3Dマシンビジョン · 基礎知識
3Dマシンビジョンの仕様の読み方|視野・繰り返し精度・計測時間・点数を比べるときの注意【2026年版】
3Dカメラや3Dセンサの仕様表には、視野(計測範囲)、計測距離、繰り返し精度、計測時間、点数などが並びます。掲載会社の公式表記を例に、数字の読み方と比べ方の注意点をまとめました。
3Dマシンビジョンの仕様表は、会社ごとに書き方が違います。同じ精度でも、測る条件が違えば比べられません。
この記事では、掲載会社が公式に出している数字を例に、仕様の読み方を整理します。
仕様表に出てくる主な項目
まず、よく出てくる項目と意味をそろえておきます。会社によって呼び名が少しずつ違います。
| 項目 | 意味 | 公式表記の例 |
|---|---|---|
| 視野・計測範囲 | 一度に測れる縦・横・高さ | キヤノン RV1100: 最大1,160×1,160×600mm |
| 計測距離・ワーキングディスタンス | カメラからワークまでの距離 | キヤノン RV300: 約500〜600mm |
| 繰り返し精度 | 同じ物を何度も測ったときのばらつき | キーエンス 3D Vision: 1μm |
| 計測時間・検査間隔 | 1回の計測にかかる時間 | キーエンス 3D Vision: 検査間隔0.6秒 |
| 点数・解像度 | 1回に取れる点の数 | ファナック 3DV/400: 1104×950点 |
| 高さ分解能 | 見分けられる高さの最小の差 | OptoComb: 1μm |
この中で一番誤解が多いのが精度です。繰り返し精度は同じ条件でのばらつきで、正しい寸法とのずれ(絶対精度)とは別物です。
視野と精度は、たいてい引き換えになる
同じシリーズでも、視野が広い型式ほど精度の数字は大きくなります。キヤノンのRVシリーズは、この関係が仕様表でよく分かります。
| 型式 | 計測範囲(縦×横×高さ) | 繰り返し精度 | 計測距離 |
|---|---|---|---|
| RV300 | 最大340×340×100mm | ±0.1mm | 約500〜600mm |
| RV500 | 最大540×540×200mm | ±0.15mm | 約800〜1,000mm |
| RV1100 | 最大1,160×1,160×600mm | ±0.5mm | 約1,750〜2,350mm |
| RV1100+範囲拡大 | 最大1,300×1,300×900mm | ±1.0mm | 約1,750〜2,650mm |
部品箱の大きさに対して視野が大きすぎる型式を選ぶと、精度を損します。箱の内寸と、必要な精度の両方から型式を決めてください。
精度の数字には、必ず条件がある
精度の数字は、どの部品を、どんな条件で測ったかで変わります。条件の注記まで読んでください。
- キヤノンは、計測時間・計測周期を当社所定の評価部品及び計測条件に基づく値と注記し、部品認識時の撮影モードは速度優先・密度×1としている(繰り返し精度の欄には条件の注記がない)
- Mech-Mindは、Z方向一点繰り返し精度(σ)とVDI/VDE測定精度という2種類の指標を表に載せている
- キーエンスのLJ-S8000は、最速撮像0.2secと繰り返し精度0.3μmを並べて書いている
σ(標準偏差)で書くか、±で書くかでも数字の意味が変わります。比べるときは、同じ指標どうしで並べてください。
計測時間は、ロボットやラインの周期と合わせて見る
計測時間が短くても、認識や経路の計算を含めた全体の時間が長ければ、タクトに間に合いません。全体の処理時間を書いている会社もあります。
| 会社・製品 | 時間の書き方(公式記載) |
|---|---|
| キヤノン RV300・RV500 | 計測時間1.6秒〜、計測周期2.2秒〜 |
| キヤノン RV1100 | 計測時間1.8秒〜、計測周期2.3秒〜 |
| 東京貿易テクノシステム CoPick3D | 1.5秒以内の全体処理時間 |
| キーエンス 3D Vision | 検査間隔0.6秒 |
| キーエンス WI-5000 | 最大10×10mmの面を0.13秒 |
Mujinは、一度の撮像で複数ワークの動作計画を立て、停止時間のない動作をうたっています。カメラ単体の速さだけでなく、ソフトの工夫も周期に効きます。
環境の条件も仕様のうち
工場では、外の光、油のミスト、粉じんが計測を邪魔します。環境への強さも仕様表で確かめてください。
- Mech-Mind: 120,000lx以上の外乱光に対応し、遮光パネル不要と記載。IP65保護レベル
- キヤノン RVシリーズ: ファンレスでオイルミスト環境に対応(IP54相当)
- 三菱電機 MELFA-3D Vision 3.0: カメラ本体のオイルミスト環境への対応(IP65/IP67)
- ニコン: 搭載LED光源やシャッタースピードの関係で外乱光の影響は受けにくいとFAQで回答
窓の近くや天井照明の真下に置く場合は、外乱光の条件をメーカーに伝えてください。保護等級は設置場所の油や水の飛び方と合わせて選びます。
点数と解像度は、細かな形を拾えるかの目安
1回に取れる点の数が多いほど、小さな凹凸や細い部分を拾いやすくなります。ただし点が多いと、処理の時間も長くなります。
| 会社・製品 | 点数・解像度の書き方(公式記載) |
|---|---|
| ファナック 3DV/70 | 3次元点数 870×950点、計測範囲55×70×56mm(W1×D1×H) |
| ファナック 3DV/1600 | 3次元点数 1104×960点、計測範囲1245×1178×2000mm(W1×D1×H) |
| 日立オートメーション | 100万点以上の点群を1秒未満で撮像する例 |
| キーエンス LJ-X8000 | 3200point/profile |
| OptoComb XL | 1秒間に125万点の高速測定 |
同じ点数でも、視野が広ければ1点あたりの間隔は粗くなります。ファナックの3DV/70と3DV/1600は点数が近い一方、計測範囲は大きく違います。
点の間隔は、視野の幅を点数で割ると目安がつかめます。掴む部分や検査したい傷の大きさと比べてください。
数字が書かれていない項目の扱い
製品ページに視野や精度の数字がない製品も少なくありません。その場合の確かめ方を決めておくと、比べ方がぶれません。
- キーエンスの3D VGRシリーズは、詳細をカタログ(PDF)で案内
- YOODSのYCAM3Dは、仕様の追加と変更を資料で案内
- ニコンのロボットビジョンシステムは、カタログをダウンロードで提供
- 三菱電機のMELFA-3D Vision 3.0は、製品仕様をカタログで案内
数字が手元にそろわない製品は、比較表では空欄のままにしておくのが安全です。推測で埋めると、あとで大きな食い違いになります。
数字を比べる前にそろえておくこと
仕様の比較を頼りにするなら、自社の条件を先に数字にしておくと、問い合わせが速くなります。
- ワークの最大寸法と、置かれる範囲(箱やパレットの内寸)
- 必要な精度と、それが位置の精度か寸法の精度か
- 1サイクルにかけられる時間
- ワークの材質と色、表面の光り方
- 設置場所の明るさ、油・粉じん・温度
この5つを書いて問い合わせれば、型式の候補を絞った答えが返ってきやすくなります。数字が合っても、最後は実物で確かめてください。
この記事に出てくるメーカー
- キヤノン株式会社部品箱のバラ積みなら
- ファナック株式会社ファナックのロボットで使うなら
- 株式会社日立オートメーション(Kyoto Robotics)ロボット一式で任せるなら
- 株式会社キーエンスインライン3D検査なら
- Mech-Mind株式会社カメラとソフトを一社でそろえるなら
- 三菱電機株式会社MELFAで登録なしに始めるなら
- 株式会社Mujinティーチレスで一式なら
- 株式会社ニコン(ビジョンロボティクス本部)ハンドアイで取り残しを減らすなら
- 株式会社OptoComb(旧社名 株式会社XTIA)鋳物・内面の3D検査なら
- 東京貿易テクノシステム株式会社組立のロボットガイダンスなら
- 株式会社YOODS自社開発の会社に個別相談なら
参照元
よくある質問
繰り返し精度と絶対精度はどう違いますか?
繰り返し精度は同じ物を同じ条件で何度測ったときのばらつきで、絶対精度は正しい寸法とのずれです。キヤノンのRVシリーズは、計測時間・計測周期について同社所定の評価部品と計測条件での値と注記しています。数字にどんな条件が付いているかを確かめてください。
視野が広い機種を選べば安心ですか?
必要以上に広いと精度が下がります。キヤノンのRVシリーズでは、RV300(最大340×340×100mm)が±0.1mm、RV1100(最大1,160×1,160×600mm)が±0.5mmです。箱やワークの大きさに合った型式を選んでください。
仕様に精度の数字がない製品はどうすればいいですか?
カタログや仕様資料を取り寄せるか、実物で評価してください。キーエンスの3D VGRシリーズやYOODSのYCAM3Dは、数値をカタログや仕様資料で案内しています。
【用途別】3Dマシンビジョンメーカーおすすめ3選
ラインの中で外観と寸法を3Dで全数検査するなら
株式会社キーエンス
3D Visionシリーズは視野60mm・繰り返し精度1μm。光切断の3Dセンサや白色干渉まで同じ窓口で比べられる
3次元画像処理システム「3D Vision シリーズ」は4投光プロジェクターとテレセントリックレンズで視野全域を検査し、視野60mm、検査間隔0.6秒、繰り返し精度1μmと製品ページに記載。光切断法の3Dセンサ(LJ-S8000は繰り返し精度0.3μm)や白色干渉3D変位計WI-5000(繰り返し精度0.1μm)もそろえ、無料テスト機貸出しサービスを案内している。
部品箱に入った部品をロボットで次工程へ供給するなら
キヤノン株式会社
RVシリーズは計測範囲と繰り返し精度を型式ごとに公開。部品の大きさで3機種から選べる
部品箱内の部品のピックアップに向けて開発された3DマシンビジョンRVシリーズ(RV300・RV500・RV1100)。測定方法はパターン投影法、認識方式は3D CADマッチングで、RV300は計測範囲最大340×340×100mm・繰り返し精度±0.1mm、RV1100は最大1,160×1,160×600mm・±0.5mmと仕様表に記載。干渉チェックやキャリブレーションの機能を持ち、IP54相当。
どの方式が合うか、実際のワークを測ってから決めるなら
株式会社リンクス
4メーカー約60製品から計測方式を選ぶ無料の計測評価サービス。窓口はマシンビジョンの技術者
3Dセンサー計測評価サービスでは、送ったサンプルワークを4メーカー約60製品の中から計測手法を選んで評価し、結果をスライド形式で報告すると公式に記載。Gocator(レーザー光切断・縞投影・共焦点ライン)や3Dラインスキャンカメラ3DPIXAを扱い、Gocatorのデモ機は無償で貸し出す。東京オフィスではロボットや1軸ステージでの撮影も可能。