3比較ハブロボットSIer(システムインテグレーター)

ロボットSIer(システムインテグレーター) · 用途別

溶接ロボットを導入する|中小の溶接・板金工場のSIer選びとポジショナー・治具の考え方【2026年版】

アーク溶接・スポット溶接・レーザー溶接をロボット化したい中小企業向けに、溶接ロボットのSIerの選び方、ポジショナーや治具の役割、少量多品種への対応、テストと補助金の活用、導入前の準備を公式サイトの記載から整理します。溶接を得意とする掲載会社の比較表も載せています。

公開 2026年10月1日

溶接は、熟練者の不足が特に深刻な工程です。ロボットに任せれば品質がそろい、作業者を危険な作業から離せますが、うまく動かすには治具やポジショナーまで含めた設計が欠かせません。

このページでは、溶接ロボットを導入するときのSIerの選び方と、準備することをまとめます。

溶接は、ワークの寸法のばらつきや、熱による歪みの影響を受けやすい作業です。そのため、ロボット本体よりも、ワークを正しく置く治具と、溶接しやすい姿勢に回す装置の出来が結果を左右します。

溶接を得意とするSIerを比べる

溶接ロボットを公式に主要な分野として挙げている掲載会社を並べます。得意な溶接の種類と、テストや支援の手段を比べてください。

会社公式に挙げている溶接テスト・支援
髙丸工業仮付け、薄板のタップ溶接から厚板の多層盛り溶接ロボットテクニカルセンター、補助金活用支援
ROBO TACアーク溶接、スポット溶接不二越・安川・ダイヘン・ファナックの実技機で特別教育
IKOMAロボテック自動車部品・建設機械部品の溶接ロボット、溶接セルオープン・ラボの案内
ラインワークス溶接ロボット支援システム(ポジショナー一体)ポジショナー・ロボット走行台車を自社で設計製造(テスト設備の記載なし)
サンメカニックスポット、アーク、レーザー溶接ファナック製品の技術とノウハウ
三明機工アーク溶接、レーザ溶接工場内のロボットラボ

このほか、トライエンジニアリングは摩擦攪拌接合(FSW)に取り組んでいます。アイズロボはファイバーレーザー溶接に挑戦するとしていますが、溶接事業のページは「サービス開始に向け、現在準備中」の表示です。溶接の方式が決まっていれば、その方式の事例を持つ会社から当たってください。

ポジショナーと治具が品質を決める

溶接ロボットは、ワークを溶接しやすい角度に回すポジショナーと組み合わせて使うことが多くあります。下向きの姿勢で溶接できれば、品質も速度も上がります。

  • ポジショナー: 被溶接物を溶接に最適な角度に回転させる(IKOMAロボテックの説明)
  • ロボットスライダー: ロボットを直線移動させ、長いワークに届かせる(1軸から3軸)
  • 溶接治具: ワークを正しい位置に固定する。品種ごとに必要になることが多い
  • 複数ロボットの協調: 自動車部品などで生産性を上げる

ラインワークスは、昇降式片持3軸ポジショナーのSKETTEシリーズを開発し、溶接ロボットとポジショナーが一体化した溶接ロボット支援システムを展開しています。建設機械のフレームのような大物では、こうした周辺装置の大きさと動き方が導入の可否を決めます。

少量多品種の溶接をロボットにするには

中小の溶接工場では、同じ製品を大量に作ることは少なく、品種が多いのが普通です。少量多品種でロボットを使うには、段取り替えの手間を減らす工夫が必要です。

工夫内容
溶接セルシステム小さな区画にロボットと治具をまとめ、品種を入れ替える(IKOMAロボテックは少量多品種に適したセルシステムを紹介)
オフラインティーチング現場を止めずにパソコンで動きを作る(東洋理機工業はスタッド溶接ロボット用のオフラインティーチングソフトを実績に挙げる)
自動補正ワークの微細な形の違いに合わせて教示データを補正する(髙丸工業がリンクウィズ社のティーチングデータ自動生成・補正システムを紹介)
汎用の治具品種ごとに作り分けず、共通化する

どの工夫が合うかは、品種の数とロットの大きさで変わります。1年分の生産品目と数量の一覧をSIerに見せると、ロボットに任せる範囲を具体的に提案してもらえます。

テストで確かめること

溶接ロボットは、実際のワークで溶接してみて初めて品質がわかります。テストでは次の点を確かめてください。

  1. ビードの外観と溶け込み(必要なら断面で確認)
  2. ワークのばらつきに対して、狙いがずれないか
  3. 熱による歪みが許容範囲か
  4. 1個あたりの時間(タクト)と、段取り替えの時間
  5. スパッタの量と、後工程の手直しの有無

髙丸工業は、グループのロボットテクニカルセンターで産業用ロボットシステムの試験を行うと書いています。導入事例では、ロボット導入を検討する企業がこの施設で導入検証を行っていると紹介しています。

補助金を使った溶接ロボットの導入

溶接ロボットの導入は費用が大きいため、補助金を使う中小企業もあります。髙丸工業は、補助金活用支援事業のページを設け、補助金を使った導入事例をインタビューで公開しています。

  • 事例の会社は、創業時から人材の確保・教育に苦労していたと語っている
  • 組合の会合でSIerと会い、ロボット導入実証事業補助金を知ったことがきっかけ
  • 公募期限ぎりぎりでの書類作成だったと振り返っている

補助金の公募は時期が決まっているので、導入したい工程が決まったら早めにSIerと構成と見積を固めておくのが確実です。制度の詳細は、補助金の基礎知識の記事で整理しています。

溶接ロボットのメーカーを選ぶ

溶接ロボットは、ロボットと溶接電源の組み合わせで性能が決まります。既に使っている溶接機やロボットがあれば、同じメーカーに対応できるSIerが保守まで頼みやすくなります。

会社公式に挙げているメーカー
ROBO TAC不二越、安川電機、ダイヘン、ファナック
サンメカニックファナック(強み)
トライエンジニアリング安川電機、ファナック、不二越、KUKAなど(デモ機・製品ページ)
戸苅工業製作実例にカワサキ、ABB

ROBO TACは不二越・安川電機とロボット特約店契約を結んでいると書いています。複数メーカーを扱う会社なら、溶接の方式とワークに合わせてメーカーを比べた提案を受けられます。

溶接ロボットの導入前に準備すること

最初の相談の前に、次の情報をそろえておくと、提案が早く具体的になります。

  • 溶接するワークの図面(品種ごと)と材質・板厚
  • 溶接の方式(CO2、TIG、スポット、レーザーなど)と継手の種類
  • 品種の数と、月ごとの数量
  • 今の溶接の手順と、仮付けの有無
  • 工場の広さ、クレーンの有無、電源の容量

仮付けまでを人が行い、本溶接をロボットに任せる分け方もあります。髙丸工業は部品の仮付けもロボットの対象に挙げているので、どこまで任せるかをSIerと相談してください。

アーク溶接以外の接合も候補に入れる

歪みやヒューム、材料の組み合わせで困っているなら、アーク溶接以外の接合方法をロボットで行う選択肢もあります。掲載会社が取り組んでいる方法を並べます。

方法公式の記載会社
摩擦攪拌接合(FSW)溶融溶接と比較し約1/10の歪量といわれる。溶接ワイヤー・シールドガスが不要トライエンジニアリング
ファイバーレーザー溶接通常の産業用ロボットや協働ロボットと組み合わせる(サービス開始に向け準備中)アイズロボ
レーザー溶接代表的な導入事例・導入可能なシステムに挙げる三明機工、サンメカニック

トライエンジニアリングは、アルミダイカストや押出材を組み合わせる部品では従来の溶接で品質を確保するのが難しいことがあると説明し、ロボットFSWを提案しています。社内のデモ機でテスト加工に対応すると書いているので、材料と継手の形を持ち込んで比べられます。

溶接の自動化を広げるときの順番

溶接ロボットがうまく動き始めたら、前後の工程の自動化も検討できます。いきなり全体を自動化せず、段階を分けるのが安全です。

  1. 品種が少なく数量の多い製品から溶接ロボットを入れる
  2. 治具の共通化やオフラインティーチングで品種を増やす
  3. ワークの搬入・搬出をロボットや搬送装置に任せる
  4. 溶接後のバリ取りや検査の自動化を検討する

髙丸工業はバリ取りや搬送、三明機工は溶接・搬送やバリ取り・研磨も扱っています。最初の工程で付き合ったSIerに、次の工程も相談できると話が早く進みます。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

中小企業でも溶接ロボットを導入できますか?

できます。髙丸工業は、溶接の中小企業が補助金を活用して溶接ロボットシステムを導入した事例をインタビューで公開しています。品種と数量を整理して、ロボットに任せる範囲から相談してください。

少量多品種でも溶接ロボットは使えますか?

工夫すれば使えます。IKOMAロボテックは少量多品種に適した溶接セルシステムを紹介しており、オフラインティーチングや治具の共通化で段取り替えの手間を減らす方法もあります。

溶接ロボットのテストはできますか?

できる会社があります。髙丸工業はロボットテクニカルセンターで試験を行い、三明機工は工場内のロボットラボでテストトライに対応しています。

【用途別】ロボットSIerおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

溶接をロボット化したい中小企業で、補助金も使いたいなら

髙丸工業株式会社

溶接ロボットシステムが軸。ロボットテクニカルセンターで導入検証、補助金活用支援の専用ページ

溶接ロボットシステムは部品の仮付け、薄板のタップ溶接から厚板の多層盛り溶接までを対象に挙げ、搬送・バリ取り・塗装のロボットシステムも一品一品オーダーメイドで製作する。グループのロボットテクニカルセンター(RTC)で産業用ロボットシステムの試験・設計・製造・オペレーター教育を行う。公式サイトに補助金活用支援事業のページがあり、企画立案から申請書類の作成支援、技術者育成、導入後のアフターサポートまでワンストップで手伝うとしている。溶接の中小企業が補助金で溶接ロボットを入れた事例インタビューも公開している。

髙丸工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

食品工場の箱詰め・トレー詰め・選別を自動化したいなら

株式会社ニッコー

選別・集積・箱詰め・トレー詰め・充填。北海道ロボットラボラトリーにワークを持ち込んで検証

創業当時から食に関わる機械設備を製造してきた会社で、ロボットシステムの対象を選別・集積・箱詰め・トレー詰め・充填と段積みなどの周辺機器に絞って公開している。北海道ロボットラボラトリーで産業用ロボットの特別教育と導入前の実機検証を行い、ワークや製品を持ち込んで実環境に近い条件で評価できる。FAQで補助金について「ものづくり補助金など、毎年利用可能な制度があります」と答え、申請サポートにも対応するとしている。

株式会社ニッコーの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

旋盤やマシニングセンタのワーク着脱をロボットにして、夜間も動かしたいなら

浜田製作株式会社

創業以来1,400件以上の納入実績。工作機械とのワーク脱着が中心、実機を持ち込む訪問デモ

創業以来1,400件以上のロボットシステムの納入実績があり、主に工作機械とのワーク脱着作業や射出成型でのワーク取り出しの実績だと公式に示している。実機を持ち込んでの訪問デモを行う。FANUC GLOBAL ROBOT PARTNER OF THE YEAR 2025で「Application Award」を受賞し、ファナックロボット会の会員。事例にはストッカから円筒ワークを取り出して2台の旋盤へ取り付けるシステムなどがある。

浜田製作株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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