3Dマシンビジョン · 基礎知識
3Dマシンビジョン導入前の評価の進め方|テスト機貸出・計測評価・デモ・シミュレーションの使い分け【2026年版】
3Dマシンビジョンは、カタログの数字だけでは自社のワークで使えるか分かりません。掲載会社が公式に案内しているテスト機貸出、計測評価、デモ、購入前シミュレーションを比べ、導入前の評価の進め方をまとめました。
3Dマシンビジョンは、ワークの材質や置かれ方で結果が大きく変わります。仕様表で候補を絞ったら、必ず実物で試してから決めてください。
この記事では、掲載会社が公式に案内している評価の窓口と、その使い分けを整理します。
評価の窓口を一覧で比べる
評価の方法は会社ごとに違います。自社で試すのか、メーカーに測ってもらうのかで分けると選びやすくなります。
| 会社 | 評価の窓口(公式記載) | 形 |
|---|---|---|
| キーエンス | 無料テスト機貸出しサービス | 自社で試す |
| リンクス | 無料3Dセンサー計測評価サービス、Gocatorデモ機の無償貸出 | 測ってもらう/自社で試す |
| Zivid | 実際の部品で点群品質を検証するデモを予約 | 測ってもらう |
| ニコン | ワークの認識トライは可能(FAQ) | 測ってもらう |
| Mujin | 高精度シミュレーションで購入前に能力を判断、本社にロボットソリューション展示場 | シミュレーション・見学 |
| 東京貿易テクノシステム | CoPick3Dのデモやベンチマーク等の依頼を受付、デモ・見積りの問い合わせ窓口 | 測ってもらう |
| マイクロ・テクニカ | 3Dカメラ(Zivid・Mech-Mind)のデモ機貸出し・見積りの相談フォーム | 自社で試す |
この表は今回確認したページに書かれていた窓口です。書かれていない会社でも、問い合わせれば対応する場合があります。
サンプルを送って測ってもらう
方式がまだ決まっていない段階では、メーカーや販社に測ってもらうのが早道です。リンクスは手順を具体的に書いています。
- 計測評価を試したいサンプル品を送る
- 計測・検査する箇所と、必要な視野・精度・タクトタイムを伝える
- 4メーカー約60製品の中から計測手法を選んで評価してもらう
- 撮影結果と画像処理の検査結果をスライド形式の報告で受け取る
リンクスは、撮影した生データが必要な場合は渡せると書いています。社内で比べるなら、生データも頼んでおくと便利です。
テスト機を借りて自社で試す
設置場所の光や油の条件まで含めて確かめたいなら、テスト機を借りて現場で試す方法があります。
- キーエンス: 無料テスト機貸出しサービスの申込み窓口をサイトに設置
- リンクス: LMI TechnologiesのGocatorはデモ機を無償で貸出。操作方法はオンラインや電話でサポート
- リンクス: 貸出時はWindowsベースのPCが必須。センサーを固定する治具やカメラ台、移動ステージやコンベアも用意が要る
借りる前に、固定の治具、PC、ワークを動かす仕組みを準備しておくと、限られた期間を有効に使えます。光切断のセンサーはワークを動かす仕組みがないと3Dになりません。
デモやショールームで実際の動きを見る
ロボットと組み合わせたピッキングは、動いているところを見ると理解が早くなります。ショールームや展示場を持つ会社があります。
| 会社 | 見られる場所(公式記載) |
|---|---|
| Mujin | 本社のロボットソリューション展示場で代表的なソリューションを常時展示 |
| Mech-Mind | Mech-Lab(トレーニングセンター兼展示ショールーム、東京都大田区平和島) |
| リンクス | 東京オフィスで貸出が難しい3Dセンサーも見学可能。ロボットや1軸ステージでの撮影も可能 |
| 日立オートメーション | サイトに内覧会予約の窓口 |
見学のときは、自社のワークを持ち込めるかを事前に聞いてください。展示用のワークで動くことと、自社のワークで動くことは別の話です。
購入前のシミュレーションで能力を確かめる
ピッキングでは、ロボットの動きまで含めた処理能力が問題になります。シミュレーションで事前に確かめられる会社があります。
- Mujin: 高精度シミュレーションにより、要望の能力が発揮できるかを購入前に判断可能
- キーエンス 3D VGR: 現場をモデリングしたシミュレーションで立ち上げ時の手戻りを回避
- Mech-Mind Mech-Viz: ワンクリックでシミュレーションを実行できる経路計画ソフト
シミュレーションの結果は、ワークの登録データと周辺設備のモデルがどれだけ正確かで変わります。前提にした条件を一緒に受け取ってください。
評価の結果を読むときのポイント
評価の報告を受け取ったら、きれいな点群の画像だけで判断しないでください。数字と条件を確かめるのが大事です。
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| どの型式・設定で測ったか | 同じ会社でも型式や撮影モードで結果が変わる |
| 何回測ったか、ばらつきはどうか | 1回だけの結果では安定性が分からない |
| 処理時間はいくらか | 撮像だけでなく認識や経路計算を含めた時間がタクトに効く |
| 失敗した例はあったか | 見つからない、掴めないワークの条件が運用の課題になる |
キヤノンは計測時間・計測周期を、撮影モードを速度優先にした条件での値と注記しています。条件の違う結果を並べないよう、報告にも条件を書いてもらってください。
社内で評価を進めるときの役割分担
評価は、生産技術だけで抱えると長引きます。最初に役割を分けておくと、判断が速くなります。
- 生産技術: 必要な視野・精度・サイクルを決め、サンプルを用意する
- 品質保証: 検査なら合否の基準と、不良品のサンプルを用意する
- 設備保全: 設置場所の光、油、温度、電源やネットワークの条件を確かめる
- 購買: 複数社の見積と、保守・教育の条件をそろえて比べる
Mech-Mindのトレーニングセンターや、リンクスのGocator入門コースのように、導入後の教育の場を持つ会社もあります。運用する人が使いこなせるかも、評価の一部です。
評価で失敗しないための準備
評価は準備で結果の質が決まります。次の点をそろえてから申し込んでください。
- 良品だけでなく、不良品や形のばらつきがあるサンプルも用意する
- 検査なら合否の基準、ピッキングなら必要な取り切り率とサイクルを決める
- 実際の部品箱やパレット、照明の条件を写真で伝える
- 結果を同じ形式で比べられるよう、各社に同じ条件を伝える
複数社で評価するなら、同じサンプルと同じ条件で頼むのが大事です。条件がそろっていれば、報告書をそのまま比べられます。
評価の期間と、結果を判断する会議の日程も先に決めておくと、ずるずる延びません。借りたテスト機は返却日があるので、準備が整ってから申し込むのが効率的です。
評価が終わったら、採用しなかった会社にも結果の要点を伝えておくと、次の案件で相談しやすくなります。評価の報告書は、設備の更新時にも役立つので保管しておいてください。
この記事に出てくるメーカー
- キヤノン株式会社部品箱のバラ積みなら
- 株式会社日立オートメーション(Kyoto Robotics)ロボット一式で任せるなら
- 株式会社キーエンスインライン3D検査なら
- 株式会社リンクス方式を実ワークで比べるなら
- Mech-Mind株式会社カメラとソフトを一社でそろえるなら
- 株式会社マイクロ・テクニカ袋・箱のデパレタイズなら
- 株式会社Mujinティーチレスで一式なら
- 株式会社ニコン(ビジョンロボティクス本部)ハンドアイで取り残しを減らすなら
- 東京貿易テクノシステム株式会社組立のロボットガイダンスなら
- Zivid(ジビッド)光沢・透明ワークのカメラ選びなら
参照元
よくある質問
評価にお金はかかりますか?
キーエンスは無料テスト機貸出し、リンクスは無料の3Dセンサー計測評価サービスとGocatorデモ機の無償貸出を案内しています。ほかの会社は今回確認したページに費用の記載がないため、問い合わせで確認してください。
サンプルは何個くらい用意すればいいですか?
公式に個数の目安を書いている会社はありませんでした。良品だけでなく、形や色のばらつき、不良品も含めて送ると、実際のラインに近い結果が得られます。
ピッキングの能力を買う前に確かめられますか?
Mujinは高精度シミュレーションで要望の能力が出るかを購入前に判断できるとしています。キーエンスの3D VGRにも現場をモデリングしたシミュレーション機能があります。
【用途別】3Dマシンビジョンメーカーおすすめ3選
ラインの中で外観と寸法を3Dで全数検査するなら
株式会社キーエンス
3D Visionシリーズは視野60mm・繰り返し精度1μm。光切断の3Dセンサや白色干渉まで同じ窓口で比べられる
3次元画像処理システム「3D Vision シリーズ」は4投光プロジェクターとテレセントリックレンズで視野全域を検査し、視野60mm、検査間隔0.6秒、繰り返し精度1μmと製品ページに記載。光切断法の3Dセンサ(LJ-S8000は繰り返し精度0.3μm)や白色干渉3D変位計WI-5000(繰り返し精度0.1μm)もそろえ、無料テスト機貸出しサービスを案内している。
部品箱に入った部品をロボットで次工程へ供給するなら
キヤノン株式会社
RVシリーズは計測範囲と繰り返し精度を型式ごとに公開。部品の大きさで3機種から選べる
部品箱内の部品のピックアップに向けて開発された3DマシンビジョンRVシリーズ(RV300・RV500・RV1100)。測定方法はパターン投影法、認識方式は3D CADマッチングで、RV300は計測範囲最大340×340×100mm・繰り返し精度±0.1mm、RV1100は最大1,160×1,160×600mm・±0.5mmと仕様表に記載。干渉チェックやキャリブレーションの機能を持ち、IP54相当。
どの方式が合うか、実際のワークを測ってから決めるなら
株式会社リンクス
4メーカー約60製品から計測方式を選ぶ無料の計測評価サービス。窓口はマシンビジョンの技術者
3Dセンサー計測評価サービスでは、送ったサンプルワークを4メーカー約60製品の中から計測手法を選んで評価し、結果をスライド形式で報告すると公式に記載。Gocator(レーザー光切断・縞投影・共焦点ライン)や3Dラインスキャンカメラ3DPIXAを扱い、Gocatorのデモ機は無償で貸し出す。東京オフィスではロボットや1軸ステージでの撮影も可能。