3比較ハブ金属のレーザー加工の受託

金属のレーザー加工の受託 · 基礎知識

レーザー切断面の品質|クリーンカット(窒素切断)・寸法精度・バリと熱影響の考え方【2026年版】

レーザー切断の仕上がりは、アシストガス、板厚、保護フィルムの扱いで変わります。掲載各社が公式に書いているクリーンカットの範囲、寸法精度の表記、バリと保護フィルムの扱い、熱影響を嫌う部品の頼み方を整理します。

公開 2026年10月1日

レーザーで切った面は、そのまま製品の見た目になることが多くあります。ステンレスの意匠品や、後で溶接する部品では、切断面の色や平らさが仕上がりを左右します。

切断面の品質は、加工会社の設備と切り方の方針で変わります。このページでは、掲載各社の公式の記載をもとに、図面と見積で指定しておくべき点を整理します。

切断面の色を決めるアシストガス

レーザー切断では、溶けた金属を吹き飛ばすガスを一緒に流します。ステンレスを窒素で切ると酸化が抑えられ、切断面が金属の色のまま残ります。

会社公式に書かれている窒素切断(クリーンカット)
かねよしステンレスのレーザー加工は20mmまで全てクリーンカット(窒素切断)
都ステンレス工業窒素で無酸化切断し、ステンレスの切断面に独特の光沢が出る
レーザーテックファイバーレーザーと高圧対応の窒素ガス供給装置で、アルミ・ステンレスを切断
ニシザキSUS0.1t〜12.0tをクリーンカット

クリーンカットの範囲を超える板厚では、切断面の状態が変わる場合があります。溶接や塗装の前に切断面の処理が要るかどうかは、板厚を伝えて確かめてください。

寸法精度は板厚とセットで書かれている

寸法精度を公式に数字で出している会社は、多くが板厚ごとに値を分けています。板が厚くなるほど、精度の幅は広がります。

会社公式の精度の表記
かねよし切断寸法の誤差は±0.1mm以下。薄板は実際には0.05mmくらいまでに抑えている
レーザマックス板厚6mm以下の金属で±0.1mm、6mm〜12mmで±0.15mm
レーザーテック通常±0.2mm、板厚8mm以上の場合±0.4mm
坂元鋼材±0.2〜0.3mm(板厚・寸法・形状による)

どの会社も、精度は大きさや形状、材質で変わると注記しています。厳しい公差が必要な寸法は図面に明記し、レーザーのままでよいか、機械加工で仕上げるかを相談してください。

バリと保護フィルムの扱い

レーザーで切った縁には、わずかなバリやドロス(溶けて固まった金属)が残ることがあります。どこまで取るかは会社の方針で違います。

  • レーザーテック: 社内基準以上のバリ取りはしないと明記
  • かねよし: 完全にバリが無いとは言い切れないが、できる限りバリの無いよう体裁よく加工すると回答
  • キョウシャー: バリ取り・タップ・研磨などの仕上げ加工は対応しておらず、協力会社への相談になる
  • レーザーテック・かねよし・ミワレーザー: 研磨品は保護フィルム(SPV)を貼ったまま切断できる
  • かねよし: 2Bの板もSPVを貼ったまま切れ、切断後にSPVを貼ることもできる

ヘアラインや鏡面の板は、切断中の傷を避けるために保護フィルムの扱いを先に決めておきます。バリの許容範囲が厳しい部品は、バリ取りまで受ける会社か、後工程の手配を含めて相談してください。

厚板では切断面が粗くなりやすい

板が厚くなるほど、切断面の筋や下面のドロスが目立ちやすくなります。厚板の切り方について、公式に書かれている方針は次のとおりです。

  • かねよし: 厚板は熱ひずみを抑えるため、10KWの機械でもフルパワー・フルスピードではなくパワーをできる限り抑えて切り、滑らかな切断面にしている
  • かねよし: 厚板の切断面は機械加工には劣るが、プラズマ切断等に比べて割合きれいに加工できると回答
  • 抱月工業: 切断幅(カーフ)が非常に細いため、条件が適切でないとスラグ付着や微細バリが発生する可能性があると説明
  • かねよし: コーナー部はできる限りピン角が出るように加工

厚板の切断面をそのまま見せる部品や、はめ合いのある部品は、切断面の要求を図面に書いてください。

熱の影響を嫌う部品の選択肢

レーザーは熱で溶かして切るため、熱に弱い薄い部品や箔では変形や変色が問題になります。熱の影響を抑える加工を打ち出している会社は次のとおりです。

  • シーエステック: ピコ秒レーザーと深紫外レーザー(266nm)を扱い、ステンレス箔をバリなく切った事例を公開
  • ワークス松下: レーザー加工は熱影響範囲が最小限で素材の特性を保てると説明し、0.05〜1.5mmの薄物を多く手がける
  • 福島日邦工業: SUS塗装品の接点部分の塗装を、板厚0.1mmで熱変形がないように剥離
  • こだま製作所: t0.05でもシムプレートとして使える水準で、バリや歪みを抑えて切ると記載

極薄の部品は、通常の切断機ではなく、微細加工の設備を持つ会社に頼むと結果が安定します。

微細加工の会社は、最大加工サイズが小さいことが多い点に注意してください。シーエステックのレーザー微細加工の範囲は最大300mm×300mmで、大きな板の切断は公式に記載がありません。

切断と同時に入れられるケガキとマーキング

曲げの位置や組立の目印を、切断と同じ工程で板に入れられる会社があります。後で手作業でけがく手間が省け、位置もずれにくくなります。

  • かねよし: ケガキ・マーキング加工はできるとFAQで回答。委託の際に指示する
  • 共栄精機: 通常のゴシック体の文字ならカット罫書きが可能
  • レーザーテック: 切断以外に穴あけやマーキングも一度の加工で行うためコストダウンになると説明
  • キョウシャー: ケガキ・ピアスは可能だが、表面への彫刻・マーキングは対応外

文字や番号をはっきり残したい場合は、ケガキではなくマーキングの専門会社に頼む方が仕上がりは安定します。マーキングの専門会社は、用途別のページで紹介しています。

品質の指定を見積に入れる方法

切断面の品質は、見積の段階で条件にしておかないと、後から追加の費用になりがちです。依頼時には次の項目を書き添えてください。

  1. 切断面をそのまま見せるか、後で塗装・溶接・機械加工するか
  2. ステンレスは窒素切断(クリーンカット)を希望するか
  3. 保護フィルムを貼ったまま切るか、切断後に貼るか
  4. バリの許容範囲と、バリ取りを誰が行うか
  5. 公差の厳しい寸法と、その許容値

条件をそろえて2〜3社に見積を取ると、価格の差が品質の差なのかどうかを比べられます。

初めて頼む会社では、本番の前に1枚だけ切ってもらい、切断面を確かめてから数量を増やす方法もあります。1個から受ける会社なら、この確認の注文も頼みやすくなります。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

クリーンカットとは何ですか?

窒素をアシストガスにして、酸化を抑えて切る方法です。かねよしはステンレスを20mmまで全てクリーンカット(窒素切断)で切り、都ステンレス工業は窒素で無酸化切断すると切断面に独特の光沢が出ると説明しています。

レーザー切断の寸法精度はどれくらいですか?

会社と板厚で違います。公式の表記では、かねよしが±0.1mm以下、レーザマックスが板厚6mm以下で±0.1mm・6〜12mmで±0.15mm、レーザーテックが通常±0.2mm・板厚8mm以上で±0.4mm、坂元鋼材が±0.2〜0.3mmです。

レーザーで切ったあとのバリは取ってもらえますか?

会社によります。レーザーテックは社内基準以上のバリ取りはしないと明記し、キョウシャーはバリ取りを対応外としています。バリの許容範囲を図面に書き、後工程の手配も含めて相談してください。

【用途別】金属のレーザー加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

ステンレス・アルミの薄板を、1個から急いで精密に切るなら

株式会社レーザーテック

切断の9割がステンレスとアルミ。SUS0.05mmから、見積15分以内、最短1時間

大阪市西淀川区で2002年に創業したレーザー加工一筋の会社で、切断の70%がステンレス、20%がアルミと公式に書いている。TRUMPF製ファイバーレーザー加工機2台で、ステンレスは0.05〜18mm、A5052は12mmまで切る。板厚1.0mm以下の切断に特化した大和田工場を持ち、研磨品はSPVを貼ったまま切断する。見積は原則15分以内(17時まで)、材料とデータがあれば最短1時間で切断できると記載する。

株式会社レーザーテックの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

鋼板の厚板を、大板から数日で切り出すなら

坂元鋼材株式会社

24kWのレーザーで0.5〜40mm、2,500×6,100mm。最短当日・原則2日以内

大阪市西区九条南の鋼板加工センターで、レーザー切断・ガス溶断・プラズマ切断を一つの拠点で行う。TRUMPF製の24kW高出力機で0.5mmから40mm厚の鋼板まで切り、加工サイズは2,500mm×6,100mmまで。依頼の日のうちにCADを組み、最短当日・原則2日以内にレーザー加工すると記載する。SS400は3.2〜150mmを常時在庫し、最短1営業日で加工できる。

坂元鋼材株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

レーザーで溶接・穴あけができるか、1個の試作で確かめるなら

株式会社レーザックス

1984年からの受託レーザー加工。CO2・ファイバー・ディスク・電子ビームを使い分け

愛知県知立市の会社で、1984年のCO2レーザー導入からレーザーの受託加工を続けている。CO2、ファイバー、ディスクレーザーと電子ビーム加工機を持ち、切断・溶接・穴あけ・マーキングや肉盛りなどの表面処理を受ける。10kWのマルチモードファイバー、2kWのシングルモード、Laserdyne 795+などをそろえ、数量1個からの試作加工から中量産まで対応する。

株式会社レーザックスの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

関連記事