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軽金属鋳造の試作 · 基礎知識

軽金属鋳造の工法一覧|砂型・石膏・ロストワックス・重力金型・低圧・ダイカスト・3Dプリント砂型・金属AMの違い【2026年版】

アルミ・マグネシウム鋳造の試作で使われる8つの工法を、日本ダイカスト協会の比較図と国内34社の公式サイトの記載をもとに整理します。寸法精度・鋳肌・薄肉・型費・向く数量の違い、金型を使わない試作工法、3Dプリント砂型の位置づけ、数量と目的から工法を絞る手順まで解説します。

公開 2026年9月30日

軽金属鋳造の試作は、工法を決めた時点で納期・精度・費用の大枠が決まります。このページでは、砂型・重力金型・低圧鋳造・ダイカストという量産系の4工法と、石膏鋳造・ロストワックス・消失鋳造・3Dプリント砂型・金属3Dプリントという型を省く試作系の工法を、公的資料と各社の公式記載で並べます。

鋳造法の分類と英語表記の対応

日本ダイカスト協会の入門冊子では、鋳造法の呼び方と英語表記の対応が整理されています。海外拠点や英語の仕様書とやり取りするときは、この対応表で用語をそろえてください。

日本語の呼び方英語表記(協会資料)型の材料
砂型鋳造Sand Casting砂(1回ごとに新しい型)
重力金型鋳造Permanent Mold Casting(英: Gravity Die Casting)金型
低圧鋳造Low Pressure Casting(英: Low Pressure Die Casting)金型
ダイカストDie Casting(英: (High) Pressure Die Casting)金型(熱間工具鋼など)

協会資料によると、英国表記では重力金型・低圧・圧力ダイカストを総称してDie Castingと呼びます。日本で「ダイカスト」と言えば、溶融金属を精密な金型に圧入して高精度で鋳肌の優れた鋳物をハイサイクルで大量生産する方式を指します。

砂型・重力金型・低圧・ダイカストの性能差(協会の比較図)

日本ダイカスト協会「ダイカストの利点」のページには、各種鋳造法の比較図が掲載されています。寸法精度・鋳抜きの容易さ・鋳肌の平滑度・生産速度・多量生産の適応性・薄肉の6項目すべてで、砂型鋳造が最も低く、重力金型鋳造と低圧鋳造がほぼ同等、ダイカストが最も優れる順になっています。

  • 寸法精度・鋳肌・薄肉:砂型鋳造 < 重力金型鋳造 ≒ 低圧鋳造 < ダイカスト
  • 型の寿命:ダイカスト金型は「一つの金型で数千から数十万回の鋳造」が可能
  • 砂型は1回鋳造するごとに新しい型を必要とし、ダイカストと著しい対照をなす
  • 金型鋳物(鉄製鋳型)はダイカストに比べ鋳造サイクルが長く、精密さも劣る

一方で協会資料は、ダイカストとの比較における砂型鋳物の利点も挙げています。少量の生産に経済的、アンダーカット形状が容易、大物が作れる、溶接が容易、試作期間が短い、の各点です。

つまり量産品質の指標では劣る砂型が、試作の場面では「少量・大物・短期間」で有利になります。試作の工法選びは、この逆転を前提に考えます。

金型を使わない試作工法:石膏・ロストワックス・消失鋳造・金属AM

ダイカスト金型は固定型と可動型に大別され、キャビティを構成する入子には一般に熱間工具鋼SKD61やその改良材が使われます。金型を起こさずに金属の現物を得る工法が、試作専門会社の中心技術です。

工法型の作り方(各社公式)公式に対応を明記する会社の例
石膏鋳造マスターモデルをシリコンゴムで反転し、石膏スラリーを流して鋳型にする(ニューテック)共栄デザイン、ニューテック、日邦産業、モールドモデル、アドバンス、ジャノメダイカスト、プロテックジャパン、寿金属工業、八百谷金属工業、STG、クライム・ワークス
ロストワックス3Dプリンタ樹脂模型・光造形模型を原型にして金型を省く(ハヤカワロストワックス、武杉製作所)キャステム、キングパーツ、日本プレシジョンキャスチング、ハヤカワロストワックス、武杉製作所など9社
消失鋳造3Dプリンタ粉末積層モデルによる型レス鋳造(ニューテック)ニューテック(1〜5個向け、最短1.5週)
デジタルキャスト3Dプリンター樹脂模型を原型にした金型不要の精密鋳造(キャステム)キャステム(1個から、0円金型)
金属3Dプリントパウダーベッド方式で金属粉末を直接造形(白銅)白銅、J・3D、NTTデータザムテクノロジーズ、コイワイ

石膏鋳造の各社は「ダイカストに匹敵する美しい鋳肌と寸法精度」(共栄デザイン)、「アルミダイカストと同等の精度や鋳肌、CT6相当」(日邦産業)と、量産品に近い品質を掲げています。金属3Dプリントは鋳造ではありませんが、白銅は「試作型(木型、砂型、金型)が不要」でイニシャルコストを削減できると説明しています。

3Dプリント砂型が変えた木型工程

従来の砂型鋳造では、まず木型を作り、その木型で砂を固めて鋳型を作ります。3Dプリント砂型は、3Dデータから砂型を直接積層するため、木型の製作工程を省けます。

  • JMC:「3D積層砂型により木型工程を省き極めて短納期で鋳造品を製造」。砂型3Dプリンターの造形サイズはL800×W500×H400mm
  • 木村鋳造所:ダイレクトモールディングプロセス(DMP)で木型・金型不要、DMPボックスサイズ1,800×1,000×700mm程度、通常納期7日から
  • コイワイ:3Dプリンタ砂型積層装置EOSINT S 2台・ExOne S-Max 2台を保有、1個から対応
  • 前橋橋本合金:「積層砂型3Dプリンターを使用すれば1個だけの試作などでもイニシャルコストを抑える事ができます」
  • ヒノデキャスティング&メタルワークス:砂型鋳造・3D積層砂型鋳造に対応

今回調査した34社のうち、3Dプリント砂型を公式に掲げるのはこの5社です。砂型の「大物・アンダーカット・少量」という利点を、木型なしで使えるのが特徴です。

34社の工法別対応状況

各社の公式サイトに記載された対応工法を集計すると、次の通りです。複数工法を持つ会社を重複して数えています。

工法公式に対応を明記する会社数(34社中)
砂型14社
石膏鋳造11社
ダイカスト試作(簡易金型・量産機での小ロット含む)10社
ロストワックス9社
重力金型6社
3Dプリント砂型5社
金属3Dプリント4社
低圧鋳造3社

光軽金属工業のように「ダイカスト・砂型・金型重力鋳造の3工法を自社保有し工法選定から提案」する会社や、寿金属工業のように「ダイカスト・重力・砂型・石膏の4工法を保有」する会社は、数量が変わっても同じ窓口で工法を切り替えられます。

数量と目的から工法を絞る手順

工法は「何個必要か」と「何を確かめたいか」の2軸で絞ると早く決まります。各社が公式に示す数量帯を並べると、次のようになります。

  1. 1〜数個で形状・重量・組付けを確認したい:石膏鋳造(共栄デザインは1個から最短5日)、消失鋳造(ニューテックは1〜5個・最短1.5週)、デジタルキャスト(キャステムは1個から)、金属3Dプリント(白銅は最短4日)
  2. 5〜100個で量産に近い品質を評価したい:石膏鋳造(ニューテックは5〜30個で100個まで相談可、日邦産業は1個〜最大1,000個/年)
  3. 数十〜数百個をダイカスト材そのもので作りたい:簡易金型ダイカスト(協和合金は数十〜数百個、プロテックジャパンはロット50〜100程度)
  4. 大物・複雑中子・ギガキャスト級:3Dプリント砂型+低圧鋳造(JMCは大型低圧鋳造炉2,000×2,000mm・500kg)、砂型(前橋橋本合金は最大200kg・2,000mm)
  5. 月50個以上のマグネシウム:STG(月産50個〜20,000個程度)

光軽金属工業は「試作数量に合わせて砂型や削り出しなど適切な工法を提案」と明記しており、ダイカストはMIN100個、砂型はMIN1個、金型重力鋳造はMIN40個と工法ごとの最小ロットを公開しています。数量が決まっていない段階でも、想定の幅を伝えると工法提案が返ってきます。

工法を決める前に会社へ伝える情報

工法を会社側に提案してもらう場合でも、次の情報がそろっていると見積の往復が減ります。協会資料は「開発時の製品設計においては、初期段階でダイカスト専業者との十分な話し合いを行い」その知識と経験を織り込むことが品質とコストに良い結果をもたらすとしています。

  • 用途:形状確認だけか、機能評価(強度・気密・熱)まで行うか
  • 数量:今回の個数と、量産時の想定数量
  • 材質:量産材(ADC12など)で作るか、鋳物用合金(AC4Cなど)でよいか
  • 寸法・重量:最大外形と概算重量(各社の最大寸法はイナテックの400×400mmからJMCの2,000×2,000mmまで幅がある)
  • 後加工:素材のみか、機械加工・熱処理・表面処理まで含めた完成品か
  • 検査:三次元測定・X線CT・リーク試験の要否

各工法の詳しい内容は、石膏鋳造・3Dプリント砂型・ダイカスト試作の各解説ページで扱います。材質記号と公差等級の読み方も、別ページにまとめています。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

アルミ鋳造の試作で一番使われる工法は何ですか?

今回調査した34社の公式サイトでは、砂型が14社、石膏鋳造が11社、ダイカスト試作が10社、ロストワックスが9社と、砂型と石膏鋳造の対応が多い結果でした。1個から数十個の試作では、金型を使わない石膏鋳造が「ダイカスト同等の精度・鋳肌」を掲げる会社が多く、量産がダイカストの部品の試作に使われています。

砂型鋳造とダイカストはどちらが精度が高いですか?

日本ダイカスト協会の比較図では、寸法精度・鋳肌の平滑度・薄肉のいずれも砂型鋳造が最も低く、重力金型鋳造と低圧鋳造がほぼ同等、ダイカストが最も優れる順です。ただし協会資料は砂型鋳物の利点として、少量生産に経済的、アンダーカット形状が容易、大物が作れる、試作期間が短い、の各点を挙げています。

3Dプリント砂型と普通の砂型は何が違いますか?

普通の砂型は木型を作ってから砂を固めますが、3Dプリント砂型は3Dデータから砂型を直接積層するため木型工程を省けます。JMCは「木型工程を省き極めて短納期で鋳造品を製造」、前橋橋本合金は「1個だけの試作などでもイニシャルコストを抑える事ができます」と説明しています。対応するのは34社中5社です。

金属3Dプリントは鋳造の代わりになりますか?

金属3Dプリントは鋳造ではなく粉末を直接造形する工法ですが、白銅は「試作型(木型、砂型、金型)が不要」でイニシャルコストを削減できると説明し、最短4日で納品できる場合もあるとしています。造形サイズは白銅のProX DMP 300で240×240×300mmなど装置ごとに上限があり、量産と同じ鋳造合金の組織を再現する目的には鋳造系の工法が選ばれます。

【目的別】軽金属鋳造の試作会社おすすめ3選

※2026年9月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

量産と同じダイカスト材で、金型なしに評価したいなら

株式会社ニューテック

ADC12でダイカスト同等品質の試作。試作実績1万件超、石膏鋳造は最短2.5週間

アルミ・マグネシウムの精密鋳造専門で試作実績10,000件以上。ADC12・AC4CH・A357などアルミ9種、ZE41A・AM60などマグネシウムに対応し、石膏鋳造はCT7級保証(CT5・6の実績)、消失鋳造はCT8級保証。最大800×800mm・35kg、最小肉厚0.8mm。5軸加工機・熱処理炉2基・X線CTを社内に持ち、完成品で納める。

株式会社ニューテックの公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大物・複雑形状・ギガキャスト級の砂型試作なら

株式会社JMC

3Dプリント砂型で木型を省き、2m角・500kgまで。熱処理から5軸加工・CT検査まで社内一貫

砂型3Dプリンター(造形800×500×400mm)と大型低圧鋳造炉(2,000×2,000mm・500kg)を持ち、アルミ専用9基・マグネシウム専用2基の溶解炉で試作・小ロット量産に対応。T4〜T7熱処理、5軸機械加工、化成処理・アルマイト・含浸・HIP、X線CT6台まで社内一貫。ISO9001・JIS Q 9100、鋳造公差CT7(形状によりCT6)。ギガキャスト試作で自動車分野30型・500台以上の実績。

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3

まず1個を、数日で手に取りたいなら

株式会社 共栄デザイン

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金型を使わない石膏鋳型で「最短5日で高精度な試作品」を製作し、1個からの試作・月1個の少量生産に対応。アルミ鋳物合金AC2A〜AC8A、ダイカスト用ADC12・ADC1・ADC6、亜鉛ZDC1・ZDC2、高熱伝導アルミHT-1・DMSに対応。寸法公差±0.2〜0.7mm、Carl Zeissの三次元測定機、社内マシニングで機械加工。5〜100個ならダイカスト相当の品質、小ロット製造は素材初品3週間〜。

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