軽金属鋳造の試作 · 用途別
ヒートシンク・高熱伝導部品を鋳造で試作したい|HT-1・DMS系合金と薄肉フィンに対応する会社【2026年版】
ヒートシンクや放熱ケースなど高熱伝導部品の鋳造試作を依頼したい方向けに、高熱伝導アルミ(HT-1・DMS系)を公式に挙げる会社(共栄デザイン、日邦産業、アドバンス、プロテックジャパン、太陽パーツ)、ヒートシンクの事例を持つ会社(イナテック、モールドモデル、八百谷金属工業、光軽金属工業)、薄肉フィンと抜き勾配の考え方、削り出し・金属3Dプリントとの使い分けを公式記載で解説します。
ヒートシンクは、薄いフィンを高く並べ、熱を逃がす面積を稼ぐ部品です。鋳造で試作するときは、材質の熱伝導と、フィンをどこまで薄く高くできるかの2点で会社が絞られます。
このページでは、高熱伝導合金とヒートシンク事例を公式に掲げる会社を、今回調査した34社の公式サイトの記載から整理します。
日本ダイカスト協会の資料は、プラスチック成形品と比べたダイカストの利点に「熱伝導率が大で、放熱性が良い」を挙げています。同じ資料のアルミニウム合金ダイカストの製品例には、ヒートシンクや油圧ポンプ用コントローラー筐体が並びます。
- 放熱性:熱伝導率が大で、放熱性が良い(協会「他の製造方法との比較」)
- 製品例:ヒートシンク、油圧ポンプ用コントローラー筐体、ファン用ケーシング(協会「電気機械・通信機器」)
- 耐熱:耐熱性に優れ、燃えない(同上の比較表)
量産がダイカストでも、試作は石膏鋳造や砂型で行う例が多くあります。その場合は、合金と薄肉の条件を会社ごとに確認します。
放熱の評価は材質で結果が変わるため、まず合金、次にフィンの形、最後に数量という順で会社を絞ると迷いません。
高熱伝導アルミ(HT-1・DMS系)を公式に挙げる会社
今回調査した34社のうち、高熱伝導系の合金名を対応材質に書いている会社は次の5社です。
| 会社 | 公式に挙げる高熱伝導系合金 | 工法 |
|---|---|---|
| 共栄デザイン | HT-1、DMS1、DMS3(高熱伝導性アルミ) | 石膏鋳造(1個から、最短5日) |
| 日邦産業 | DMS1、DMS3、DMS4、DMS5、DHT-1(特殊合金) | 石膏鋳造(CT6相当、最短3週間) |
| アドバンス | HT-1(高熱伝導アルミ)、Sirafont 36 | 石膏鋳造(最大450×450×150mm) |
| プロテックジャパン | HT-1(簡易金型ダイキャストの対応材) | 簡易金型ダイキャスト(約20日) |
| 太陽パーツ | HT-1(アルミ) | ダイカスト(カセットシステム、50個/1ロットから) |
HT-1は4社、DMS系は共栄デザインと日邦産業の2社が記載しています。会社独自や特定メーカーの合金は扱える会社が限られるため、量産で使う合金名をそのまま伝えて対応可否を確認します。
公式事例にヒートシンクがある会社
ヒートシンクそのものを事例や製品に挙げている会社を並べます。工法と数字が会社ごとに異なります。
| 会社 | 公式の事例・記載 | 工法と条件 |
|---|---|---|
| イナテック | パワーコンディショナ用ヒートシンク。フィン高さ80mm・製品長700mm | 精密砂型鋳造、CT6級、最小肉厚1.5mm、ロット1〜 |
| 共栄デザイン | ヒートシンク・薄肉フィン(高放熱性合金DMSシリーズ) | 石膏鋳造、寸法公差±0.2〜0.7mm |
| モールドモデル | ヒートシンク(量産同等試作)、特殊形状ヒートシンク(小ロット) | 石膏鋳造、ダイカスト用インゴット使用、5〜100個程度 |
| 八百谷金属工業 | 石膏鋳造は薄肉鋳物やヒートシンクに用いられ、抜き勾配が不要 | 石膏鋳造・砂型、10g〜最大100kg |
| 光軽金属工業 | ミッション・ヒートシンクの削り出し試作(A5052、A6061、ADC12) | 削り出し、3Dデータ受領後2週間程度 |
イナテックは製品長700mmのヒートシンクを公式に示しており、最大寸法400×400mmの記載と合わせて、長尺品の可否は形状で確認します。
薄肉・高いフィンで効く工法の条件
フィンの薄さは最小肉厚、フィンの高さと本数は抜き勾配の扱いで決まります。石膏鋳造は型を崩して取り出すため、抜き勾配ゼロを掲げる会社があります。
- 最小肉厚:ニューテック0.8mm〜、日邦産業0.8mm〜、プロテックジャパン0.6mm、ジャノメダイカスト0.5mm実績(いずれも石膏鋳造)
- 抜き勾配ゼロ:ニューテック、日邦産業、共栄デザイン、モールドモデル、八百谷金属工業
- 精密砂型:イナテックは最小肉厚1.5mm・肉厚公差±0.3mm
- 薄肉のダイカスト:STGはマグネシウムで薄肉0.35mmに対応
量産ダイカストでは抜き勾配が必要になるため、試作を勾配ゼロで作る場合は、量産図面で勾配を足す前提を最初に伝えます。
筐体と放熱部を一体にしたケースの試作
インバーターや電源のケースは、筐体そのものに放熱の役割を持たせる設計が多い部品です。公式にケース類の事例を挙げる会社を並べます。
| 会社 | 公式に挙げるケース類の事例 | 工法 |
|---|---|---|
| 共栄デザイン | インバーターケース/EV用PCUケース(先行開発事例)、自動車向け高放熱性合金DMS | 石膏鋳造 |
| 日邦産業 | インバータケース、モーターケース | 石膏鋳造(アルミ最大1,500×800×700mm) |
| クライム・ワークス | EVインバーターケース、コントロールユニット | ダイカストスピード試作(ADC12材、10台以下) |
| モールドモデル | 電池ケース、ヒートシンク(量産同等試作) | 石膏鋳造 |
| ニューテック | EV部品、エンジン系機能部品 | 石膏鋳造(ADC12でダイカスト同等品質) |
ケースの大きさが石膏鋳造の上限を超える場合は、JMCの大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)のような砂型系の設備が候補になります。放熱合金を使う場合は、その合金を砂型で扱えるかも合わせて確認します。
フィン部品の仕上げと検査
フィンの多い部品は、表面処理と寸法測定で手間が変わります。公式に記載のある設備と処理を整理します。
- 表面処理:共栄デザイン(めっき・アルマイト・含浸・熱処理)、アドバンス(塗装・めっき・アルマイト処理)、JMC(化成処理・アルマイト・塗装)
- 寸法測定:共栄デザイン(Carl Zeiss CONTURA G2)、ニューテック(三次元測定器2台、ATOS CS 5M)、イナテック(三次元測定機・非接触デジタイザ)
- 内部の確認:ニューテック(X線CT XT H 320LC)、JMC(X線CT計6台)、イナテック(CT検査)
薄いフィンは測定の当て方で値が変わるため、測る箇所と方法を依頼時に決めておくと、検査報告の読み違いを防げます。
削り出し・金属3Dプリントとの使い分け
ヒートシンクの試作は、鋳造以外にも削り出しと金属3Dプリントが選択肢に入ります。目的で選び分けます。
| 方法 | 向く目的 | 公式記載の例 |
|---|---|---|
| 鋳造(石膏・砂型) | 量産に近い合金と鋳肌で放熱を評価する | 共栄デザイン(DMS・HT-1)、日邦産業(DMS系)、イナテック |
| 削り出し | 1個で形状と熱の傾向を早く見る | 光軽金属工業(A5052・A6061・ADC12、2週間程度) |
| 金属3Dプリント | 内部流路など鋳造しにくい形状を試す | 白銅(自動車の熱交換器 AlSi12の事例、最短4日の場合あり) |
削り出しや積層造形の材料は、鋳造合金と熱伝導が同じとは限りません。放熱の数値を量産の判断に使うなら、量産と同じ合金で鋳造した試作品で評価します。
放熱部品の依頼で決めておくこと
放熱部品は、合金名とフィン形状の情報が見積の可否を左右します。次の項目を依頼文にそろえます。
- 合金名:HT-1、DMS1など量産予定の合金を指定する(対応会社は上表)
- フィン寸法:最も薄い箇所の厚さ、フィン高さ、ピッチ
- 抜き勾配:試作で勾配ゼロにするか、量産形状で作るか
- 数量:共栄デザインは1個から、モールドモデルは5〜100個程度、ニューテックは石膏鋳造5〜30個(100個まで相談可)
- 後加工:取付面の機械加工、アルマイトなど表面処理の要否
3選のうち、共栄デザインは高熱伝導合金とヒートシンク事例を公式に持ち、ニューテックは石膏鋳造で最小肉厚0.8mm、JMCは大型の砂型に対応します。部品の大きさとフィンの薄さに合わせて相談先を選んでください。
この記事に出てくる会社
- 株式会社アドバンス試作総合×石膏、1個から
- 株式会社クライム・ワークス量産同材ダイカストで10台以下
- 白銅株式会社型レス最短4日、1品から
- 光軽金属工業株式会社3工法を数量で使い分け
- 株式会社イナテック薄肉砂型をCT6級で最短3日
- ジャノメダイカスト株式会社石膏試作→ダイカスト量産
- 株式会社JMCAl/Mg砂型一貫、ギガも可
- 株式会社 共栄デザイン最短5日・価格例あり
- 有限会社モールドモデル石膏専業、5〜100個が得意
- 株式会社ニューテックADC12試作の定番、CT7保証
- 日邦産業株式会社大型石膏鋳造、1,500mmまで
- 株式会社プロテックジャパン多工法の試作窓口、工場は要確認
参照元
- 石膏鋳造(株式会社共栄デザイン)
- 対応材質(株式会社共栄デザイン)
- 石膏鋳造の事例(株式会社共栄デザイン)
- 試作石膏鋳造(日邦産業株式会社)
- 石膏鋳造(株式会社アドバンス)
- 簡易金型ダイキャスト(株式会社プロテックジャパン)
- 石膏鋳造(株式会社プロテックジャパン)
- ダイカスト(太陽パーツ株式会社)
- 精密砂型鋳造(株式会社イナテック)
- 石膏鋳造(有限会社モールドモデル)
- 石膏鋳造(八百谷金属工業株式会社)
- 実績(光軽金属工業株式会社)
- 石膏鋳造(株式会社ニューテック)
- 石膏鋳造(ジャノメダイカスト株式会社)
- マグネシウム鋳造・ダイカスト試作センター(株式会社STG)
- 設備(株式会社JMC)
- 製品紹介(株式会社クライム・ワークス)
- 設備(株式会社ニューテック)
- 金属3Dプリンター受託造形(白銅株式会社)
- ダイカストって何? 電気機械・通信機器(日本ダイカスト協会 p.7)
- ダイカストって何? 他の製造方法との比較(日本ダイカスト協会 p.33)
よくある質問
ヒートシンクを鋳造で試作できる会社はどこですか?
公式にヒートシンクの事例を挙げているのは、イナテック(パワーコンディショナ用、精密砂型鋳造)、共栄デザイン(薄肉フィン、高放熱性合金DMSシリーズ)、モールドモデル(量産同等試作、石膏鋳造)、八百谷金属工業(石膏鋳造)、光軽金属工業(削り出し試作)です。
HT-1やDMSなどの高熱伝導アルミで試作できますか?
できます。HT-1は共栄デザイン、アドバンス、プロテックジャパン(簡易金型ダイキャスト)、太陽パーツが、DMS系は共栄デザイン(DMS1・DMS3)と日邦産業(DMS1・DMS3・DMS4・DMS5)が公式に対応材質として挙げています。
ヒートシンクのフィンはどこまで薄くできますか?
公式の最小肉厚は、石膏鋳造でジャノメダイカスト0.5mm実績、プロテックジャパン0.6mm、ニューテックと日邦産業0.8mm〜、精密砂型でイナテック1.5mmです。フィン高さとピッチでも可否が変わるため、最も薄い箇所の寸法を添えて相談してください。
【目的別】軽金属鋳造の試作会社おすすめ3選
量産と同じダイカスト材で、金型なしに評価したいなら
株式会社ニューテック
ADC12でダイカスト同等品質の試作。試作実績1万件超、石膏鋳造は最短2.5週間
アルミ・マグネシウムの精密鋳造専門で試作実績10,000件以上。ADC12・AC4CH・A357などアルミ9種、ZE41A・AM60などマグネシウムに対応し、石膏鋳造はCT7級保証(CT5・6の実績)、消失鋳造はCT8級保証。最大800×800mm・35kg、最小肉厚0.8mm。5軸加工機・熱処理炉2基・X線CTを社内に持ち、完成品で納める。
大物・複雑形状・ギガキャスト級の砂型試作なら
株式会社JMC
3Dプリント砂型で木型を省き、2m角・500kgまで。熱処理から5軸加工・CT検査まで社内一貫
砂型3Dプリンター(造形800×500×400mm)と大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)を持ち、アルミ専用9基・マグネシウム専用2基の溶解炉で試作・小ロット量産に対応。T4〜T7熱処理、5軸機械加工、化成処理・アルマイト・含浸・HIP、X線CT6台まで社内一貫。ISO9001・JIS Q 9100、鋳造公差CT7(形状によりCT6)。ギガキャスト試作で自動車分野30型・500台以上の実績。
まず1個を、数日で手に取りたいなら
株式会社 共栄デザイン
石膏鋳造で最短5日。1個から月1個の少量生産まで、亜鉛や高熱伝導合金も
金型を使わない石膏鋳型で「最短5日で高精度な試作品」を製作し、1個からの試作・月1個の少量生産に対応。アルミ鋳物合金AC2A〜AC8A、ダイカスト用ADC12・ADC1・ADC6、亜鉛ZDC1・ZDC2、高熱伝導アルミHT-1・DMSに対応。寸法公差±0.2〜0.7mm、Carl Zeissの三次元測定機、社内マシニングで機械加工。5〜100個ならダイカスト相当の品質、小ロット製造は素材初品3週間〜。
条件に合う会社から提案を受ける
用途・数量・納期・予算を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要をお伝えし、対応可能な会社からの連絡をおつなぎします。費用はかかりません。
関連記事
- 二輪・自動車のアフターパーツや補修部品を鋳造で作りたい|1個からの製作と生産終了部品の複製【2026年版】
- ドローン・航空宇宙部品を鋳造で試作したい|JIS Q 9100取得会社・マグネシウム・高強度アルミの選び方【2026年版】
- EV・モーターケースの試作をしたい|量産材ADC12・水冷ジャケット・気密検査まで対応する会社の選び方【2026年版】
- 3D CADデータだけで鋳造試作を頼みたい|入稿の流れ・肉厚・抜き勾配の注意【2026年版】
- ギガキャスト級の大物・複雑形状を試作したい|2m角・500kgクラスに対応する砂型・低圧鋳造の会社【2026年版】
- マグネシウム合金で軽量部品を試作したい|AZ91D・AM60B対応の会社と石膏・砂型・ダイカストの使い分け【2026年版】