部品洗浄機 · 基礎知識
部品の清浄度はどう決めて、どう測るか|残渣質量・粒径・油分・濡れ性の数え方【2026年版】
部品洗浄機の見積やテストで必ず問われる清浄度を、残渣の質量、粒子の大きさ、残留油分、表面の状態、水分の5つの物差しに分けて解説します。掲載メーカーがテストで実際に使っている測り方と、仕様書への書き方を公式情報から整理しました。
部品洗浄機を選ぶとき、最後に比べるのは、どこまできれいになったかです。ところが清浄度の基準を決めないままテストを頼むと、結果を比べられません。
きれいさを5つの物差しに分ける
清浄度は1つの数字ではなく、何が残っているかによって測り方が変わります。掲載メーカーの公式情報で使われている物差しを並べると、次の5つです。
| 物差し | 何を見るか | 公式に挙げている会社の例 |
|---|---|---|
| 残渣の質量 | 洗った後の部品から集めた異物の重さ | 日伸精機(電子天秤でフィルターの重量計測) |
| 粒子の大きさ | 残った異物の粒径の上限 | 中農製作所(例: 粒径φ0.6mm以下、重さ1mg以下) |
| 残留油分 | 表面や液中に残る油の量 | 髙橋金属(残留油分を評価)、アクトファイブ(洗浄中の油分濃度を数値化) |
| 表面の状態 | 濡れ性や外観、変色、シミ | 髙橋金属(濡れ性・外観)、日伸精機(デジタルマイクロスコープ) |
| 水分 | 乾燥後に残る水の量 | スギノマシン(乾燥前後のワーク質量の差分を報告) |
自社の不良が何から起きているかで、どの物差しを使うかが決まります。組立後の作動不良なら異物の質量と粒径、塗装やめっきのはがれなら油分と濡れ性が中心です。
残渣の質量と粒径:コンタミ基準の読み方
自動車部品などでは、洗浄後の部品に残る異物を集めて重さと大きさで管理します。中農製作所は、自動車の内燃機関部品のように基準が厳しい業界の要望をクリアした例として、粒径φ0.6mm以下・重さ1mg以下を挙げています。
- 異物の集め方: 洗った部品を別の液ですすぎ、その液をフィルターでこす
- 重さの測り方: フィルターの重量を電子天秤で量る(日伸精機のラボの検査機器)
- 大きさの見方: フィルター上の粒子を拡大して見る(日伸精機はデジタルマイクロスコープを保有)
- 基準の書き方: 1部品あたりの質量の上限と、最大粒径の上限を、単位とセットで書く
基準値は部品の図面や顧客の品質要求に書かれていることが多くあります。社内の品質保証部門に、今使っている数字を確認してからテストを頼んでください。
残留油分と濡れ性:表面処理の前に見る数字
塗装、めっき、コーティングの前は、目に見えない薄い油膜が問題になります。髙橋金属は洗浄テストで、目視の外観確認に加えて、濡れ性や重量変化、分析機器による測定で評価すると公式に書いています。
| 見たいこと | 公式の記載 |
|---|---|
| 表面に油が残っていないか | 髙橋金属: 残留油分や表面状態、次工程への影響まで確認 |
| 洗浄液が汚れていないか | アクトファイブ: 洗浄中の油分濃度・粒子分散数・超音波強度の変化をリアルタイムで数値化(AIS-ROM) |
| 表面処理の前処理として十分か | 東製: 完全水系洗浄液TAKクリーナーをイオンプレーティングやDLC等の前洗浄に使える |
洗浄液の汚れは、使い続けるうちに部品の清浄度を下げます。部品の測定だけでなく、液の状態を管理する仕組みがあるかも比べてください。
水分と乾燥:錆とシミを防ぐ
水系で洗った部品は、乾燥が不十分だと錆や水シミの原因になります。スギノマシンは乾燥テストで、乾燥前後のワーク質量の差分を水分質量として報告すると記載しています。
- スギノマシン: 乾燥テストで乾燥前後の質量差とサイクルタイムを数値で報告
- 中農製作所: 洗浄室と乾燥室を分けた二室構造で、乾燥力を高める
- AQUAPASS: 高圧ブローで吹き飛ばして乾かし、乾燥によるシミや変色を防ぐ
- ワイドエンジニアリング: 純水リンス、高圧ブロー、熱風乾燥の乾燥重視タイプはアルミ製品のシミ防止向け
乾燥は触った感じではなく、質量や外観で基準を決めると比べやすくなります。穴の多い部品は、穴の中の水分まで確認してください。
基準を仕様書にどう書くか
清浄度をテストや見積の条件に入れるときは、測り方まで一緒に書くのがこつです。測り方が違うと、同じ上限値でも結果を比べられません。
- 対象: 部品名、材質、1回に洗う個数
- 物差し: 残渣質量、最大粒径、残留油分、濡れ性、水分のどれを使うか
- 基準値: 単位つきの上限値(例: 1部品あたり1mg以下)
- 測り方: 異物の集め方、フィルターの目の細かさ、測定器
- サンプル数: 何個測って、平均で見るか最大で見るか
- 時間条件: 1サイクルの目標時間(タクト)
スギノマシンは、要望の清浄度やサイクルタイムの達成可否を検討するとテストの説明に書いています。清浄度とタクトを両方書いて渡すと、メーカー側も条件を組みやすくなります。
部品だけでなく、洗浄液の状態も測る
同じ洗浄機でも、洗浄液が汚れてくると部品の清浄度は下がります。部品の測定と合わせて、液の状態を見る仕組みがあるかどうかも比べてください。
- アクトファイブ: 洗浄管理システムAIS-ROMで、洗浄中の油分濃度や粒子分散数、超音波強度の変化を数値化
- 髙橋金属: 対応範囲に液管理(濃度・劣化の見える化)と液処理(排水・廃液)を挙げる
- スギノマシン: 使用中の洗浄液を送ると、液中の異物・油分の除去を数値で報告する浄化テストがある
- カイジョー: サポートページで音圧計用ソフトを提供している
液の管理は、測る時期を決めておくことが大切です。液を入れ替えた直後と、入れ替える直前の両方で部品を測ると、液の寿命と清浄度の関係が分かります。
清浄度の話で起きやすい行き違い
清浄度の基準は、社内の部署やメーカーとの間で意味がずれやすい言葉です。よくある行き違いを挙げておきます。
- きれいの基準が違う: 品質保証は異物の質量、製造は見た目を思い浮かべている
- 測り方が違う: 同じ上限値でも、フィルターの目の細かさで結果が変わる
- 測る個数が違う: 1個だけ測った結果と、ロットの最大値では意味が違う
- 時間の条件が抜ける: 清浄度は満たしたが、タクトに収まらない
行き違いを防ぐには、基準と測り方を1枚の紙にまとめて、社内とメーカーの両方に同じものを渡すのが確実です。テストの前にその紙を作っておくと、比べる作業が短く済みます。
数値で返してくれる会社を選ぶ
テストの結果を数字で受け取れるかどうかは、会社によって違います。公式サイトで、結果を数値や報告書で返すと書いている会社は次のとおりです。
- スギノマシン: 清浄度やサイクルタイムを数値にし、報告書にまとめる
- 髙橋金属: 洗浄効果を数値やデータで評価する
- 平出精密: テスト後に結果レポートを渡す
- 日伸精機: 洗浄効果を検査機器で確認する
- ケンテック: 業務内容に洗浄テストと残渣解析を挙げる
- プリス: 洗浄テスト・分析・測定のサービスを行う
記載がない会社でも、問い合わせれば測ってもらえる場合があります。依頼の最初に、どの物差しで、どの形式で結果をもらえるかを確認してください。
この記事に出てくるメーカー
- アクトファイブ株式会社方式を実験で決める
- 株式会社AQUAPASS電子部品を純水で連続洗浄
- 株式会社平出精密溶剤ゼロの水系インライン
- 株式会社カイジョー精密部品の超音波洗浄の本命
- 株式会社ケンテック溶剤を外に出さない密閉型
- 株式会社中農製作所加工機横の一個流し
- 日伸精機株式会社重量部品のスプレー洗浄
- 株式会社プリス方式を決める前の相談先
- 株式会社スギノマシン切粉・バリ除去の本命
- 髙橋金属株式会社電解水で薬品を減らす
- 東製株式会社表面処理前の水系精密脱脂
- 株式会社ワイドエンジニアリング排水ゼロのクローズド
参照元
よくある質問
部品の清浄度はどうやって測りますか?
よく使われるのは、洗った部品から異物を集めて重さを量る方法と、粒子の大きさを見る方法です。日伸精機はラボで電子天秤によるフィルターの重量計測やデジタルマイクロスコープを使っています。表面処理の前なら、残留油分や濡れ性も確認します。
コンタミ基準はどのくらいが一般的ですか?
部品や顧客の要求で決まり、一律の数字はありません。中農製作所は、自動車の内燃機関部品など基準が厳しい業界の例として、粒径φ0.6mm以下・重さ1mg以下を挙げています。自社の図面や品質要求の数字を確認してください。
テスト結果を数値で出してもらえますか?
スギノマシン、髙橋金属、平出精密などは、テスト結果を数値や報告書で返すと公式に書いています。記載のない会社には、どの項目をどの形式で報告してもらえるかを事前に確認してください。
【用途別】部品洗浄機メーカーおすすめ3選
切削油・プレス油を、炭化水素で脱脂するなら
株式会社クリンビー
多槽式タクト3〜6分と1槽式12〜15分。カゴ寸法と蒸留能力まで公式に数字がある
炭化水素系の洗浄機を主力にし、生産量の多い現場向けの多槽式CLEANVY(タクト3〜6分)と、少量向けの1槽式真空洗浄乾燥機CLOVA(タクト12〜15分)を公式に分けて載せている。CLOVAはカゴ寸法350×250×150〜600×400×300mm、蒸留能75〜200L/hの3型式。水溶性加工油向けのエマルジョン洗浄機もあり、自社ワークの洗浄テストを受け付けている。
タップ穴の切粉とバリを、洗浄と同時に取るなら
株式会社スギノマシン
最高245MPaの高圧水で狙い撃ち。洗ラボのテストは清浄度とサイクルタイムを数値で返す
高圧水部品洗浄機JCCシリーズは水を最高245MPaまで加圧し、CNC制御で狙った穴や面に噴射してバリや切りくずを除去する。1998年の販売以来、世界30カ国以上で6,000台超を納入(公式記載)。幅600mmのJCC-Moduleや遠心乾燥付きのJCC-MULTIもある。富山県滑川市の洗ラボでは送ったワークで洗浄・乾燥テストを行い、立会可、結果を報告書で数値化する。
精密部品を、高い清浄度で洗うなら
株式会社カイジョー
19.5kHz〜3MHzの超音波から周波数を選び、自社の超音波実験室でテストしてから決める
1958年に時計用超音波洗浄機を製品化し、作動周波数19.5kHz〜3MHzの超音波洗浄機をそろえる。低周波(26〜38kHz)は機械加工部品の脱脂、中間周波数(78〜160kHz)はHDD部品やレンズ、200〜950kHzは半導体向けと公式に説明。多槽式自動洗浄装置、真空洗浄装置、炭化水素系の3槽式超音波洗浄装置などの装置も持ち、超音波実験室で洗浄テストを行う。