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金型・工具鋼の真空焼入れを頼む|SKD11・SKD61・ハイスの受託先と確認点【2026年版】

SKD11・SKD61などのダイス鋼やハイス鋼の金型・工具・治具を、真空焼入れで受託している会社を公式サイトの記載から整理します。真空炉の有効寸法、標準納期、サブゼロや焼戻し回数の指定、窒化やPVDとの組み合わせ、歪みを抑える処理まで、発注前の確認点をまとめました。

公開 2026年10月1日

金型や工具の熱処理は、硬さだけでなく、歪みの小ささと表面のきれいさが求められます。そのため、真空中で加熱してガスで冷やす真空焼入れが多く使われます。

このページでは、ダイス鋼やハイス鋼の真空焼入れを受託している会社と、頼むときの確認点をまとめます。

真空炉の大きさや焼戻しの回数、後の表面処理まで、金型ならではの指定があります。公式の記載から、会社選びに使える数字を拾いました。

真空焼入れが金型に向く理由

真空焼入れは、酸素のない状態で加熱するため、表面が酸化しにくく、脱炭も起きにくい処理です。仕上げ加工を済ませた金型や精密部品にも使えます。

観点真空焼入れ雰囲気炉の焼入れ
表面酸化・脱炭が起きにくい雰囲気の管理で酸化を抑える
冷却ガス冷却(加圧で冷却速度を上げる)油冷却が主流
向く材質ダイス鋼、ハイス鋼、ステンレス機械構造用鋼、浸炭用鋼
向く部品金型、工具、精密部品歯車、軸、量産部品

岡谷熱処理工業の真空熱処理炉は窒素ガスによる加圧冷却(6バール)と公式に書いています。ガスの圧力を上げると冷却が速くなり、厚い金型でも硬さを出しやすくなります。

真空焼入れを受託している会社と炉の寸法

真空炉の有効寸法は、入れられる金型の大きさの上限です。公式に寸法を公開している会社を並べます。

会社真空炉の有効寸法(公式)重量など
ファインテック915×915×1220mm(HV9炉)最大積載1350kg、真空炉5台
丸眞熱処理工業W750×L1125×H650650kg(2台)、ほかに小型炉
フクネツ最大700W×1200L×760H(処理可能寸法760W×760H×1200L以下)200kg以下、真空焼入炉6台(うち対流加熱式の最新炉2台)
アイキン熱処理工業600W×600H×1,000L各500kg(4基)
岡谷熱処理工業W600×D900×H6001,200℃・加圧冷却
武藤工業W600×H600×L900mm数十g〜100kgほどが中心

寸法が近くても、重量の上限は炉ごとに違います。大きな金型は、寸法と重量の両方を伝えて可否を確認してください。

材質ごとに対応を確かめる

真空焼入れの条件は、鋼種で大きく変わります。公式サイトで真空熱処理の対応材質を挙げている例です。

  • ファインテック: SKD11のほか、インコネル718・X-750、ハステロイ、Ni基単結晶超合金
  • 武藤工業: S45C、SCM、SUS630、SKD11、SKH51〜57、インコネル600/718/750X など
  • アイキン熱処理工業: SKD11相当種、SKD61相当種(真空炉ごとに最適鋼種を記載)。金型用鋼の相当種対応表を公開
  • 丸眞熱処理工業: 高速度工具鋼(ハイス鋼)、ダイス鋼、ステンレス等
  • フクネツ: 真空炉でダイス鋼やハイスの焼入を短納期で届けると記載

海外の鋼材や商品名で呼ばれる鋼種は、JIS相当の鋼種名に置き換えて伝えると話が早く進みます。アイキン熱処理工業の相当種対応表のように、受託会社の資料で確かめる方法もあります。

焼戻しの回数とサブゼロを指定する

ダイス鋼やハイス鋼は、焼戻しを2回以上行うのが一般的です。焼入れ後に残る不安定な組織を減らし、寸法の変化を抑えるためです。

指定目的公式の記載の例
低温焼戻し2回高い硬さを保ったまま安定させるアイキン熱処理工業 真空焼入れ+低温焼戻し2回 中1営業日
高温焼戻し2回硬さを少し下げ、耐熱性や靭性を上げるアイキン熱処理工業 中1〜2営業日
サブゼロ処理残留オーステナイトを減らし、経年の寸法変化を抑える武藤工業、岡谷熱処理工業(-150℃の装置3基)、フクネツ

焼戻しの温度は、金型の使い方で決めます。プレス型か、ダイカスト型か、樹脂型かを伝えれば、受託会社が硬さとのバランスを提案できます。

納期の目安と急ぎのとき

金型の修理や型替えでは、熱処理の日数がそのまま生産の止まる日数になります。真空焼入れの日数を公式に出している会社があります。

  • アイキン熱処理工業: 真空焼入れ+低温焼戻し2回で中1営業日、高温焼戻し2回で中1〜2営業日
  • ファインテック: SKD11の真空焼入・焼戻は最短翌日出荷。5台の真空炉で短納期が可能と記載
  • フクネツ: 真空炉でダイス鋼やハイスの焼入を短納期で届けると記載

アイキン熱処理工業は、熱処理は温度と時間の管理が品質を左右するため炉の設定時間は短縮できないとFAQで説明しています。急ぎのときは、処理そのものではなく、休日対応などで早められるかを相談してください。

歪みを抑えたい精密な型

精密な金型や部品は、焼入れ後の歪みを研削で取りきれないことがあります。歪みの小ささを特長にしている会社の処理を検討してください。

会社公式の記載
岡谷熱処理工業歪み極小熱処理技術(G処理)。歪み修正装置 計9基
アイキン熱処理工業窒化は処理温度が低いため変形が極めて少ないとFAQで説明
栗山熱処理ソルトバス焼入れで歪みが油焼入れの1/3まで低減と記載

歪みの許容値と、測る基準面を図面に書いておくと、受託会社は並べ方や冷却の条件を工夫できます。過去に歪みが出た金型があれば、その記録も添えてください。

窒化やコーティングと組み合わせる

金型は、焼入れの後に窒化やPVDコーティングで表面をさらに強くすることがあります。同じ会社で続けて処理できれば、運搬の手間と日数が減ります。

  • 岡谷熱処理工業: 真空熱処理、PVDコーティング(イオンプレーティング)、ラスター窒化、精密ショットピーニング、研磨
  • 朝日熱処理工業: 真空熱処理(V-TECH)、各種窒化、PVD・DLCコーティング
  • アイキン熱処理工業: 真空焼入れとプラズマ窒化(イオン窒化)
  • 丸眞熱処理工業: 真空焼入れのほか、ガス軟窒化・コーティング等の表面処理

窒化やコーティングは焼戻し温度より高い温度で行うと、焼入れの硬さが下がることがあります。後工程の予定を最初に伝え、焼戻し温度を合わせてもらってください。

金型の熱処理でつまずきやすい点

金型の熱処理で後から困る原因は、発注時の情報不足であることが多くあります。よくある例と、事前にできる対策を並べます。

起きたこと原因の例事前の対策
硬さが出ない鋼種の伝え違い、厚すぎて冷え切らない鋼種と最大肉厚を正確に伝える
寸法が変わり組めない削り代が足りない、焼戻し不足削り代を残し、焼戻し回数を指定
使用中に割れる鋭い角、焼戻し温度が合わないR付けと、型の用途を伝える
窒化後に硬さが下がる窒化温度が焼戻し温度より高い後工程の予定を最初に伝える

どれも、受託会社に情報が届いていれば避けられるものです。型の種類、使う機械、過去の不具合を一緒に伝えると、処理条件の提案が具体的になります。

金型の熱処理を出す前の点検表

発注前に次の点を確かめておくと、見積と処理がスムーズに進みます。

  1. 鋼種(相当種でも可)と、型の種類(プレス・ダイカスト・樹脂など)
  2. 寸法と重量。真空炉の有効寸法に収まるか
  3. 狙いの硬さ(HRC)と、焼戻しの回数・サブゼロの要否
  4. 歪みの許容値と、熱処理後の研削・放電加工の予定
  5. 窒化やPVDなど後工程の有無
  6. 希望納期と、急ぎの場合の休日対応の可否

この6点がそろえば、受託会社は処理条件と日程を具体的に返せます。初めての会社には、1型だけ先に出して仕上がりを確かめるのが安全です。

型の更新や修理が定期的にあるなら、同じ会社に続けて出すことで、鋼種ごとの条件や過去の結果が蓄積されます。担当者が替わっても条件がぶれないよう、処理条件の記録を毎回もらっておくと安心です。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

SKD11の真空焼入れは何日でできますか?

ファインテックはSKD11の真空焼入・焼戻を最短翌日出荷、アイキン熱処理工業は真空焼入れ+低温焼戻し2回を中1営業日と公式に書いています。大きさや数量で前後します。

大きな金型でも真空焼入れできますか?

真空炉の有効寸法に収まれば可能です。ファインテックのHV9炉は915×915×1220mm・最大積載1350kg、丸眞熱処理工業はW750×L1125×H650・650kgの真空炉を持っています。

焼入れの後にPVDや窒化もまとめて頼めますか?

頼める会社があります。岡谷熱処理工業は真空熱処理からPVDコーティング、ラスター窒化まで、朝日熱処理工業は真空熱処理と窒化、PVD・DLCを扱っています。

【用途別】熱処理の受託加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

金型や試作部品を、1個から日数の見通しを持って焼入れしたいなら

アイキン熱処理工業株式会社

FAQで「1個からご対応」。真空焼入れは中1営業日〜、プラズマ窒化は中2営業日、ISO9001/14001

FAQで試作品・小ロットについて「はい、1個からご対応いたします」と答え、試作段階の条件出しや量産前の確認処理も受けると書いている。標準納期の目安は真空焼入れ+低温焼戻し2回が中1営業日、プラズマ窒化が中2営業日と処理ごとに公開。真空炉は600W×600H×1,000L・500kgなど、素形材用のバッチ炉は1,200W×900H×2,850L。ISO9001とISO14001を取得。

アイキン熱処理工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型ギヤや長いシャフトの、必要な部分だけを硬くしたいなら

富士高周波工業株式会社

ギヤφ4,000mm・7.0t、シャフト6,000mm。1〜100,000ヶ/月、標準納期3営業日、ISO9001

高周波焼入れの対応寸法をギヤ直径〜φ4,000mm・重量7.0t、シャフト直径〜φ400mm・長さ〜6,000mm(横焼)、レール幅〜300mm・長さ〜6,000mmと部品形状ごとに公開。受託加工は対応ロット数1〜100,000ヶ/月、標準納期は高周波事業部3営業日、レーザ事業部2営業日。立会試作やオンライン立会試作、無料技術相談もある。ISO9001を取得。

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3

航空機・研究用のアルミ合金を、規格どおりの記録つきで熱処理したいなら

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)

Nadcap認定を掲げ、T4〜T7を最小ロット1個から。1,500×1,500×1,000mm、温度チャート提出可

かほく工業試験所(KILT)の熱処理ページで「Nadcap認定を取得」と書き、サイトにAS9100Dのロゴを掲示(リンク先のNadcap認定書は有効期限2022年11月30日のもので、現在の認定は要確認)。軽合金をメインにT4・T5・T6・T7に対応し、AMS 2750・AMS 2771(アルミ合金)・AMS 2768(マグネシウム合金)を規格例に挙げる。最小ロット1個から受け、すべての熱処理に熱処理記録を提供。最大ワークサイズは1,500×1,500×1,000mm、温度均一性±5.5℃、焼入れ遅れ時間13秒。

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

自社の部品に合う熱処理の受託先を、無料で相談する

部品の材質(鋼種)・寸法・重量、必要な処理(または目的: 硬くしたい・軟らかくしたい・歪みを抑えたいなど)、硬さと硬化層深さの指定、数量(試作・量産)、希望納期、納入先の認証や記録の条件を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、試作や見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。

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