熱処理の受託加工会社 · 用途別
熱処理を1個から試作で頼む|受けてくれる会社・納期の目安・量産への移り方【2026年版】
熱処理を1個から試作で受けている会社を、公式サイトの記載から整理します。1個でも割高にしないための方法、試作で確かめる項目、公式に出ている納期の目安、試作から量産へ移るときの注意点、図面がない段階で相談できる会社までまとめました。
新しい部品の熱処理は、図面の上だけでは決めきれないことが多くあります。狙いの硬さが出るか、歪みがどれだけ出るかは、実際に1個処理してみて初めてわかります。
このページでは、1個から試作を受けている会社と、試作から量産へ進む手順をまとめます。
掲載25社のうち、1個・1点・一品物・単品からの受託を公式に明記しているのは12社でした。会社ごとに得意な処理が違うので、処理の種類から順に当たっていくと見つけやすくなります。
1個からの受託を明記している会社
公式サイトで1個からの受託をはっきり書いている会社を、処理の種類ごとに並べます。言い回しは会社ごとに違うので、公式の記載に近い形で載せています。
| 主な処理 | 会社 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| 真空焼入れ・プラズマ窒化 | アイキン熱処理工業 | FAQで「はい、1個からご対応いたします」 |
| 真空・浸炭・窒化・高周波ほか | 武藤工業 | 1個から短納期で多品種 |
| 真空焼入・浸炭・μ高周波 | 丸眞熱処理工業 | 試作コンビ二工房で1個から |
| 高周波ほか多種 | 横浜高周波工業 | 「1個からでもOK」、1個単位の極小ロット |
| 高周波・レーザ焼入れ | 富士高周波工業 | 対応ロット数1〜100,000ヶ/月 |
| 高周波焼入れ | 熱研 | 単品1個から量産品まで |
| アルミ合金のT4〜T7 | TANIDA(かほく工業試験所) | 最小ロット1個から |
このほか、栗山熱処理は一点物・試作品も受付、東洋高周波工業は1点もの、西田和髙周波と東海高周波は一品物、清水熱処理は単品加工・小ロット加工も受けると書いています。処理の種類が合う会社から問い合わせてください。
試作の費用はどう考えるか
1個の熱処理は、量産の1個あたりより高くなるのが普通です。炉を1回動かす費用と、条件出しの手間が、数量に関係なくかかるためです。
- 抱き合わせ処理: 丸眞熱処理工業は浸炭をほかの依頼と同じ炉で処理し、個単価で対応すると記載
- 小型炉の利用: 丸眞熱処理工業は真空炉のうち1基が有効寸法W220×L320×H220で、少量や小さい製品の試作に向くと説明
- 特急の追加料金: アイキン熱処理工業は特急対応に別途特急料金がかかると記載
- 即日見積: 武藤工業は即日見積を掲げる
試作の費用を抑えるには、急ぎでなければ標準の日程に合わせ、同じ材質・同じ処理の部品をまとめて出すのが効果的です。丸眞熱処理工業は浸炭の有効硬化層深さ1.0mm程度を毎日、1.5mm程度を毎週末に処理しており、この日程に合わせれば待ち時間も読みやすくなります。
試作の納期の目安
試作の日程を組むには、処理ごとの標準納期が公式に出ている会社が便利です。公開されている数字を並べます。
| 会社 | 処理 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| アイキン熱処理工業 | 真空焼入れ+低温焼戻し2回 | 中1営業日 |
| アイキン熱処理工業 | 無酸化焼入れ+焼戻し | 中1営業日 |
| アイキン熱処理工業 | プラズマ窒化 | 中2営業日 |
| 富士高周波工業 | 高周波焼入れ | 標準納期3営業日 |
| 富士高周波工業 | レーザ焼入れ | 標準納期2営業日 |
| ファインテック | SKD11の真空焼入・焼戻 | 最短翌日出荷 |
いずれも、ワークの大きさや数量、処理条件で前後すると書かれています。運送の日数を足して、余裕をもった日程を組んでください。
試作で確かめる5つの項目
試作の目的は、量産の条件を決めることです。処理が終わった1個で、次の5つを確かめます。
- 硬さ: 指定の範囲に入っているか、測る位置で差がないか
- 硬化層深さ: 浸炭・高周波・窒化なら、断面で深さを確認
- 寸法変化と歪み: 熱処理前に測った値と比べる
- 割れ: 角や穴の縁を中心に、必要なら磁粉探傷などで確認
- 外観: 変色、酸化、スケールの有無
硬化層深さを断面で測ると、その1個は使えなくなります。確認用にもう1個つけるか、同じ材質の試験片を一緒に処理してもらうと、本番の部品を残せます。
富士高周波工業は、表面硬度・有効硬化層深さ・金属組織などを検査する設備と検査員を持つと書いています。試作の検査をどこまで社内でしてもらえるかも、見積の段階で確認してください。
図面がない段階でも相談できる
開発の初期は、図面も硬さの指定も固まっていないことがあります。その段階でも相談を受けると公式に書いている会社があります。
- アイキン熱処理工業: 図面がない場合は寸法・形状・鋼種・規格硬さを知らせてほしいとFAQに記載。処理の種類や硬さが不明でも提案する
- 熱研: 「この部品焼入れできる?」という段階からの相談を受ける
- 富士高周波工業: 無料技術相談、立会試作、オンライン立会試作を用意
- 丸眞熱処理工業: 試作コンビ二工房で、開発・研究向けに多様な条件に対応
相談のときは、部品の用途と、壊れ方や摩耗の様子を伝えてください。目的がわかれば、受託会社は処理の候補と、試作で比べる条件を提案できます。
条件を変えて何度か試すなら
研究や開発では、温度や時間を変えて何回か処理し、結果を比べたいことがあります。この場合は、処理条件を細かく指定できるかと、記録を出せるかが大切です。
| 会社 | 公式の記載 |
|---|---|
| 丸眞熱処理工業 | 特殊な温度帯での単独処理や長時間の貸切チャージにも対応 |
| TANIDA(かほく工業試験所) | 熱処理後の温度チャートを提出可能。試料・試験片から受ける |
| 三和熱処理 | 成分非公開の実験材料も指示に従い処理 |
条件を変える試作は、炉を貸し切る形になることがあり、1回あたりの費用は上がります。比べたい条件の数を先に決めて、まとめて相談すると日程と費用を組みやすくなります。
試作から量産へ進むときの注意
試作で条件が決まったら、量産でも同じ結果が出る体制かを確かめます。試作と量産で会社や炉が変わると、条件の出し直しが必要になることがあります。
- 試作と同じ炉で量産できるか(小型炉での試作は特に確認)
- 月産数を受けられる処理能力があるか
- ロットごとの検査の範囲と記録の様式
- 材料のロットが変わったときの確認方法
アイキン熱処理工業は、試作の処理結果をもとに量産条件を提案できるとFAQに書いています。富士高周波工業は1個から月10万個までのロットを受けると公式に書いており、試作と量産を同じ会社で通せます。
試作の依頼書に書いておくこと
試作の依頼書は、量産の発注書より情報が少なくなりがちです。それでも、次の項目があれば受託会社は条件を決められます。
| 項目 | 試作で特に大事な理由 |
|---|---|
| 材質と、材料の入手先 | 同じ鋼種でもロットで硬さが変わることがある |
| 狙いの硬さと許容範囲 | 合否の基準がないと、結果を判断できない |
| 測ってほしい項目 | 硬さだけか、硬化層深さや組織までか |
| 何個処理して何個壊すか | 断面検査に使う数を先に決める |
| 次に比べたい条件 | 2回目以降の試作の日程を組みやすい |
アイキン熱処理工業はFAQで、同じ材質でもロットによって硬さが違うことがあると説明しています。試作に使った材料と量産で使う材料が同じ入手先かも、メモに残しておいてください。
試作の結果は、硬さの測定値、寸法の変化量、写真をまとめて社内に残します。量産の会社を相見積で決めるときに、同じ条件を示せるからです。
まず1社に送るなら
処理の種類が決まっていれば、その処理を得意とする会社に1個から相談するのが近道です。決まっていなければ、扱う処理の多い会社に目的を伝えてください。
| 状況 | 最初の相談先の例 |
|---|---|
| 金型・治具の真空焼入れ、窒化 | アイキン熱処理工業 |
| 部分だけ硬くしたい | 富士高周波工業、横浜高周波工業、熱研 |
| 試験片で条件を比べたい | 丸眞熱処理工業 |
| アルミ合金の溶体化・時効 | TANIDA(かほく工業試験所) |
| 処理を決めきれない | 武藤工業 |
1個の結果を見てから量産の会社を決めても遅くありません。試作の段階で、硬さと歪みのデータを手元に残しておくことが、後の相見積でも役に立ちます。
この記事に出てくる会社
- アイキン熱処理工業株式会社金型・試作の真空焼入れを1個から
- 株式会社ファインテック超合金・SKD11の真空熱処理
- 富士高周波工業株式会社大物の部分焼入れ(高周波・レーザ)
- 栗山熱処理浸炭焼入れの一点物・急ぎ
- 株式会社丸眞熱処理工業試験・試作の1個処理
- 武藤工業株式会社処理の種類が多い1個からの相談先
- 株式会社熱研高周波焼入れの単品
- 西田和髙周波株式会社難しい形状の高周波焼入れ
- 有限会社三和熱処理大物の焼なまし・固溶化
- 清水熱処理株式会社浸炭とアルミT6を単品から
- TANIDA株式会社(かほく工業試験所)アルミ合金のNadcap熱処理
- 東海高周波株式会社長尺シャフトの高周波焼入れ
参照元
よくある質問
熱処理の試作は1個から頼めますか?
頼めます。今回調査した25社のうち12社が、1個・1点・一品物・単品からの受託を公式に明記しています。アイキン熱処理工業、武藤工業、丸眞熱処理工業、横浜高周波工業、TANIDA(かほく工業試験所)などです。
試作の熱処理は何日くらいかかりますか?
公式の目安では、アイキン熱処理工業の真空焼入れが中1営業日から、富士高周波工業の高周波焼入れが標準3営業日、ファインテックのSKD11の真空焼入・焼戻が最短翌日出荷です。運送の日数も加えて計画してください。
1個だけでも費用はかかりますか?
炉を動かす費用がかかるため、1個あたりは量産より高くなりやすくなります。丸眞熱処理工業は浸炭を抱き合わせ処理にして個単価で対応すると書いています。
【用途別】熱処理の受託加工会社おすすめ3選
金型や試作部品を、1個から日数の見通しを持って焼入れしたいなら
アイキン熱処理工業株式会社
FAQで「1個からご対応」。真空焼入れは中1営業日〜、プラズマ窒化は中2営業日、ISO9001/14001
FAQで試作品・小ロットについて「はい、1個からご対応いたします」と答え、試作段階の条件出しや量産前の確認処理も受けると書いている。標準納期の目安は真空焼入れ+低温焼戻し2回が中1営業日、プラズマ窒化が中2営業日と処理ごとに公開。真空炉は600W×600H×1,000L・500kgなど、素形材用のバッチ炉は1,200W×900H×2,850L。ISO9001とISO14001を取得。
大型ギヤや長いシャフトの、必要な部分だけを硬くしたいなら
富士高周波工業株式会社
ギヤφ4,000mm・7.0t、シャフト6,000mm。1〜100,000ヶ/月、標準納期3営業日、ISO9001
高周波焼入れの対応寸法をギヤ直径〜φ4,000mm・重量7.0t、シャフト直径〜φ400mm・長さ〜6,000mm(横焼)、レール幅〜300mm・長さ〜6,000mmと部品形状ごとに公開。受託加工は対応ロット数1〜100,000ヶ/月、標準納期は高周波事業部3営業日、レーザ事業部2営業日。立会試作やオンライン立会試作、無料技術相談もある。ISO9001を取得。
航空機・研究用のアルミ合金を、規格どおりの記録つきで熱処理したいなら
TANIDA株式会社(かほく工業試験所)
Nadcap認定を掲げ、T4〜T7を最小ロット1個から。1,500×1,500×1,000mm、温度チャート提出可
かほく工業試験所(KILT)の熱処理ページで「Nadcap認定を取得」と書き、サイトにAS9100Dのロゴを掲示(リンク先のNadcap認定書は有効期限2022年11月30日のもので、現在の認定は要確認)。軽合金をメインにT4・T5・T6・T7に対応し、AMS 2750・AMS 2771(アルミ合金)・AMS 2768(マグネシウム合金)を規格例に挙げる。最小ロット1個から受け、すべての熱処理に熱処理記録を提供。最大ワークサイズは1,500×1,500×1,000mm、温度均一性±5.5℃、焼入れ遅れ時間13秒。
自社の部品に合う熱処理の受託先を、無料で相談する
部品の材質(鋼種)・寸法・重量、必要な処理(または目的: 硬くしたい・軟らかくしたい・歪みを抑えたいなど)、硬さと硬化層深さの指定、数量(試作・量産)、希望納期、納入先の認証や記録の条件を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、試作や見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。