金属のレーザー加工の受託 · 基礎知識
レーザー切断とプラズマ・ガス溶断・シャーリングの違い|板厚と精度で工法を選ぶ【2026年版】
金属板を切る方法には、レーザー切断のほかにプラズマ切断、ガス溶断、シャーリングがあります。掲載各社が公式に書いている板厚の使い分けと精度の違い、金型が要らないレーザーの利点、工法を決めかねたときの頼み方を整理します。
金属の板から部品の形を切り出す方法は、レーザーだけではありません。厚い鋼板ではガス溶断やプラズマ切断が使われ、まっすぐ切るだけならシャーリングもあります。
どの工法が合うかは、板厚と求める精度、切断面の見た目で決まります。このページでは、複数の工法を持つ掲載各社の公式の記載をもとに、使い分けの目安を整理します。
レーザー切断が向く部品と、ほかの工法が向く部品
レーザーは細い光で切るため、切断幅が狭く、穴や曲線の多い形を図面どおりに出しやすい工法です。一方で、板が厚くなるほど速度とコストの面でほかの工法が有利になります。
- レーザーが向く: 穴や切欠きが多い部品、曲線の多い意匠品、切り文字、薄板から中厚板の精密部品
- プラズマが向く: 中厚板を速く切りたい部品。坂元鋼材は特に14〜28ミリ厚のレンジで高い生産性があると書いています
- ガス溶断が向く: 極厚の鋼板。坂元鋼材は特に22ミリ以上で使い、キョウシャーはガス溶断機で鉄を板厚120mmまで切ります
- シャーリングが向く: 四角い板をまっすぐ切るだけの部品
どの工法でも切れる板厚の部品では、精度と切断面の要求で選び分けることになります。迷う場合は、複数の工法を持つ会社に図面を見てもらうのが早道です。
一つの製品に厚い板と薄い板が混ざる場合も、工法を分けた方が安くなることがあります。部品ごとに板厚を書いた部品表を添えると、加工会社が工法を割り振りやすくなります。
レーザーとプラズマの違いを公式の比較表で見る
都ステンレス工業は、レーザー加工とプラズマ加工の違いを表で公開しています。主な項目をまとめると次のとおりです。
| 項目 | レーザー | プラズマ |
|---|---|---|
| 切断溝幅 | 狭いので精密切断に最適 | レーザーに比べて広い |
| 加工の細かさ | ミリ単位の細かな加工が可能 | 数10ミリ単位の加工が可能 |
| 切断面の状態 | 金属光沢 | 熱で黒く変色 |
同社はステンレスを窒素で無酸化切断しており、切断面に独特の光沢が出ると説明しています。寸法公差は材質・板厚・寸法で変わると注記しているため、図面の公差を満たせるかは個別に確かめてください。
かねよしも、レーザー切断はシャーリング切断のように切断面がななめにならず、ガス切断やプラズマ切断に比べて寸法精度が高いと書いています。
同じ会社の中で板厚によって工法を分ける例
レーザーとガス・プラズマの両方を持つ会社は、板厚によって工法を振り分けています。公式に書かれている振り分けの目安は次のとおりです。
| 会社 | 公式に書かれている使い分け |
|---|---|
| 坂元鋼材 | レーザーは通常12ミリ厚以下。14〜25ミリ厚をレーザーで切りたい場合はレーザー指定で注文。ガス熔断は特に22ミリ以上 |
| 抱月工業 | レーザー切断はt3.2〜25mm。t19以上の材料はガス切断も用いる |
| キョウシャー | レーザーカット加工機(最大3000×6000mm)と、鉄を板厚120mmまで切るガス溶断機を持つ |
| かねよし | レーザーだけでなく、シャーリングやガス溶断も交えてコストダウンする方法に対応 |
坂元鋼材のように、通常12ミリ厚以下をレーザーで切り、14mm以上は指定しなければ別の工法に回る会社もあります。切断面の品質が必要な厚板は、レーザーで切ってほしいと注文時に書いてください。
反対に、後で機械加工で削る部品や、見えない場所に使う厚板は、ガス溶断やプラズマで十分な場合があります。用途を伝えたうえで、工法ごとの見積を出してもらうと比べやすくなります。
金型が要らないことが、試作と少量生産に効く
プレスで抜く場合は形ごとに金型が要りますが、レーザーはデータを変えるだけで形を変えられます。この違いが、1個の試作や設計変更の多い段階で効きます。
- レーザーテック: 金型が不要なので、急な設計変更にも対応できると記載
- かねよし: 作りたいと考えてから1個からすぐ作れること、金型製作費用がかからず少量でもローコストなことをレーザー切断の強みに挙げる
- 摂津金属工業所: プレス加工の金型作製は内容により30〜40日ほどかかるのに対し、3次元パイプレーザーはデータ入力数時間で加工に入れると説明
- ワークス松下: 金型を使わないため、1個から万単位まで対応すると記載
摂津金属工業所は、量産になるとプレス加工の方が加工賃が安く速いとも書いています。数量が増えたらプレスへの切り替えを相談できる会社だと、試作から量産まで同じ窓口で進められます。
掲載各社がレーザーで切れる板厚の上限
レーザーで切れる板厚の上限は、会社の設備で大きく違います。鉄(鋼板)とステンレスの上限を公式の表記どおりに並べると次のとおりです。
| 会社 | 鉄・鋼板 | ステンレス |
|---|---|---|
| 坂元鋼材 | 0.5〜40mm | 最大15ミリ厚 |
| 都ステンレス工業 | 記載なし | SUS304の切断実績0.1〜40mm |
| かねよし | SS30mm | トップは30mm、FAQは25mm |
| 抱月工業 | t3.2〜25mm | 記載なし |
| 共栄精機 | 22mm | 12mm |
| レーザーテック | 19mm | 0.05〜18mm |
鋼板では40mm、ステンレスでも40mmの実績を出す会社がある一方、薄板が中心の会社では上限が10〜20mm前後です。上限に近い板厚は、レーザーで切れても速度が落ちて費用が上がることがあるため、ガス溶断やプラズマとの見積比較も頼んでください。
同じ会社でもページによって上限の表記が分かれることがあります。かねよしのように複数の値が出ている場合は、材質と板厚を書いて可否を確かめるのが確実です。
工法を決めかねたときの頼み方
工法を自分で決めなくても、条件を伝えれば加工会社が選んでくれます。問い合わせのときは、次の順で情報をそろえてください。
- 材質と板厚を書く(例: SS400 t16、SUS304 t3)
- 外形の大きさと数量を書く
- 穴の径と数、公差が厳しい寸法を図面に示す
- 切断面の見た目が重要か、後で機械加工するかを書く
- レーザーで切ってほしい場合は、その旨を明記する
特に厚板は、工法によって見積額と日数が大きく変わります。レーザーとガス・プラズマの両方を持つ坂元鋼材や抱月工業に、工法の提案込みで見積を頼むのも一つの方法です。
見積を比べるときは、切断面の仕上げと後加工の範囲がそろっているかを確かめてください。工法が違えば、後でかかる手間も違うためです。
この記事に出てくる会社
- 抱月工業株式会社中厚板を大板から
- 株式会社かねよし首都圏で当日切断
- 株式会社共栄精機料金表を見て急ぎで
- 株式会社キョウシャー大判の切断を1個から
- 株式会社レーザーテックステンレス薄板の急ぎ
- 都ステンレス工業株式会社SUS厚板と特殊鋼
- 坂元鋼材株式会社鋼板の厚板を急ぎで
- 株式会社摂津金属工業所パイプの穴と切欠き
- ワークス松下薄物の微細穴と刻印
参照元
よくある質問
レーザー切断とプラズマ切断はどう違いますか?
都ステンレス工業の比較表では、レーザーは切断溝幅が狭く精密切断に向き、切断面は金属光沢になります。プラズマは切断溝幅が広く、切断面は熱で黒く変色すると説明しています。坂元鋼材はプラズマを特に14〜28ミリ厚のレンジで使っています。
厚い鋼板はレーザーとガス溶断のどちらで切りますか?
会社によって境目が違います。坂元鋼材はレーザーを通常12ミリ厚以下で使い、ガス熔断は特に22ミリ以上で使います。抱月工業はレーザーをt3.2〜25mmで使い、t19以上ではガス切断も用います。レーザーで切りたい場合は注文時に指定してください。
レーザー切断はプレスより安いですか?
数量で変わります。レーザーは金型が要らないため少量や試作では費用を抑えやすい一方、摂津金属工業所は量産になるとプレス加工の方が加工賃が安く速いと説明しています。
【用途別】金属のレーザー加工会社おすすめ3選
ステンレス・アルミの薄板を、1個から急いで精密に切るなら
株式会社レーザーテック
切断の9割がステンレスとアルミ。SUS0.05mmから、見積15分以内、最短1時間
大阪市西淀川区で2002年に創業したレーザー加工一筋の会社で、切断の70%がステンレス、20%がアルミと公式に書いている。TRUMPF製ファイバーレーザー加工機2台で、ステンレスは0.05〜18mm、A5052は12mmまで切る。板厚1.0mm以下の切断に特化した大和田工場を持ち、研磨品はSPVを貼ったまま切断する。見積は原則15分以内(17時まで)、材料とデータがあれば最短1時間で切断できると記載する。
鋼板の厚板を、大板から数日で切り出すなら
坂元鋼材株式会社
24kWのレーザーで0.5〜40mm、2,500×6,100mm。最短当日・原則2日以内
大阪市西区九条南の鋼板加工センターで、レーザー切断・ガス溶断・プラズマ切断を一つの拠点で行う。TRUMPF製の24kW高出力機で0.5mmから40mm厚の鋼板まで切り、加工サイズは2,500mm×6,100mmまで。依頼の日のうちにCADを組み、最短当日・原則2日以内にレーザー加工すると記載する。SS400は3.2〜150mmを常時在庫し、最短1営業日で加工できる。
レーザーで溶接・穴あけができるか、1個の試作で確かめるなら
株式会社レーザックス
1984年からの受託レーザー加工。CO2・ファイバー・ディスク・電子ビームを使い分け
愛知県知立市の会社で、1984年のCO2レーザー導入からレーザーの受託加工を続けている。CO2、ファイバー、ディスクレーザーと電子ビーム加工機を持ち、切断・溶接・穴あけ・マーキングや肉盛りなどの表面処理を受ける。10kWのマルチモードファイバー、2kWのシングルモード、Laserdyne 795+などをそろえ、数量1個からの試作加工から中量産まで対応する。