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めっき・塗装・コーティングの前処理洗浄|油膜を残さない部品洗浄機の選び方【2026年版】

めっき、塗装、イオンプレーティングやDLCなどのコーティングの前に、部品の油膜を落とす前処理洗浄の考え方を整理します。熱水脱脂、完全水系洗浄液、エマルジョン洗浄、炭化水素の真空洗浄、塗膜のはくりやマスキングの再生まで、掲載メーカーの公式情報をまとめました。

公開 2026年10月1日

めっきや塗装がはがれる原因の多くは、前処理で落としきれなかった薄い油膜です。このページでは、表面処理の前に使う部品洗浄機を、公式に挙がる用途から選ぶ手順をまとめます。

表面処理の薬品や工程そのものではなく、その手前で部品をどう洗うかに絞って書いています。

前処理で残してはいけないもの

表面処理の前処理では、組立前の洗浄より厳しく、目に見えない汚れまで落とす必要があります。残ると困るものを整理すると、次のようになります。

  • 薄い油膜: 切削油やプレス油が薄く残ると、めっきや塗膜が密着しない
  • 洗浄液の残り: 洗浄液そのものが表面に残ると、次の処理液と反応する
  • 水シミ: 乾燥の跡が残ると、外観の不良になる
  • 微細な異物: 研磨粉や切粉が残ると、塗膜の下に凹凸ができる

どこまで落とせばよいかは、表面処理の種類と、処理を行う会社の受け入れ基準で決まります。外注先に処理を出している場合は、受け入れ基準を先に確認してください。

表面処理ごとの、公式の対応例

掲載メーカーの公式サイトで、表面処理の前処理を用途に挙げている機種や洗浄液を並べます。同じ前処理でも、処理の種類によって使われる方式が違います。

表面処理メーカー・機種公式の記載
めっき東光技研工業メッキ前部品脱脂熱水洗浄装置(熱水70℃、20タクト/hr)
塗装アクアテック真空洗浄機の目的に塗装前の洗浄乾燥
イオンプレーティング・DLC東製完全水系洗浄液TAKクリーナーを前洗浄に使うと完全脱脂やコーティングの密着性向上に効果
工具・刃具のコーティングクリンビーエマルジョン洗浄機EMULISはコーティング前洗浄に最適
熱処理クリンビー、アクトファイブ、アクアテック熱処理前後の洗浄向けの炭化水素系機種

東製は、SKD・SK材の自動車部品をイオンプレーティング前に精密洗浄した実施例を載せています。自社と同じ材質や処理の例があれば、テスト洗浄の依頼で伝えてください。

水系で完全脱脂する方法

表面処理の前処理ラインは水を使う工程が多いため、洗浄も水系でそろえると後の工程とつなぎやすくなります。溶剤を使わずに脱脂する方法として、公式に次のものがあります。

  • 東製 直振動洗浄機: 部品自体を低周波で振動させ、袋穴や通し穴、重なり合った部品も均一に洗う
  • 東製 TAKクリーナー: 一定量の油分を洗浄液の中に透明に溶解でき、洗浄後の油分の再付着がないと記載
  • 髙橋金属: 電解アルカリイオン水で切削油やプレス油を除去し、濡れ性などで洗浄効果を評価
  • 東光技研工業: 熱水(70℃)で高圧洗浄し、エアブローで仕上げる製作例

水系で脱脂するときは、すすぎと乾燥の条件が仕上がりを左右します。東製は、各工程の後に直振動で液切りして、次の槽への持ち出し量を減らすと書いています。

炭化水素やエマルジョンで前処理する

油の量が多い部品や、水溶性と不水溶性の油が混ざる部品では、炭化水素系やエマルジョン系の洗浄も候補です。公式の記載を役割ごとに分けると次のとおりです。

方式メーカー公式の記載
エマルジョン洗浄クリンビー EMULIS水溶性加工油の除去に効果、工具・刃具のコーティング前洗浄に最適
炭化水素の真空洗浄アクアテック蒸気リンス後の真空乾燥により酸化無しと記載
炭化水素+フッ素系プリス コ・ソルベント炭化水素系で溶解洗浄し、フッ素系溶剤に置換して短い乾燥時間
不燃性溶剤の蒸気洗浄タイセイクリンケミカル過熱蒸気でワークを沸点以上にし乾燥を促進

溶剤で洗った後に水系の表面処理を行う場合は、溶剤の残りが処理液に入らないかも確認が要ります。テストの際に、表面処理まで通した試作をしておくと安心です。

塗膜のはくりと、治具・マスキングの再生

前処理の周りには、処理に失敗した部品の塗膜をはがす作業や、治具・マスキングに付いた塗料を落とす作業もあります。公式にこうした用途を挙げている例は次のとおりです。

  • スギノマシン: 高圧洗浄で部品表面の塗装や蒸着・溶射した薄膜を、母材を傷つけずに除去できると洗ラボの説明に記載
  • 中農製作所 ミニコマMK-2: マスキングゴムに付いた塗料を剥離して再利用できる
  • 中農製作所の導入事例: ジェイテクトマシンシステムはミニコマの使用でマスキング治具の新品購入量が激減と記載
  • 不二製作所: ドライアイスブラストは研磨材の残留がない

治具やマスキングの再生は、消耗品の購入費を減らせる工程です。前処理の洗浄機と一緒に検討すると、ラインの費用を比べやすくなります。

前処理の洗浄液を、使い続けられる状態に保つ

前処理の洗浄液は、使うほど油が溶け込み、脱脂の力が落ちます。液を管理する仕組みがあるかどうかで、仕上がりの安定が変わります。

  • 東製: 洗浄液リサイクル装置「はなれ技くん」で、洗浄液中の油エマルジョンを分離除去
  • 髙橋金属: 液管理(濃度・劣化の見える化)と液処理(排水・廃液)まで対応範囲に挙げる
  • アクトファイブ: 洗浄管理システムAIS-ROMで洗浄中の油分濃度などを数値化
  • アクアテック: 多段式真空蒸留再生機を標準で内蔵し、溶解した油を連続的に再生

液の交換の目安を、時間ではなく油分の量で決められると無駄が減ります。テストの段階で、液をどう管理するかの提案も受けてください。

前処理で候補になるメーカーの早見表

このページで挙げた会社を、表面処理の種類と方式で並べ直します。自社の処理に近い行から見てください。

メーカー関係する表面処理方式・洗浄液テストの手段
東製イオンプレーティング、DLC、焼き入れ前直振動+超音波、完全水系洗浄液洗浄テスト受付
東光技研工業めっき熱水(70℃)の高圧洗浄テスト洗浄を受託
アクアテック塗装、熱処理炭化水素系の真空洗浄実証テスト
クリンビー工具・刃具のコーティング、熱処理エマルジョン、炭化水素系WORK洗浄テスト
髙橋金属表面状態を濡れ性で評価電解アルカリイオン水テストセンター
スギノマシン塗膜・薄膜のはくり高圧水洗ラボ(有償)

前処理は、洗浄と表面処理を別の会社が担当することが多い工程です。テストの結果は、表面処理を担当する会社にも共有して判断を仰いでください。

前処理のテストを頼むときに添える情報

前処理のテストでは、洗浄機のメーカーに表面処理の条件も伝える必要があります。次の情報を添えると、テストの条件が決まりやすくなります。

  1. 表面処理の種類: めっきの種類、塗装の方式、コーティングの種類
  2. 処理を行う場所: 自社か外注か、外注なら受け入れ基準
  3. 今のトラブル: はがれ、ムラ、ピンホールなど、起きている不良の写真
  4. 洗浄から処理までの時間: 洗った後、何時間で処理に入るか
  5. 材質: 鉄、アルミ、工具鋼など、洗浄液との相性に関わる情報

不良の写真は、洗浄の問題か表面処理の問題かを見分ける手がかりになります。メーカーと表面処理の担当の両方に、同じ写真を見せてください。

前処理ラインに入れるときの確認表

前処理用の洗浄機を選ぶときは、洗浄機だけでなく前後の工程とのつながりを確かめてください。確認したい項目を表にまとめます。

項目確認すること
受け入れ基準表面処理の工程が求める油分・濡れ性・異物の基準
洗浄液次の処理液に持ち込まれて問題がないか
乾燥水シミや酸化が出ないか(アクアテックは蒸気リンス後の真空乾燥で酸化無しと記載)
待ち時間洗浄から表面処理までの間に再び汚れないか
テスト洗浄から表面処理まで通した試作で密着性を確かめたか

前処理は、洗浄機単体の性能より、ライン全体での結果で評価されます。テスト洗浄の結果は、表面処理後の検査結果とセットで判断してください。

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

めっき前の脱脂に使える洗浄機はありますか?

東光技研工業はメッキ前部品脱脂熱水洗浄装置の製作例(熱水70℃、20タクト/hr)を公式に載せています。水系の前処理なら、東製の直振動洗浄機や髙橋金属の電解アルカリイオン水洗浄機も候補です。

DLCやイオンプレーティングの前洗浄はどうすればいいですか?

東製は、完全水系洗浄液TAKクリーナーをイオンプレーティングやDLC等の表面処理の前洗浄に使うことで、完全脱脂やコーティングの密着性向上に効果があると記載しています。SKD・SK材の自動車部品の実施例もあります。

塗装に失敗した部品の塗膜をはがせますか?

スギノマシンは、高圧洗浄で部品表面の塗装や蒸着・溶射した薄膜を母材を傷つけずに除去できると記載し、洗ラボではくりのテストを行っています。

【用途別】部品洗浄機メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

切削油・プレス油を、炭化水素で脱脂するなら

株式会社クリンビー

多槽式タクト3〜6分と1槽式12〜15分。カゴ寸法と蒸留能力まで公式に数字がある

炭化水素系の洗浄機を主力にし、生産量の多い現場向けの多槽式CLEANVY(タクト3〜6分)と、少量向けの1槽式真空洗浄乾燥機CLOVA(タクト12〜15分)を公式に分けて載せている。CLOVAはカゴ寸法350×250×150〜600×400×300mm、蒸留能75〜200L/hの3型式。水溶性加工油向けのエマルジョン洗浄機もあり、自社ワークの洗浄テストを受け付けている。

株式会社クリンビーの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

タップ穴の切粉とバリを、洗浄と同時に取るなら

株式会社スギノマシン

最高245MPaの高圧水で狙い撃ち。洗ラボのテストは清浄度とサイクルタイムを数値で返す

高圧水部品洗浄機JCCシリーズは水を最高245MPaまで加圧し、CNC制御で狙った穴や面に噴射してバリや切りくずを除去する。1998年の販売以来、世界30カ国以上で6,000台超を納入(公式記載)。幅600mmのJCC-Moduleや遠心乾燥付きのJCC-MULTIもある。富山県滑川市の洗ラボでは送ったワークで洗浄・乾燥テストを行い、立会可、結果を報告書で数値化する。

株式会社スギノマシンの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

精密部品を、高い清浄度で洗うなら

株式会社カイジョー

19.5kHz〜3MHzの超音波から周波数を選び、自社の超音波実験室でテストしてから決める

1958年に時計用超音波洗浄機を製品化し、作動周波数19.5kHz〜3MHzの超音波洗浄機をそろえる。低周波(26〜38kHz)は機械加工部品の脱脂、中間周波数(78〜160kHz)はHDD部品やレンズ、200〜950kHzは半導体向けと公式に説明。多槽式自動洗浄装置、真空洗浄装置、炭化水素系の3槽式超音波洗浄装置などの装置も持ち、超音波実験室で洗浄テストを行う。

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