3比較ハブ軽金属鋳造の試作

軽金属鋳造の試作 · 用途別

3D CADデータだけで鋳造試作を頼みたい|入稿の流れ・肉厚・抜き勾配の注意【2026年版】

図面を起こさず3D CADデータだけでアルミ・マグネシウムの鋳造試作を依頼したい方向けに、「3Dデータから」を公式に掲げる会社(ジャノメダイカスト最短7日、協和合金最短1週間、光軽金属工業2週間程度、共栄デザイン3〜4週間)、日本ダイカスト協会の設計ガイドが示す肉厚・抜勾配・隅R・リブ・アンダーカット・仕上代の指針、各社の最小肉厚と抜き勾配ゼロ対応、データに添える指示事項を解説します。

公開 2026年9月30日

鋳造試作の依頼は、3D CADデータが起点になる会社が増えています。ただし「データだけ送れば作れる」わけではなく、肉厚・抜き勾配・公差など、データに含まれない情報を添える必要があります。

このページでは、データ入稿の流れと、設計ガイドに沿った注意点を整理します。

3Dデータだけで頼めるか:各社の公式記載

公式サイトで「3Dデータ」「データ」を起点に納期や見積を案内している会社を並べます。図面の要否は会社ごとに異なります。

会社公式記載読み取れる入稿の形
ジャノメダイカスト3Dデータから最短7日で出荷(石膏鋳造)3Dデータが起点
協和合金データ完成から最短1週間で可能(簡易金型ダイカスト)データ完成が起点
光軽金属工業削り出し提案は3Dデータ受領後2週間程度3Dデータ受領が起点
共栄デザインデータ受領から3〜4週間(形状、サイズ、数量、二次加工により異なる)、CADデザインからモデル製作まで自社設備データ受領が起点
ニューテック3Dデータ修正・マスターモデル製作:提供されたデータを修正し、加工代と鋳造収縮を考慮したモデルを作成データを会社側で修正する工程あり
プロテックジャパンデータ処理で1日、光造形で3日、鋳造工程が5日程度データ処理が工程の先頭
前橋橋本合金図面をいただければすぐに担当者より御見積をお送りいたします図面が起点
マルサン木型製作所3Dデータ製作を事業に掲載データ製作の代行あり
八百谷金属工業3Dデータ作成・修正に対応データ作成の代行あり
三和軽合金製作所リバースエンジニアリング対応(3Dスキャン)現物からデータ化
白銅トポロジー最適化・リバースエンジニアリング等の設計サポート、当日見積データ起点、設計支援あり

ニューテックの工程説明にある「提供されたデータを修正し、加工代と鋳造収縮を考慮したモデルを作成」は重要です。鋳造用のモデルは設計データそのものではなく、収縮と加工代を織り込んで会社側が作ります。

データだけで頼める会社でも、この修正の前提(どこを加工するか、どこが重要寸法か)は伝える必要があります。

データから納期が始まる会社の日数

「データから」を起点にした納期を公式に出している会社を並べます(工法と条件が異なるため、日数は単純比較できません)。素材のみ・条件付きの数字です。

  1. 協和合金:データ完成から最短1週間(簡易金型ダイカスト、数十〜数百個)
  2. ジャノメダイカスト:3Dデータから最短7日で出荷(石膏鋳造)
  3. プロテックジャパン:データ処理1日+光造形3日+鋳造工程5日程度(石膏鋳造)
  4. 光軽金属工業:3Dデータ受領後2週間程度(削り出し試作)、塗装完成試作品を1ヶ月で製作の事例
  5. 共栄デザイン:データ受領から3〜4週間(石膏鋳造、最短5日の記載もあり)
  6. ニューテック:石膏鋳造 最短2.5週間(通常3.5〜4週、素材まで)、消失鋳造 最短1.5週

いずれも「データ完成」が条件です。データに未確定部分が残っていると、その確認の往復分だけ納期が延びます。

肉厚の目安:協会の一般肉厚と各社の最小肉厚

肉厚は3Dデータに含まれますが、鋳造できる範囲かどうかは別問題です。日本ダイカスト協会の設計ガイドが示す一般肉厚と、各社が公式に出す最小肉厚を並べます。

区分公式の数値
協会:アルミニウムダイカストの一般肉厚大物2.0〜6.0mm、小物0.8〜3.0mm(最大質量40kg)
協会:マグネシウムダイカスト大物2.0〜4.0mm、小物0.8〜2.0mm(最大質量20kg)
協会:亜鉛ダイカスト大物1.0〜6.0mm、小物0.5〜3.0mm(最大質量35kg)
STG(マグネシウムダイカスト)薄肉0.35mmに対応
ジャノメダイカスト(石膏鋳造)薄肉0.5mm実績
プロテックジャパン(石膏鋳造)最小肉厚0.6mmまで可能
ニューテック(石膏鋳造)最小肉厚0.8mm〜
日邦産業(石膏鋳造)肉厚0.8mm〜
日本プレシジョンキャスチング(ロストワックス)肉厚 非鉄系1.0mm〜
イナテック(精密砂型)最小肉厚1.5mm、肉厚公差±0.3mm
JMC(砂型)平均肉厚2.5mm・最小肉厚1.5mmを目安
寿金属工業(石膏鋳造)最小肉厚2mm(部分的に1.5mm)

協会の設計ガイドは「容易にダイカストの鋳造ができ、かつ、適当な強度と剛性を与える肉厚を選定すること」「できる限り均一な肉厚にする。ひけ巣の発生も軽減できる」「肉厚の変化を必要とする部分については、応力集中を避けるため徐々に肉厚を変えること」としています。データ上で肉厚が急変する箇所は、入稿前に見直します。

抜き勾配:ダイカストは必要、石膏鋳造はゼロ可

抜き勾配は、量産のダイカストでは必須、石膏鋳造では不要という違いがあります。3Dデータに勾配を入れるかどうかは、試作の工法と量産の工法で分けて考えます。

  • 協会の設計ガイド:「ダイカストを変形なく金型より離型させるために、側壁と中子に十分な抜勾配をつけること」。内側壁の深さに対する抜勾配のグラフが銅・アルミニウム・亜鉛・マグネシウムの合金別に示されている
  • 石膏鋳造で抜き勾配ゼロを公式に掲げる会社:ニューテック(抜き勾配ゼロ度でも石膏型を製作可能)、日邦産業(抜き勾配0°対応)、共栄デザイン(抜き勾配なしでも製作が可能、アンダーカットにも対応)、モールドモデル(抜き勾配ゼロ・アンダーカット)、ジャノメダイカスト(アンダーカット・抜き勾配なし)、八百谷金属工業(抜き勾配が不要)
  • アンダーカット:協会の設計ガイドは「引抜中子で抜けないアンダーカット部は、極力避けなければならない」とし、置中子・崩壊性中子を使う場合はコストを十分に考慮すべきとしている

試作を石膏鋳造で行い、量産をダイカストに移す場合、量産設計で抜き勾配を追加すると形状が変わります。試作段階で「量産では勾配を付ける前提」と伝えておくと、会社側が量産を見据えた助言をしやすくなります。

隅R・リブ・アンダーカット・仕上代(協会設計ガイド)

3Dデータに反映しておきたい、協会の設計ガイドの項目を整理します。石膏鋳造の各社が「R無しコーナー対応」(プロテックジャパン)を掲げる一方、量産ダイカストではRが必要です。

項目協会の設計ガイドの指針
隅と角製品及び金型の損傷を避けるため、すべての内側の隅、及び外側の角には適当な丸みをつけることで割れを防止する
リブ可能な部分には変形防止、強度増加及び溶湯の流れを良くするためにリブを設ける
大きな平面大きく平らな表面については梨地にすることが望ましい。製品の変形を予測して金型に変形分を織り込むことも可能
駄肉の除去リブや中子の使用により駄肉を除去する。引け巣などの内部品質が向上し、原材料の節減にもなる
鋳抜ピン細い鋳抜ピンは避ける。小穴は機械加工する方が一般に経済的
インサート鋳造時の金型の開閉、溶湯の圧入などにより移動しないよう確実に保持できる設計をする(固定はローレット及び段付加工)
機械加工と仕上代製品のひずみ、加工基準などを考慮して設計を行い、適切な仕上代(0.25〜0.8mm)をつける
鋳バリ取り製品形状、金型分割面の工夫により、鋳バリを除去するコストを最少にする設計をする

ジャノメダイカストは石膏鋳造で「鉄インサート対応」を公式に掲げています。インサートを入れる試作は、協会の指針どおり保持方法(ローレット・段付)をデータに反映しておきます。

図面・データに添える指示事項

3Dデータには含まれない情報を、依頼文か簡易図面で添えます。各社の公式記載で問われる項目に対応させます。

  1. 材質と質別:JIS記号で指定する(例:JIS H 5302 ADC12、JIS H 5202 AC4CH-T6)
  2. 数量:今回の個数と量産想定(ニューテックは1〜5個は消失鋳造、5〜30個は石膏鋳造と数量で工法を分けて案内)
  3. 公差:一般公差はCT等級(JIS B 0403)で、重要寸法は±mmで個別に。鋳放しか加工後かを明記する
  4. 加工箇所と基準面:ニューテックは加工代を織り込んだモデルを作るため、加工する面の指定が要る
  5. 肉厚の確認依頼:各社の最小肉厚(0.35〜2mm)に対して、薄い箇所を明示する
  6. 抜き勾配の扱い:データに勾配が入っているか、量産で追加する前提か
  7. 表面処理・検査:アルマイト・化成処理の要否、三次元測定・X線CTの要否と報告書の形式

光軽金属工業は「価格についてお困りの製品があればいつでもVA案を検討します」と掲げています。データに設計変更の余地があるなら、その旨を添えると工法や形状の提案を受けられます。

データ送付から見積回答までの流れ

各社の公式記載から、データ送付後の流れを整理します。会社によって、データを確認してから見積する場合と、見積と同時にデータを修正する場合があります。

段階会社側の作業(公式記載から)発注側で用意するもの
1. データ送付前橋橋本合金「図面をいただければすぐに御見積」、白銅「当日中にお見積り」3Dデータ、材質、数量、納期希望
2. 工法提案光軽金属工業「試作数量に合わせて砂型や削り出しなど適切な工法を提案」、武杉製作所「量産を見越した最適な試作加工方法をご提案」用途(形状確認か機能評価か)
3. データ修正・方案ニューテック「加工代と鋳造収縮を考慮したモデルを作成」、木村鋳造所・コイワイはCAE鋳造解析、FIRMSは流動解析ソフトでガス発生・空気巻き込みを予測加工箇所、重要寸法
4. 型製作・鋳造プロテックジャパン「データ処理1日、光造形3日、鋳造工程5日程度」—
5. 検査・納品白銅「検査成績書が発行できます」、各社の三次元測定・X線CT検査項目と報告書の要否

3Dデータの作成そのものを外注したい場合は、マルサン木型製作所(3Dデータ製作)、八百谷金属工業(3Dデータ作成・修正)、三和軽合金製作所(3Dスキャンによるリバースエンジニアリング)、白銅(リバースエンジニアリング等の設計サポート)が公式にデータ製作を掲げています。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

図面なしで3Dデータだけで鋳造試作を頼めますか?

3Dデータを起点に納期を案内する会社があります。ジャノメダイカストは「3Dデータから最短7日で出荷」、協和合金は「データ完成から最短1週間」、光軽金属工業は削り出しで「3Dデータ受領後2週間程度」、共栄デザインは「データ受領から3〜4週間」です。ただし材質・数量・公差・加工箇所はデータに含まれないため、依頼文で添える必要があります。

鋳造試作の3Dデータに抜き勾配は必要ですか?

工法によります。日本ダイカスト協会の設計ガイドは、ダイカストでは側壁と中子に十分な抜勾配をつけることとしています。石膏鋳造ではニューテック(抜き勾配ゼロ度対応)、日邦産業(抜き勾配0°対応)、共栄デザイン(抜き勾配なしでも製作可能)などが勾配なしで試作できると公式に記載しています。量産がダイカストなら、試作は勾配なしでも量産設計で追加する前提を伝えてください。

鋳造できる最小の肉厚はどれくらいですか?

日本ダイカスト協会の一般肉厚はアルミニウムダイカストで小物0.8〜3.0mm、大物2.0〜6.0mmです。各社の公式の最小肉厚は、STG(マグネシウムダイカスト)0.35mm、ジャノメダイカスト(石膏鋳造)0.5mm実績、プロテックジャパン0.6mm、ニューテック・日邦産業0.8mm、イナテック・JMC(砂型)1.5mm、寿金属工業(石膏鋳造)2mm(部分的に1.5mm)です。

3Dデータがない場合はどうすればいいですか?

データ製作を公式に掲げる会社があります。マルサン木型製作所は3Dデータ製作、八百谷金属工業は3Dデータ作成・修正、三和軽合金製作所は3Dスキャンによるリバースエンジニアリング、白銅はトポロジー最適化・リバースエンジニアリング等の設計サポートを事業に記載しています。前橋橋本合金のように図面から見積する会社もあります。

【目的別】軽金属鋳造の試作会社おすすめ3選

※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

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