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熱処理の受託加工会社 · 基礎知識

導入事例から見る熱処理の受託先の選び方歪み・寿命・納期の事例の読み方【2026年版】

熱処理の受託会社の公式サイトに載っている加工事例・課題解決事例を集め、歪みと割れ、硬さと寿命、短納期、航空宇宙・AM部品の事例に分けて整理しました。テストピースの技術事例の読み方と、事例から試し処理に進む手順もまとめています。

公開 2026年10月4日

イラストはイメージです(特定の製品ではありません)

熱処理の受託会社の公式サイトには、加工事例や課題解決事例のページがあります。熱処理は外から仕上がりを確かめにくい工程なので、材質・処理条件・硬さ・結果が書かれた事例は、依頼先を選ぶ大切な材料になります。

このページでは、掲載25社の公式サイトに出ている事例を集め、読み方と比べ方を整理しました。情報は2026年10月4日に確認したもので、数字は事例ページの書き方のまま載せています。

熱処理の事例で読む6つの項目

事例の写真だけでは、どんな条件で処理したのかがわかりません。次の6つが書かれているかを確かめてください。

  1. 材質と寸法(S45C、SCM440、SKH51など)
  2. 処理の種類と条件(温度、保持時間、冷却の方法)
  3. 硬さと硬化層の深さ
  4. 依頼のきっかけになった課題(歪み、割れ、寿命、納期など)
  5. 成果の数字(歪みの量、寿命の倍率、日数など)
  6. 実際の依頼なのか、自社のテストピースでの技術事例なのか

熱処理の事例は、依頼企業の社名を伏せたものがほとんどです。材質と形状が自社の部品に近いかを中心に読んでください。

歪みと割れを抑えた事例

熱処理の相談で多いのが、歪みと割れです。処理の方法を変えて解決した事例を並べます。

会社品物・材質公式に書かれた内容
富士高周波工業薄肉Vリング(Φ326×Φ289×T4・S45C)高周波焼入れでは歪が大きく寸法公差を外れたため、レーザ焼入れでV面の表面のみを焼入れ(HRC58、深さ0.3mm)
富士高周波工業主軸(φ280×L780・SCM440)穴・溝加工が多く高周波では割れの危険性が高いため、レーザ焼入れ(深さ1.0~1.5mm、HRC50~56)
岡谷熱処理工業ハイス(YXRなど)のプレート他社で0.2〜0.4程あった焼き上がり時の歪(ソリ)が、真空熱処理で0.1mm程度に
共和熱処理スパー(FCD450)肉厚が不均一でひずみが大きい部品を、製品を整列セットして均一に加熱・冷却
共和熱処理高合金大型鍛造金型2段階加熱、引き上げ焼入れ、1~3次焼もどしで処理し、ブリネル硬さ9点測定で品質を確認(依頼は加熱割れ・焼割れの防止と硬さばらつきの抑制)

同じ歪みの悩みでも、レーザ焼入れ・真空熱処理・炉への並べ方など、解決の方法は会社ごとに違います。自社の部品の形に近い事例を持つ会社から相談すると話が早く進みます。

硬さと寿命が変わった事例

処理を変えたことで、硬さや部品の寿命が変わった事例もあります。倍率や硬さの範囲が書かれているかを確かめてください。

会社品物・材質公式に書かれた内容
岡谷熱処理工業H社・ベアリングのボール軸受け部分(炭素量0.2%程度の低カーボン鋼)ガス浸炭から真空浸炭に変えて粒界酸化が発生しなくなり、耐久性が従来の1.3倍に
石井熱錬SK-4真空浸炭炉でHRC65~67.5。HRC65以上を安定して出せることが評価され規格変更に
石井熱錬SUS304真空浸炭炉で800HV程度。焼入特有の組織変態に因る変形は存在していない
岡谷熱処理工業SKH51の金型(t70×300×300)他社品は1000ヶ位で欠けが発生。サブゼロ+繰返し焼戻しで寿命が延びた(倍率の記載なし)

寿命の倍率は、使われ方や相手材で変わります。事例の数字は目安として読み、試作品で確かめてください。

急ぎの依頼に応えた事例

部品の作り直しや工程の遅れで、熱処理を急ぎたい場面もあります。短い日数を事例で示している会社があります。

  • 富士高周波工業: 単発品のヘリカルギヤ(M18×80T×340W×φ1440・SCM435)の高周波焼入れで、数千種類保有するコイルを社内で修正し、中1日で対応。
  • 北山熱錬工業所: 加工途中の失敗で作り直しになった1個を、朝の相談から昼までに持ち込んでもらい、翌日に渡した。
  • 北山熱錬工業所: 他社で2週間から3週間と言われた依頼に、平均2~3日で渡せると回答して受託(実際の日数の記載なし)。

急ぎの依頼は、炉の空き状況や処理の種類で受けられるかが変わります。アイキン熱処理工業のように、特急対応に別途特急料金がかかると書いている会社もあります。

航空宇宙やAM部品の事例

超合金や金属積層造形(AM)の部品は、規格に沿った温度管理と記録が求められます。処理の条件まで公開している事例を並べます。

会社品物公式に書かれた条件
ファインテック大型AM製 IN625部品(全長900mm弱)応力除去焼鈍(AMS2774、1177℃±14℃、真空、Arガス急冷)。複数箇所の熱電対で実体温度を測定
ファインテックロケットエンジン・ライナー(銅合金のAM部品)真空排気後に550℃~600℃まで加熱し、10~12時間保持後にAr冷却。実体温度を測定

ファインテックは、島津製作所航空機事業部(2014年)と川崎重工業ガスタービン事業部(2015年)の特殊工程承認も公式に載せています。規格品を頼むときは、事例とあわせて承認や認定の有効性も確かめてください。

技術事例とお客様の事例を分けて読む

自社で用意したテストピースで、処理の違いを見せている事例もあります。依頼の実績ではありませんが、その会社の得意な技術がわかります。

  • 横浜高周波工業: 大径部φ35・小径部φ25のテストピースで、専用コイルなら3か所を一度に焼入れでき、指示に近い硬化層を得られることをマクロ組織で示しています。
  • 横浜高周波工業: φ30の丸棒を30kHz・50kHz・200kHzの3種類の周波数で焼入れし、周波数が低いほど硬化層が深くなることを断面で示しています。
  • 共和熱処理: パーキングギヤ(SCR420)で、冷却速度をコントロールしてフェライトバンドもベイナイトも出さない焼ならしの条件を設定した事例を載せています。

テストピースの結果は、条件をそろえて作った値です。自社の部品の形状では、試し処理の結果と分けて考えてください。

事例の少ない会社を比べるときは

2026年10月4日に確認した範囲では、25社のうち7社の公式サイトで個別の加工事例を確認できました。事例がない会社でも、炉の寸法や処理の種類、検査設備は公開されていることが多くあります。

  • 自社の材質と同じ処理の実績があるかを、問い合わせで聞く
  • 硬さの測定値や処理証明書を出せるかを確かめる
  • 標準納期を確かめる(アイキン熱処理工業は真空焼入れ+低温焼戻し2回で中1営業日、富士高周波工業は受託加工の高周波事業部で3営業日、試作は7営業日と公開)

事例から試し処理まで進める順番

事例を使って依頼先を絞る流れをまとめます。最初から1社に決めず、2~3社の事例を見比べるのが基本です。

  1. 部品の材質・寸法と、困っていること(歪み、割れ、寿命、納期)を書き出す
  2. 同じ材質・同じ悩みの事例を公式に載せている会社を探す
  3. 事例の処理条件と硬さが、図面の指示と合うかを確かめる
  4. 事例が実際の依頼か、テストピースの技術事例かを確認する
  5. 図面と数量をそろえて見積を取り、検査記録・歪取り・運賃まで含めて比べる

事例の部品が近くても、形状や質量が違えば仕上がりも日数も変わります。最後は自社の部品での試し処理の結果で判断してください。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

熱処理の事例は、どこを見て比べればよいですか?

材質と寸法、処理の種類と条件、硬さと硬化層の深さ、きっかけになった課題、成果の数字、実際の依頼かテストピースかの6つを見ます。社名が出ていない事例は、材質と形状が自社の部品に近いかを中心に読んでください。

歪みを減らした事例はありますか?

岡谷熱処理工業は、他社で0.2〜0.4程あったハイスのプレートの歪(ソリ)が、真空熱処理で0.1mm程度になった事例を載せています。富士高周波工業は、高周波焼入れで歪が大きかった薄肉Vリングを、レーザ焼入れで表面だけ焼入れした事例を載せています。

急ぎの熱処理を頼めますか?

富士高周波工業は単発品のヘリカルギヤを中1日で対応した事例を、北山熱錬工業所は作り直しの1個を翌日に渡した事例を載せています。受けられるかは処理の種類や炉の空きで変わり、特急料金がかかる会社もあるので、早めに相談してください。

【用途別】熱処理の受託加工会社おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

金型や試作部品を、1個から日数の見通しを持って焼入れしたいなら

アイキン熱処理工業株式会社

FAQで「1個からご対応」。真空焼入れは中1営業日〜、プラズマ窒化は中2営業日、ISO9001/14001

アイキン熱処理工業株式会社の公式サイトへ特徴・対応条件を見る

大型ギヤや長いシャフトの、必要な部分だけを硬くしたいなら

富士高周波工業株式会社

ギヤφ4,000mm・7.0t、シャフト6,000mm。1〜100,000ヶ/月、標準納期3営業日、ISO9001

富士高周波工業株式会社の公式サイトへ特徴・対応条件を見る

航空機・研究用のアルミ合金を、規格どおりの記録つきで熱処理したいなら

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)

Nadcap認定を掲げ、T4〜T7を最小ロット1個から。1,500×1,500×1,000mm、温度チャート提出可

TANIDA株式会社(かほく工業試験所)の公式サイトへ特徴・対応条件を見る

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