3Dマシンビジョン · 基礎知識
3Dマシンビジョンの計測方式の違い|パターン投影・光切断・ステレオ・ToF・光コムを比べる【2026年版】
3Dマシンビジョンは、計測方式で得意な範囲と細かさが変わります。掲載15社の公式情報から、パターン投影(構造化光)、光切断、ステレオ、ToF、光コム・白色干渉・共焦点の特徴と、向く用途を整理しました。
3Dマシンビジョンを選ぶとき、最初に知っておきたいのが計測方式です。同じ3Dカメラでも、光の当て方と高さの求め方で、測れる範囲と細かさがまったく違います。
この記事では、掲載会社の公式情報をもとに、主な方式の違いと向く用途を比べます。
主な計測方式を一覧で比べる
まず全体像です。広い範囲を一度に撮るのか、ラインの動きに合わせて断面を重ねるのかが、方式の大きな分かれ目です。
| 方式 | しくみ | 得意なこと | 掲載会社の例(公式記載) |
|---|---|---|---|
| パターン投影(構造化光・縞投影・位相シフト) | 縞などの模様を投影し、カメラで歪みを読む | 部品箱の中など広い範囲を一度に撮る | キヤノン、ファナック、日立オートメーション、YOODS、Mech-Mind、東京貿易テクノシステム |
| 光切断(レーザー三角測量) | 帯状のレーザを当て、反射光の位置から断面を測る | 流れるワークの高さ・段差を連続で測る | キーエンス、ファナック、リンクス(Gocator 2000) |
| ステレオ | 2台以上のカメラの見え方の差から距離を求める | 投影と組み合わせて点群をつくる | 日立オートメーション(プロジェクタの両側にカメラ)、Zivid(二眼式) |
| ToF | 光が戻るまでの時間から距離を求める | 離れた位置から大きな物をとらえる | マイクロ・テクニカ(ToFカメラを取扱い) |
| 光コム・白色干渉・共焦点 | 光の干渉や焦点の位置で高さを測る | μm以下の細かい高さ | OptoComb、キーエンス(WI-5000)、リンクス(Gocator 4000/5000) |
多くの製品は1つの方式だけでなく、投影とステレオのように組み合わせています。方式名は目安として読み、仕様の数字と実物での評価で確かめてください。
パターン投影は、部品箱の中を一度に撮る方式
プロジェクタで模様を投影し、その歪みをカメラで読んで点群をつくる方式です。ロボットのピッキングで使う3Dビジョンの多くがこの方式を書いています。
- キヤノン RVシリーズ: 測定方法はパターン投影法。RV300は計測範囲最大340×340×100mm、繰り返し精度±0.1mm
- ファナック 3DVシリーズ: 専用パターン光を参照光とした3次元計測方式。3DV/400の計測範囲は268×262×500mm
- 日立オートメーション(Kyoto Robotics): プロジェクタから照射した縞模様をサイドのカメラで認識。100万点以上の点群を1秒未満で撮像する例
- YOODS YCAM3D: 位相シフト撮影による高精度点群データの生成
- Mech-Mind Mech-Eye PRO: 高精度構造化光法
- キーエンス 3D Vision シリーズ: 4投光プロジェクターとテレセントリックレンズで視野60mmを検査(製品ページ本文に方式名の記載はなし)
投影する模様の数を増やすほど細かく測れる一方、撮像の時間は長くなります。キヤノンのRVシリーズは計測時間を1.6秒〜(RV300・RV500)と型式ごとに示しています。
光切断は、流れるワークの断面を重ねる方式
帯状のレーザ光をワークに当て、反射光の位置の変化から断面の形を測ります。ワークかセンサを動かして断面を重ねると、3Dの形になります。
| 製品 | 公式記載の内容 |
|---|---|
| キーエンス LJ-X8000 | 3200point/profile、最速16kHz。搬送中の位置ズレを補正する全方向位置補正機能 |
| キーエンス LJ-S8000 | レーザ光源とスキャン機構を内蔵し、駆動ステージ・エンコーダが不要。繰り返し精度0.3μm |
| ファナック 立体センサ | レーザスリット光を参照光とした3次元計測方式。計測範囲219×175×100mm |
| リンクス Gocator 2000 | レーザー光切断のプロファイルセンサー |
| Mech-Mind 3Dインラインプロファイル測定器 | 4K超高解像度、15kHzの高速スキャン(方式名は製品ページに記載なし) |
ラインを止めずに全数を測りたい検査では、光切断が第一候補になります。ワークの送り速度とサンプリングの速さを合わせて計算してください。
ステレオとToFは、距離を別の手がかりで求める
ステレオは人の両目のように、2台のカメラの見え方の差から距離を出します。ToFは光が戻るまでの時間を測る方式で、離れた位置から大きな物をとらえる用途で使われます。
- 日立オートメーションの3Dビジョンは、中央のプロジェクタと両サイドのカメラで構成と説明
- Zividは二眼式の3Dカメラで、垂直反射によるアーティファクトを除くとうたう
- マイクロ・テクニカは、用途に合わせた各社の3DカメラやTOFカメラを用意と記載
- Mech-Mindは広視野・遠距離の機種をパレタイジングなどの物流シーン向けと紹介
模様のない平らな面は、ステレオだけでは対応点を見つけにくいことがあります。そのため投影と組み合わせる製品が多くあります。
光コム・白色干渉・共焦点は、細かな高さを測る方式
μm以下の高さや表面の粗さを測る検査では、光の干渉や焦点を使う方式が出てきます。視野は狭くなりますが、細かさが段違いです。
- OptoComb 光コム3次元センサー: 同軸光学系、500kHzのデータ取得、1μmの高さ分解能
- OptoComb XL: 470〜2000mm幅まで一度にスキャン、1秒間に125万点
- キーエンス WI-5000(白色干渉): 最大10×10mmの面を0.13秒、繰り返し精度0.1μm。透明体や鏡面体にも対応と記載
- リンクス Gocator 4000/5000(共焦点ライン)
同軸で測る方式は、深い穴や溝の底のように斜めからの光が届きにくい場所に強いのが特長です。OptoCombは部品の内面を検査する装置も出しています。
迷ったら、目的から方式を逆算する
方式から選ぶと迷います。やりたいことを先に決め、そこから方式を絞るのが近道です。
- 掴むのか(ピッキング)、測るのか(検査・計測)を決める
- 測りたい範囲(視野)と、必要な細かさ(精度・分解能)を数字で書く
- ワークが止まっているか、ライン上を動いているかを確かめる
- 材質(光沢・透明・黒)と、外光や油の環境を書き出す
- 候補の方式の製品で、自社のワークを実際に測る
最後の実測は省かないでください。キーエンスの無料テスト機貸出しや、リンクスの計測評価サービスのように、方式を比べてから決められる窓口があります。
この記事に出てくるメーカー
- キヤノン株式会社部品箱のバラ積みなら
- ファナック株式会社ファナックのロボットで使うなら
- 株式会社日立オートメーション(Kyoto Robotics)ロボット一式で任せるなら
- 株式会社キーエンスインライン3D検査なら
- 株式会社リンクス方式を実ワークで比べるなら
- Mech-Mind株式会社カメラとソフトを一社でそろえるなら
- 株式会社マイクロ・テクニカ袋・箱のデパレタイズなら
- 株式会社OptoComb(旧社名 株式会社XTIA)鋳物・内面の3D検査なら
- 東京貿易テクノシステム株式会社組立のロボットガイダンスなら
- 株式会社YOODS自社開発の会社に個別相談なら
- Zivid(ジビッド)光沢・透明ワークのカメラ選びなら
参照元
よくある質問
3Dマシンビジョンで一番多い方式は何ですか?
掲載会社のうち、ロボットのピッキング向けでは、縞やパターンを投影してカメラで読む方式(パターン投影・構造化光)を書いている会社が多くありました。キヤノン、ファナック、日立オートメーション、YOODS、Mech-Mindなどです。
流れているワークを測るにはどの方式が向きますか?
帯状のレーザを当てて断面を測る光切断が向きます。キーエンスのLJ-X8000は搬送中の位置ズレを補正する機能を持ち、ラインを止めずに全数を測れると説明しています。
μm以下の高さを測れる方式は?
白色干渉や光コムなどです。キーエンスのWI-5000は繰り返し精度0.1μm、OptoCombの光コム3次元センサーは1μmの高さ分解能をうたっています。
【用途別】3Dマシンビジョンメーカーおすすめ3選
ラインの中で外観と寸法を3Dで全数検査するなら
株式会社キーエンス
3D Visionシリーズは視野60mm・繰り返し精度1μm。光切断の3Dセンサや白色干渉まで同じ窓口で比べられる
3次元画像処理システム「3D Vision シリーズ」は4投光プロジェクターとテレセントリックレンズで視野全域を検査し、視野60mm、検査間隔0.6秒、繰り返し精度1μmと製品ページに記載。光切断法の3Dセンサ(LJ-S8000は繰り返し精度0.3μm)や白色干渉3D変位計WI-5000(繰り返し精度0.1μm)もそろえ、無料テスト機貸出しサービスを案内している。
部品箱に入った部品をロボットで次工程へ供給するなら
キヤノン株式会社
RVシリーズは計測範囲と繰り返し精度を型式ごとに公開。部品の大きさで3機種から選べる
部品箱内の部品のピックアップに向けて開発された3DマシンビジョンRVシリーズ(RV300・RV500・RV1100)。測定方法はパターン投影法、認識方式は3D CADマッチングで、RV300は計測範囲最大340×340×100mm・繰り返し精度±0.1mm、RV1100は最大1,160×1,160×600mm・±0.5mmと仕様表に記載。干渉チェックやキャリブレーションの機能を持ち、IP54相当。
どの方式が合うか、実際のワークを測ってから決めるなら
株式会社リンクス
4メーカー約60製品から計測方式を選ぶ無料の計測評価サービス。窓口はマシンビジョンの技術者
3Dセンサー計測評価サービスでは、送ったサンプルワークを4メーカー約60製品の中から計測手法を選んで評価し、結果をスライド形式で報告すると公式に記載。Gocator(レーザー光切断・縞投影・共焦点ライン)や3Dラインスキャンカメラ3DPIXAを扱い、Gocatorのデモ機は無償で貸し出す。東京オフィスではロボットや1軸ステージでの撮影も可能。