3比較ハブASIC・カスタムLSI受託開発

ASIC・カスタムLSI受託開発 · 用途別

量産中のFPGAをASICに置き換える|ピン互換・消費電力・数量の判断と相談先【2026年版】

FPGAで量産している製品のコストや発熱を下げたい、FPGAの入手難に備えたい。そんなときの選択肢がASIC化です。掲載会社の公式情報から、置き換えの進め方と、相談先ごとの違いを整理しました。

公開 2026年10月1日

FPGAは、開発の初期費用を抑えて早く製品を出すのに向いた部品です。ただ、量産の数が増えると、部品代や熱対策の費用がかさんできます。

この記事では、量産中のFPGAをASICに置き換えるときの判断材料と、置き換えを案内している会社を整理します。

FPGAのままにするか、ASICにするか

置き換えを考えるきっかけは、主にコスト、消費電力、供給の3つです。掲載会社は次のように説明しています。

きっかけ公式記載の説明
コストメガチップス: 量産数量が多い場合はFPGAがASICよりコスト高になり、損益分岐点を境に逆転する
消費電力・発熱メガチップス: FPGAではクロックゲーティングなどの低消費電力設計ができず、ヒートシンクなどの熱対策が必要になる場合がある
供給セイコーエプソン: FPGAの入手難や生産中止で、値上げへの対応や代替部品の検討、設計変更が必要になる

一方で、FPGAには設計後でも書き換えて仕様を変えられる利点があります。ディー・クルー・テクノロジーズは、ASICは設計後の仕様変更ができず、将来の拡張には再設計が必要と説明しています。

数量の目安をつかむ

ASICにすると初期費用がかかるので、何個作れば元が取れるかが判断の中心になります。目安として公式に示されている例は次のとおりです。

  • NECプラットフォームズ: FPGA→ASIC互換のコスト比較の一例で、8,000個以上生産する場合にトータルコストを削減できる(実際はMOQがあり相談)
  • メガチップス: 必要な数量に応じてFPGAとASICのどちらかを選ぶ判断が不可欠

8,000個は一例で、回路の規模やプロセスで変わります。今のFPGAの単価、ヒートシンクなどの部品代、年間の生産数を出して、各社に試算を頼んでください。

置き換えを案内している会社

FPGAからの置き換えを公式に案内している会社と、その特徴を並べます。

会社置き換えの特徴(公式記載)
メガチップスFPGA資産と要望をヒアリングして転換を提案。ピンコンパチブル対応でボード修正を不要に(不可の場合あり)。論理シミュレーションの代行も可能
セイコーエプソンSpartan6、Cyclone4、MAX10などの低コストFPGAを自社のゲートアレイ・エンベデッドアレイに置き換えた事例を掲載
NECプラットフォームズ0.35um/0.5umのゲートアレイを台湾ベンダ経由で。ASICにするかFPGAにするかの選定から相談
東芝情報システムFPGAをカスタムLSIに変換して供給する、少量多品種向けの開発サービス
ディー・クルー・テクノロジーズFPGAプロトタイプからの移行までワンストップ対応

ピン互換にすれば基板はそのまま

量産中の製品では、基板を作り直すと評価や認証のやり直しが発生します。そこで、FPGAとピン配置をそろえたASICにする方法があります。

  • メガチップス: ボード設計が完了している場合、FPGAとピンコンパチブル対応にすればボード修正が不要
  • メガチップス: 技術的な検討の結果、ピンコンパチブル対応不可と判断する場合や、バイパスコンデンサ追加などの改良を頼む場合がある
  • クリエイティブデザイン: 生産中止のゲートアレイを、ピン互換のASICで作り直して現行基板で量産を続けた事例
  • セイコーエプソン: ゲートアレイは電源、信号配置を自由に設定できるため既存品の置換えに向く

ピン互換にできるかは、電源の数や電圧、I/Oの規格で決まります。最初の相談で、今のFPGAの型番、パッケージ、ピン配置の資料を渡してください。

FPGAの資産をどう渡すか

置き換えでは、今動いているFPGAのRTLが出発点になります。ただし、FPGA向けに書かれた記述がそのままASICで使えるとは限りません。

確認すること理由
RTLのソースと制約ファイル論理合成とタイミング検証の出発点になる
FPGA固有のIP(メモリ、PLL、高速I/Oなど)ASIC側のマクロセルに置き換える必要がある
検証環境とテストパターン同じ動作をするかを確かめる基準になる
非同期回路の有無ASIC化で同期回路に直すことがある

メガチップスの顧客の声では、ASIC化の事前検討で想定外のRTLの問題が見つかったものの、スケジュール通りテープアウトできたと書かれています。事前検討の段階でRTLを見てもらうことが、後戻りを減らします。

マクロセルの対応を確かめる

FPGAではメモリやPLLを内蔵のブロックで使っていることが多く、ASICでは同じ機能をマクロセルで用意します。公式に載っている対応例を挙げます。

  • セイコーエプソン S1K80000シリーズ: RAM、PLL、LVDS、RSDSなどのマクロセルを搭載可能
  • セイコーエプソンの置き換え事例: エンベデッドアレイにメモリやPLLを載せた例を掲載
  • DNPエル・エス・アイ・デザイン: USB、PCIe、Ether、SATA、DDR、SPIなどのチップ実装経験

高速なインターフェースを使っている場合は、そのIPを使えるプロセスかどうかで選べる会社が絞られます。使っているI/Oの規格を一覧にして伝えてください。

発売を急ぐならFPGAで先に出す

新しい製品で、仕様がまだ動く段階なら、まずFPGAで出荷し、仕様が固まってからASICにする進め方があります。メガチップスは、次期機種のASICが立ち上がるまで数年FPGAで量産する予定だった顧客に、転換によるコスト削減を提案した声を載せています。

  1. FPGAで製品化し、市場での数量と仕様を見極める
  2. 数量が見えた段階で、ASICとの損益分岐を試算する
  3. ピン互換の可否を確かめ、基板を変えずに置き換える

この順番なら、ASICの初期費用を回収できる見通しが立ってから投資できます。逆に、最初から数量が大きいと分かっているなら、FPGAを経ずにASICで設計する方が全体の費用は抑えやすくなります。

低消費電力化もあわせて相談する

ASICにすると、FPGAではできなかった消費電力の対策を設計に入れられます。メガチップスは、ASICは同程度のプロセスのFPGAと比べてゲート使用効率が高く、低消費電力設計手法の適用で消費電力を下げられると説明しています。

  • メガチップス: FPGAで必要だったヒートシンクなどの熱対策が不要になり、コスト削減が期待できる
  • DNPエル・エス・アイ・デザイン: クロックゲーティング、ローリーク、電源遮断(UPF/CPF)などの省電力設計に対応
  • NECプラットフォームズ: シミュレーションやトグルレートからASICの消費電力を見積もり、装置の熱設計・構造設計を行う

熱対策の部品が減れば、筐体の小型化にもつながります。消費電力の目標値があれば、置き換えの相談時に伝えてください。

FPGAのASIC化を進める手順

最後に、相談から量産までの流れをまとめます。会社ごとに細部は違いますが、進め方の骨格は共通です。

  1. 今のFPGAの型番、数量、単価、熱対策の部品、RTLの有無を整理する
  2. 置き換えを案内している会社に、ピン互換の可否と損益分岐の試算を頼む
  3. 事前検討でRTLを見てもらい、問題点と方式(ゲートアレイ、スタンダードセルなど)を決める
  4. ES(試作品)を今の基板に載せて評価する
  5. 量産へ移り、FPGAからの切り替え時期を決める

置き換えはコストの話になりがちですが、供給を何年続けられるかも同じくらい大事です。メガチップスは15年以上同一ファブでの量産供給の実績を、セイコーエプソンは自社前工程生産による長期安定供給を書いています。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

FPGAをASICにすると基板は変えずに済みますか?

ピンコンパチブルにできれば変えずに済みます。メガチップスはFPGAとピンコンパチブル対応にしてボード修正を不要にできるとし、技術検討の結果できない場合もあると注記しています。

何個くらいからASICの方が安くなりますか?

回路や条件で変わります。NECプラットフォームズは一例として8,000個以上でトータルコストを削減できる比較を示し、実際はMOQがあるので相談としています。

古い低コストFPGAの置き換え事例はありますか?

セイコーエプソンは、2021年9月以降の事例としてSpartan6、Cyclone4、Cyclone、MAX10などを自社のゲートアレイやエンベデッドアレイに置き換えた例を一覧で載せています。

【用途別】ASIC・カスタムLSI受託開発おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

センサー・電源・ドライバのアナログICを、試作から量産まで一社で

内藤電誠工業株式会社

試作1個からのカスタムIC開発。アナログ・ミックスドシグナルのターンキーで、パッケージも自社で製造

LSI設計事業部がターンキーサービスと受託設計サービスを提供し、アナログIC、ミックスドシグナルICの設計経験、大手IDMが対応しない少量・多品種への対応、国内自社リソース・自社設備による開発を特長に挙げる。国内外の複数のファウンドリのCMOS、高耐圧CMOS、Opto、Bipolar、SOIに対応し、QFN、QFP、DIPなどのパッケージを自社で製造する。ターンキー製品として680万個以上の量産出荷を公式に記載。

内藤電誠工業株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

量産中のFPGAを、基板を変えずにASICへ置き換えるなら

株式会社メガチップス

既存のFPGA資産からASICへ転換。ピンコンパチブル対応でボード修正を不要に(対応できない場合あり)

FPGA・ASIC転換のページで、量産数量が多い場合にFPGAがASICより割高になることと、FPGAでは低消費電力設計ができず熱対策が必要になる場合があることを転換の判断材料に挙げる。既存のFPGA資産と要望をヒアリングして転換方法を提案し、論理シミュレーションを同社が担当することも可能。ボード設計が終わっている場合はFPGAとピンコンパチブルにして基板の修正を不要にできるとする。

株式会社メガチップスの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

論理設計・RTLtoGDS・アナログを工程単位で頼み、試作・量産までつなげるなら

株式会社DNPエル・エス・アイ・デザイン

0.35um〜16nmのRTLtoGDS実績、アナログ/MixedSignal設計、TSMCシャトル試作、少量にも対応するターンキー

SoC/ASIC設計、RTLtoGDS設計、アナログ/MixedSignal設計の3つの設計受託を用意し、RTLtoGDSではTSMC、UMCほかFabで0.35um〜16nmの対応実績と100MGate超のデザイン実績を記載。DNPがTSMC CyberShuttleのパートナーとして提供する試作では12nm〜0.35umが使え、LSIターンキーサービスは仕様検討から量産までを扱い、少量生産にも対応可能とする。

株式会社DNPエル・エス・アイ・デザインの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

自社の条件に合うASIC開発会社を、無料で相談する

作りたいICの用途と機能、アナログ/デジタルの別、今の状態(仕様のみ・RTLあり・FPGAで動作中・生産中止品の置き換えなど)、想定数量、希望時期を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、相談や見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。

無料で相談する

関連記事