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部品洗浄機 · 基礎知識

水系・炭化水素・溶剤の選び方|部品洗浄機の洗浄液で変わる設備と運用【2026年版】

部品洗浄機の洗浄液を、水系(純水・電解水・アルカリイオン水)、炭化水素系、フッ素系・塩素系などの溶剤系に分けて、落とせる油、乾燥、排水、溶剤の回収、届出の考え方を掲載32社の公式情報で比較します。32社のうち炭化水素系に対応するのは14社でした。

公開 2026年10月1日

部品洗浄機を選ぶとき、方式より先に決まるのが洗浄液です。洗浄液が決まると、乾燥方法、排水の扱い、溶剤の回収設備、置き場所の条件まで変わります。

このページでは、洗浄液を3つの系統に分け、掲載メーカーの公式情報から向き不向きを整理します。

3つの系統と、掲載32社の対応状況

洗浄液は大きく、水系、炭化水素系、フッ素系・塩素系などの溶剤系に分かれます。掲載32社の公式サイトの記載を数えると、次のとおりです(複数に対応する会社は重複して数えています)。

系統主な中身対応を公式に書く会社の例
水系純水、アルカリ性洗浄剤、電解水、アルカリイオン水平出精密、髙橋金属、日伸精機、中農製作所、AQUAPASS、東製
炭化水素系ノーマル、水切り剤、エマルジョン、含水非引火性など14社(クリンビー、アクアテック、アクトファイブ、森合精機など)
溶剤系フッ素系、臭素系、塩素系、HFE、不燃性溶剤タイセイクリンケミカル、ジャパン・フィールド、特機工業、ケンテック
液を使わないドライアイス不二製作所、グリーンテックジャパン

1台で水系と炭化水素系の両方を扱える機種もあります。アクトファイブのマルチ洗浄機ⅢCWS/DWSや、アクアテックのハイブリッド洗浄装置がその例です。

炭化水素系:蒸留再生で繰り返し使う

炭化水素系は、切削油やプレス油のような油性の汚れを溶かして落とす洗浄液です。クリンビーはFAQで、炭化水素系は蒸留再生で繰り返し使え、排液の出ないクローズドシステムが可能と説明しています。

  • 油性汚れに強い: クリンビー、アクアテック、森合精機などが脱脂用途で公式に挙げる
  • 水溶性の汚れも対応できる種類がある: クリンビーはエマルジョンタイプや含水非引火性タイプを挙げる
  • 真空で扱うのが主流: 1槽の中で洗浄から真空乾燥まで行う機種が多い
  • 届出の確認が要る: クリンビーはFAQで、溶剤保有量が指定数量以上なら消防署の認可、5分の1以上なら届出が必要と説明

クリンビーのCLOVAは、溶剤保有量を型式ごとに240L、300L、795Lと公式に載せています。導入前に、この数字で所轄の消防署に相談してください。

水系:溶剤を使わない代わりに、乾燥とすすぎが課題

水系は危険物の扱いが要らず、作業者の負担を減らせる洗浄液です。一方で乾いた後のシミや錆、すすぎ水の処理が課題になり、各社がそこに工夫をしています。

メーカー水系の工夫(公式記載)
平出精密純水を標準利用し有機溶剤ゼロ。油水分離機で洗浄水を再利用するオプション
髙橋金属電解アルカリイオン水で切削油・プレス油・異物を除去
日伸精機洗剤を必要としない強アルカリイオン洗浄水を開発
AQUAPASS純水で洗い、1時間に6〜10回ろ過。高圧ブローで吹き飛ばして乾燥
中農製作所洗浄室と乾燥室を分けた二室構造で乾燥力を高める
東製油を透明に溶解する完全水系洗浄液TAKクリーナーを自社開発

クリンビーはFAQで、水系洗浄は排水が出るため、排水設備がないと難しいと書いています。排水設備がない工場では、ワイドエンジニアリングのように排水を出さないクローズドシステムの水系機も候補です。

溶剤系:不燃性と密閉がキーワード

フッ素系や塩素系などの溶剤は、洗浄力と乾きの速さが特長です。その分、溶剤を外に逃がさない構造かどうかが機種選びの中心になります。

  • タイセイクリンケミカル: 不燃性有機溶剤による洗浄機に特化。低濃度の蒸気を−25℃で液化回収する
  • ジャパン・フィールド: Green Vaporはバスケット出し入れ時の溶剤ガス拡散を抑える常圧機
  • ケンテック: 装置への空気流入も溶剤ガスの排出もない完全密閉型で、溶剤を入れ替えて使える
  • プリス: 炭化水素系で洗ってフッ素系に置き換えるコ・ソルベント方式

ケンテックは、使用溶剤は常温で液体の揮発性溶剤であれば炭化水素も含めて全て使えると記載しています。将来の規制変更で溶剤を替える可能性があるなら、兼用できるかも確認してください。

後工程から逆算して選ぶ

洗浄液は、洗った部品を次に何に使うかで絞り込めます。公式に書かれた用途を後工程別に並べると次のようになります。

後工程公式に挙がる洗浄液・機種
熱処理炭化水素系(クリンビーBIOVA、アクトファイブの真空大型機、アクアテック)
コーティング・表面処理水系(東製TAKクリーナー)、エマルジョン(クリンビーEMULIS)
塗装炭化水素系(アクアテック)
組立水系(東製の自動車用バルブの例)、炭化水素系
電子部品の実装・検査純水(AQUAPASS)、ブラシ洗浄乾燥装置(富士ハイテック、実装基板の事例)

同じ後工程でも、残してよい油分の量は部品ごとに違います。基準値を決めてから、候補の洗浄液でテスト洗浄をしてください。

導入後に続く費用は、系統ごとに中身が違う

洗浄液の選択は、本体の価格よりも、毎月かかる費用の中身を変えます。系統ごとに、導入後に続く主な費用を整理すると次のとおりです。

系統導入後に続く主な費用公式の記載の例
水系洗浄剤、すすぎ水、排水処理、乾燥のエネルギー平出精密は油水分離機で洗浄水を再利用するオプション
炭化水素系溶剤の補充、蒸留の加熱、熱媒油、真空ポンプの保守クリンビーはCLOVAの熱媒油寿命を6000時間と記載
溶剤系溶剤の補充、回収装置の保守タイセイクリンケミカルは−25℃での液化回収で大気放出を減らすと記載

アクアテックは、排水が無いため排水処理装置が要らず、安価なクーリングタワーで足りると書いています。見積を比べるときは、本体価格に加えて、こうした周辺設備と消耗品の費用も並べてください。

迷ったら、両方を試せる会社に頼む

水系か炭化水素かを決めきれないときは、両方の機種を持つ会社にテストを頼むと比較が早く済みます。公式サイトで両方の系統を扱うと確認できた会社の一部は次のとおりです。

  • アクトファイブ: 水系、炭化水素系、マルチ洗浄機。実際のワークで洗浄実験
  • クリンビー: 炭化水素系が主力で、水系の全自動洗浄吸引乾燥機もある。WORK洗浄テストを受け付け
  • 日伸精機: DIP-WASHERは炭化水素系・水系洗浄剤のどちらも使用可能。かずさラボラトリーで持ち込みテスト
  • NRTeK: 水系、炭化水素系、溶剤系をオーダーメイド

同じワーク・同じ汚れで2つの系統を比べれば、清浄度だけでなく乾燥時間やランニングコストの差も見えます。テスト結果を並べてから、設備条件の重い方を選ぶかどうかを判断してください。

この記事に出てくるメーカー

参照元

よくある質問

炭化水素系の洗浄機を入れるのに届出は必要ですか?

溶剤の保有量によります。クリンビーはFAQで、洗浄機の保有量が指定数量以上なら消防署の認可、指定数量の5分の1以上なら消防署への届出が必要と説明しています。機種の溶剤保有量を確認し、所轄の消防署に相談してください。

水系洗浄で乾燥後のシミは防げますか?

各社が対策を公式に書いています。AQUAPASSは高圧ブローで吹き飛ばす乾燥、中農製作所は洗浄室と乾燥室を分けた二室構造、ワイドエンジニアリングは純水リンスと熱風乾燥の乾燥重視タイプを載せています。

不燃性の溶剤で洗える洗浄機はありますか?

あります。タイセイクリンケミカルは不燃性有機溶剤による洗浄機に特化しており、クリンベストZEROはフッ素系洗浄剤向けです。特機工業のオールマイティーシリーズもフッ素系・臭素系・塩素系に対応します。

【用途別】部品洗浄機メーカーおすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

切削油・プレス油を、炭化水素で脱脂するなら

株式会社クリンビー

多槽式タクト3〜6分と1槽式12〜15分。カゴ寸法と蒸留能力まで公式に数字がある

炭化水素系の洗浄機を主力にし、生産量の多い現場向けの多槽式CLEANVY(タクト3〜6分)と、少量向けの1槽式真空洗浄乾燥機CLOVA(タクト12〜15分)を公式に分けて載せている。CLOVAはカゴ寸法350×250×150〜600×400×300mm、蒸留能75〜200L/hの3型式。水溶性加工油向けのエマルジョン洗浄機もあり、自社ワークの洗浄テストを受け付けている。

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2

タップ穴の切粉とバリを、洗浄と同時に取るなら

株式会社スギノマシン

最高245MPaの高圧水で狙い撃ち。洗ラボのテストは清浄度とサイクルタイムを数値で返す

高圧水部品洗浄機JCCシリーズは水を最高245MPaまで加圧し、CNC制御で狙った穴や面に噴射してバリや切りくずを除去する。1998年の販売以来、世界30カ国以上で6,000台超を納入(公式記載)。幅600mmのJCC-Moduleや遠心乾燥付きのJCC-MULTIもある。富山県滑川市の洗ラボでは送ったワークで洗浄・乾燥テストを行い、立会可、結果を報告書で数値化する。

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3

精密部品を、高い清浄度で洗うなら

株式会社カイジョー

19.5kHz〜3MHzの超音波から周波数を選び、自社の超音波実験室でテストしてから決める

1958年に時計用超音波洗浄機を製品化し、作動周波数19.5kHz〜3MHzの超音波洗浄機をそろえる。低周波(26〜38kHz)は機械加工部品の脱脂、中間周波数(78〜160kHz)はHDD部品やレンズ、200〜950kHzは半導体向けと公式に説明。多槽式自動洗浄装置、真空洗浄装置、炭化水素系の3槽式超音波洗浄装置などの装置も持ち、超音波実験室で洗浄テストを行う。

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