金属3Dプリントの受託造形 · 用途別
金型の冷却水路入子を金属3Dプリントで作る|マルエージング鋼・SKD61、鏡面磨き、補修まで対応する受託先【2026年版】
射出成形やダイカストの金型に、3次元の冷却水路を通した入子を金属3Dプリントで作りたいときの受託先を、材料、設計の支援、仕上げ、補修の対応で整理しました。
金型の入子に、形に沿った冷却水路を通すと、成形の冷却が均一になり、サイクルの短縮や品質の安定につながるとされています。このような曲がった水路は、ドリルでまっすぐ穴を開ける加工では作れません。
金属3Dプリントなら、水路を内部に通した入子を一体で造形できます。このページでは、金型部品の造形を公式に打ち出している受託先を比べます。
金型部品の造形を打ち出している受託先
冷却水路付きの入子や金型部品を、公式に挙げている会社を並べます。
| 会社 | 所在地 | 金型部品についての公式の記載 |
|---|---|---|
| KOEI TOOL | 大阪府 | コンフォーマルクーリング入子などの設計・造形。マルエージング、SKD61 |
| ODEC | 和歌山県 | 三次元水管付き金型の製作 |
| J・3D | 愛知県 | 樹脂金型やダイカスト金型インサートに3次元冷却水管を組み込む |
| 東金属産業 | 静岡県 | 内部に三次元冷却水管を配した射出成形用金型の造形実績。時効処理を社内で完結 |
| フジ | 埼玉県 | DEDで金型補修。PBFの金型部品は協力会社 |
設計から相談したいならKOEI TOOL、造形と熱処理を一体で頼みたいなら東金属産業、補修ならフジが候補です。
KOEI TOOL:金型メーカーが設計から仕上げまで
KOEI TOOLは東大阪市の金型メーカーで、アジア各国にも金型工場を持っています。金属3Dプリンターを使った冷却入子などの設計・造形を受託し、モデリングから解析、造形まで一気通貫で対応すると書いています。
- 粉末積層造形(パウダーベット)方式、最大造形エリア250×250×250
- マルエージングの硬度HRC31-37(焼入後51-57)
- クラックの問題で難しかったSKD61の入子の造形も受託
- 2D図面やイメージ図からでも3Dモデルを設計し、CAE解析で最適設計
- #3,000までの鏡面磨き、シボ加工
金型メーカーの設備で最終仕上げまで行うため、受け取った入子をそのまま型に組める状態にしやすいのが強みです。
東金属産業・ODEC・J・3D
金型専業でなくても、冷却水路付きの金型部品を公式に挙げている会社があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
| 会社 | 公式の記載 |
|---|---|
| 東金属産業 | 内部に三次元冷却水管を配した射出成形用金型の造形実績が豊富。造形後に切削仕上げし、社内の熱処理炉で時効処理 |
| ODEC | 樹脂成型やアルミダイカストの生産性を上げる三次元水管付き金型を製作。精密切削の二次加工も自社 |
| J・3D | 樹脂金型やダイカスト金型インサートに3次元冷却水管を組み込むことで、成形サイクルタイムの短縮と品質向上に有効と記載 |
東金属産業は、熱処理前の造形直後なら一般的な鋼材と同様に切削できるとし、切削仕上げのあとに時効処理を行う流れを書いています。
材料:マルエージング鋼とSKD61
金型の入子では、マルエージング鋼がよく使われます。造形後の時効処理で硬さを出せるためです。
| 材料 | 公式に挙げている会社 | 補足 |
|---|---|---|
| マルエージング鋼 | KOEI TOOL、東金属産業、J・3D、ODEC | KOEI TOOLは焼入後HRC51-57と記載 |
| SKD61(H13相当) | KOEI TOOL、伸和精工、J・3D(SKD61相当材) | KOEI TOOLはダイカスト向け入子の造形も可 |
| SUS420J2 | ODEC | 金型用途に適したマルテンサイト系ステンレス |
ダイカストのように高温にさらされる金型では、材料の選び方がより重要になります。使う成形条件を伝えて、材料の提案を受けてください。
冷却水路の設計で気をつけること
冷却水路を3Dプリントで作るときは、水路の形だけでなく、造形と後加工の都合も考える必要があります。
- 水路の内側に残った粉末を確実に抜ける形にする
- 水路の断面と曲がりは、造形の向きとサポートを考えて決める
- 型の転写面や合わせ面には削り代を付ける
- 水漏れの確認方法を決めておく
KOEI TOOLのように、流動解析や応力解析で設計を詰めてから造形する会社もあります。成形品の不良が起きている場所を伝えると、水路の配置を提案してもらいやすくなります。
仕上げと熱処理の順番
金型の入子は、熱処理と仕上げの順番で寸法と硬さが決まります。公式に書いている流れを整理します。
- 東金属産業: 造形後に切削仕上げ、その後に社内の熱処理炉で時効処理
- KOEI TOOL: 金型メーカーの設備で最終仕上げ。#3,000の鏡面磨き、シボ加工
- ODEC: 機械加工による二次加工
時効処理で硬くなると切削が難しくなるため、どの段階で削るかを最初に決めておくことが大切です。
DEDで金型を補修する
新しく作るのではなく、摩耗や欠けが出た金型を補修したい場合は、DEDという方式が候補になります。フジは、従来の手作業のTIG溶接による金型補修を、DEDで除去加工・レーザー溶接・切削仕上げまで1台で行えると書いています。
| 項目 | フジの公式の記載 |
|---|---|
| 装置 | LASERTEC 65 DED hybrid(レーザー金属積層造形と同時5軸加工) |
| ワークサイズ | φ500×400(ワーク総重量600kg)まで |
| 補修の例 | 巾30mm×深さ10mmの凹形状部への造形が1箇所約3分 |
| 材料の例 | SKD61相当(金型補修のサンプルはHTC45)、SUS316L、SUS630、ハイス鋼(刃先)、銅合金の付加造形 |
フジは、PBFで造形した金型部品の補修もDEDで行えるとしています。PBFの金型部品そのものは協力会社で製作します。
異種金属を部分的に使う
金型の一部にだけ別の金属を盛ることで、性能を上げる方法もあります。公式に紹介されている例は次のとおりです。
- フジ: 刃先部分を高硬度なハイス鋼で造形したサンプル、PBF造形品の一部に銅合金をDED造形したサンプル
- 明楽: 母材SKD相当に刃先ハイス相当粉末、母材SS材にインコネルやマルエージング鋼
必要な部分にだけ高価な材料を使えるため、材料費を抑えつつ性能を上げられます。
ガス抜きと多孔質の構造
金型ではガス抜きも重要で、3Dプリントで多孔質の部分を作る方法が紹介されることがあります。KOEI TOOLは、ガス抜き部材の開発・販売会社をグループに持っていると書いています。
- ガス焼けやショートショットが起きている場所を伝える
- ガス抜きの位置と冷却水路の位置を同時に検討する
- 多孔質の部分の目詰まり対策を決めておく
冷却とガス抜きの両方を一度に改善したい場合は、金型の設計から相談できる会社を選んでください。
入子の費用と日数をどう見るか
3Dプリントの入子は、通常の入子より造形と後加工の費用がかかるのが普通です。比べるときは、入子の価格だけでなく、成形側で得られる効果も含めて考えます。
- 造形の費用(体積と高さで変わる)
- 時効処理などの熱処理と、切削・磨きの費用
- 成形サイクルの短縮や不良の減少による効果
- 補修のしやすさと型の寿命
効果の見込みは成形品と型によって違うため、試しに1個作って評価する進め方が一般的です。
入子の相談に持っていく情報
金型の入子を依頼する前に、次の情報をそろえてください。
- 金型の3Dデータ(入子の範囲を示す)
- 成形品の材料と、成形の条件
- 困っている不良(反り、ヒケ、サイクルの長さなど)
- 材料の希望(マルエージング鋼、SKD61など)
- 仕上げ(鏡面、シボ)と熱処理の仕様
不良の内容まで伝えると、冷却水路の配置から提案を受けやすくなります。
金型の入子は設計・造形・補修で頼み先が変わる
設計から仕上げまで頼むならKOEI TOOL、造形と時効処理を一体で頼むなら東金属産業、二次加工込みならODEC、補修ならフジが候補です。
- 設計・CAE・鏡面まで: KOEI TOOL
- 造形+時効処理: 東金属産業
- 三次元水管付き金型と二次加工: ODEC
- DEDによる補修: フジ
この記事に出てくる会社
参照元
よくある質問
冷却水路付きの金型入子はどこに頼めますか?
KOEI TOOL(設計・解析から造形、鏡面磨きまで)、ODEC(三次元水管付き金型)、J・3D(金型インサートへの3次元冷却水管)、東金属産業(射出成形用金型の造形実績)などが公式に挙げています。
金型の入子にはどの材料を使いますか?
マルエージング鋼がよく使われ、KOEI TOOLは焼入後HRC51-57としています。KOEI TOOLはダイカスト向けにSKD61の入子の造形も受託できると書いています。
摩耗した金型を3Dプリントで補修できますか?
DEDで補修できる場合があります。フジは、除去加工・レーザー溶接・切削仕上げを1台のDEDハイブリッド機で行い、巾30mm×深さ10mmの凹形状部の造形が1箇所約3分の例を示しています。
【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選
PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら
東レ・プレシジョン株式会社
EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫
滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。
大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら
株式会社明楽
粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台
三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。
チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら
金属技研株式会社
電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から
東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。
自社の部品に合う金属3Dプリントの受託先を、無料で相談する
部品の材料・おおよその大きさ・必要な精度と表面粗さ、数量と希望納期、3Dデータの有無(3D CAD・2D図面・現物)、熱処理や切削仕上げの要否を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、見積の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。