステロイの真空熱処理をAMS規格でファインテック
インコネル718を小ロット・AM材の後処理で武藤工業
アルミのT6を一般部品として清水熱処理、渡辺製作所

認定が必須でない一般の部品なら、選択肢は広がります。必要な認定と記録の水準を発注元と確認し、過不足のない会社を選んでください。

認定を持つ会社は限られるため、量産が決まってから探すと日程が間に合わないことがあります。試作の段階から量産を見据えて、同じ会社で記録を積み重ねておくのが確実です。

また、認定の工程で処理した記録は、部品の納入後も一定期間の保管を求められることがあります。記録の保管期間と、後から写しを出してもらえるかも、契約の前に確認してください。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

Nadcap認定の熱処理会社はどこですか?

今回調査した25社のうち、熱処理工程でNadcap認定を公式に記載しているのはTANIDA(かほく工業試験所)でした。アルミ合金・マグネシウム合金のT4〜T7を、最小ロット1個から受けています。

インコネルの熱処理を頼める会社はありますか?

ファインテックはインコネル718・X-750やハステロイの真空熱処理をAMS規格に沿って行うと公式に書いています。武藤工業もインコネル718の熱処理を挙げています。

熱処理の温度記録はもらえますか?

会社によります。TANIDAのかほく工業試験所は、すべての熱処理に熱処理記録を提供し、温度チャートを提出できると公式に書いています。必要な記録は見積の段階で伝えてください。

【用途別】熱処理の受託加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

金型や試作部品を、1個から日数の見通しを持って焼入れしたいなら

アイキン熱処理工業株式会社

FAQで「1個からご対応」。真空焼入れは中1営業日〜、プラズマ窒化は中2営業日、ISO9001/14001

FAQで試作品・小ロットについて「はい、1個からご対応いたします」と答え、試作段階の条件出しや量産前の確認処理も受けると書いている。標準納期の目安は真空焼入れ+低温焼戻し2回が中1営業日、プラズマ窒化が中2営業日と処理ごとに公開。真空炉は600W×600H×1,000L・500kgなど、素形材用のバッチ炉は1,200W×900H×2,850L。ISO9001とISO14001を取得。

アイキン熱処理工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型ギヤや長いシャフトの、必要な部分だけを硬くしたいなら

富士高周波工業株式会社

ギヤφ4,000mm・7.0t、シャフト6,000mm。1〜100,000ヶ/月、標準納期3営業日、ISO9001

高周波焼入れの対応寸法をギヤ直径〜φ4,000mm・重量7.0t、シャフト直径〜φ400mm・長さ〜6,000mm(横焼)、レール幅〜300mm・長さ〜6,000mmと部品形状ごとに公開。受託加工は対応ロット数1〜100,000ヶ/月、標準納期は高周波事業部3営業日、レーザ事業部2営業日。立会試作やオンライン立会試作、無料技術相談もある。ISO9001を取得。

富士高周波工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

航空機・研究用のアルミ合金を、規格どおりの記録つきで熱処理したいなら

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)

Nadcap認定を掲げ、T4〜T7を最小ロット1個から。1,500×1,500×1,000mm、温度チャート提出可

かほく工業試験所(KILT)の熱処理ページで「Nadcap認定を取得」と書き、サイトにAS9100Dのロゴを掲示(リンク先のNadcap認定書は有効期限2022年11月30日のもので、現在の認定は要確認)。軽合金をメインにT4・T5・T6・T7に対応し、AMS 2750・AMS 2771(アルミ合金)・AMS 2768(マグネシウム合金)を規格例に挙げる。最小ロット1個から受け、すべての熱処理に熱処理記録を提供。最大ワークサイズは1,500×1,500×1,000mm、温度均一性±5.5℃、焼入れ遅れ時間13秒。

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

自社の部品に合う熱処理の受託先を、無料で相談する

部品の材質(鋼種)・寸法・重量、必要な処理(または目的: 硬くしたい・軟らかくしたい・歪みを抑えたいなど)、硬さと硬化層深さの指定、数量(試作・量産)、希望納期、納入先の認証や記録の条件を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、試作や見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。

無料で相談する

関連記事