3比較ハブ金属3Dプリントの受託造形

金属3Dプリントの受託造形 · 用途別

チタン・インコネルを金属3Dプリントで造形する|HIP・電子ビーム・品質管理まで対応する受託先【2026年版】

チタン(Ti6Al4V・純チタン)やインコネル(718・625)など、切削では加工しにくい材料を金属3Dプリントで造形したいときの受託先を、対応する方式・装置・後処理・品質管理で整理しました。

公開 2026年10月1日

チタンやインコネルは、軽さや耐熱性に優れる一方、切削では工具が傷みやすく時間のかかる材料です。金属3Dプリントなら、必要な形に近い状態で造形でき、削る量を大きく減らせます。

ただし、強度や内部の品質が問われる用途が多く、受託先の体制が仕上がりを左右します。このページでは、チタンとインコネルを公式に扱う会社を比べます。

チタン・インコネルを扱う受託先

チタンとインコネルを公式に挙げている会社を並べます。方式と装置は公式の表記どおりです。

会社方式チタン・インコネルの記載
金属技研電子ビーム・レーザーTi6Al4V、Inconel718、TiAl
東レ・プレシジョンL-PBFチタン、インコネルを含む15種類
J・3DL-PBF(EOS)純チタン、インコネル718
オリックス・レンテックPBFチタン合金、Ti6Al4V、インコネル、インコネル718
中央可鍛工業PBF(SLM)Inconel625・718
日本積層造形電子ビーム・レーザー100種以上の粉末の実績(チタンの造形の解説あり)
明楽DEDチタン合金、インコネル
JFEエンジニアリング鶴見製作所DEDチタン、ニッケル合金等

細かい形ならPBFの会社、大きな形や肉盛りならDEDの会社が候補になります。

金属技研:電子ビームとHIPで内部品質まで

金属技研は、電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V専用の量産・大型機(Φ350×380H)もあると書いています。最低1個から対応します。

装置対応材料造形エリア
レーザーTi6Al4V、Inconel718250W×250L×325H、275W×275L×420H(mm)
電子ビームTi6Al4V、TiAl200W×200L×350H(Ti6Al4V)
Ti6Al4V専用機Ti6Al4VΦ350×380H

中核技術のHIP処理で造形体の内部欠陥をつぶし、機械加工でRa0.2まで仕上げると書いています。航空宇宙向けや医療機器向けの品質管理に沿った部品の提供もうたっています。

東レ・プレシジョン:仕上げと品質規格

東レ・プレシジョンは、EOS M290とTRUMPF TruPrint1000で15種類の材料を造形し、2019年にJIS Q 9100を取得しています。造形後の表面・内面研磨や精密洗浄まで一貫で行います。

  • 1個から試作対応、量産品も可能
  • 造形解析ソフトで熱ひずみを予測して補正
  • 原料や造形品の品質確認、製造工程の凍結などの品質管理方法を顧客と協議
  • 2022年にJFEエンジニアリング鶴見製作所と業務提携

インペラのように内面の仕上げまで要るチタン・インコネル部品に向きます。

J・3D・オリックス・レンテック・中央可鍛工業

EOS機などのレーザーPBFで、チタンやインコネルを造形する会社も複数あります。それぞれの特徴は次のとおりです。

  • J・3D: 純チタンとアルミの積層厚0.03mm、インコネル718は0.04mm。1個から、最短3日〜2週間
  • オリックス・レンテック: 金属40台以上の造形機。造形過程のモニタリング・記録と造形レポート出力
  • 中央可鍛工業: SLM280(280×280×365mm)でInconel625・718。歪み取りの熱処理、検査は要相談

造形の記録やレポートが必要な場合は、オリックス・レンテックのように記録機能を公式に書いている会社が候補です。

電子ビームとレーザーの選び方

チタンの造形では、電子ビーム方式とレーザー方式のどちらを使うかも検討の対象になります。日本積層造形の説明を整理すると次のとおりです。

項目電子ビーム方式レーザー方式
造形の速さ速い電子ビームより遅い
残留応力予熱で少ない。熱処理は基本的に不要常温のためサポートが必要
表面と細かさ粉末が粗め粉末が細かく、表面粗度に優れる

大きめで応力を抑えたい部品は電子ビーム、細かい形や表面の要る部品はレーザーが向く目安です。

DEDでチタン・インコネルを盛る

大きな部品や、既存の部品にインコネルなどを部分的に盛りたい場合はDEDが候補です。明楽は異種金属の造形例として、母材SS材にインコネルを盛る組み合わせを挙げています。

  • 明楽: チタン合金、インコネルなど7系統の材料。最大3000×1500×1100
  • JFEエンジニアリング鶴見製作所: チタン・ニッケル合金等をニアネットシェイプで製品化。最大φ1320×H1150

DEDの造形面は粗いため、切削の仕上げと組み合わせる前提で考えてください。

チタン部品の仕上げと機械加工

チタンやインコネルの造形品は、そのままでは表面が粗く、はめあいなどの精度も足りないことが多い材料です。仕上げまで一貫で受ける会社を選ぶと、難削材の加工を別に探す手間が省けます。

会社仕上げについての公式の記載
金属技研機械加工でRa0.2
東レ・プレシジョン表面・内面研磨(Ra20μm→Ra0.5μmの例)
ODECチタン合金の造形と、機械加工による二次加工
伊福精密64チタンの造形、切削・放電加工の設備、三次元測定

造形で形の大部分を作り、精度の要る面だけを削ると、難削材の加工時間を大きく減らせます。

協力企業での対応になる場合

チタンやインコネルは、受託先によっては自社では扱わず、協力企業での造形になります。その場合は日数や窓口の扱いが変わることがあります。

  • 東金属産業: チタン、インコネル、銅合金などは協力企業と連携して対応
  • フジ: チタンやアルミ粉末は粉塵爆発の可能性があるため対応不可

自社で造形するかどうかは、日数と品質の記録に影響します。どこで造形するかを、見積の段階で確かめてください。

品質の要求を最初に伝える

チタンやインコネルの部品は、航空宇宙や医療、エネルギーの分野で使われることが多く、品質の記録が求められます。次の点を最初に伝えると、受託先が体制を判断しやすくなります。

  1. 用途と、求められる品質規格
  2. 材料の証明や粉末の管理の要否
  3. 内部欠陥の検査(CT、非破壊試験など)の要否
  4. 熱処理・HIPの要否
  5. 機械的特性の試験の要否

品質の要求が高いほど、検査と記録の費用が加わります。必要な範囲を決めてから見積を取ると、比較がしやすくなります。

費用と日数の目安

チタンやインコネルの造形は、材料が高価で、造形や後処理にも時間がかかります。公開されている数字は次のとおりです。

  • 伊福精密: 6-4チタンの素材料金 1Kg=100,000円(2018年のレートと注記、税表記なし)
  • 金属技研: ある部品1個で、従来90万円・13日→積層造形30万円・4日の比較事例(税表記なし)

金属技研の事例のように、切削やろう付をなくせる形なら、造形の方が安く早くなることもあります。部品点数の削減も含めて比べてください。

チタン・インコネルの相談で用意するもの

チタン・インコネルの造形を依頼する前に、次の情報をそろえてください。

  • 3Dデータ(STL・STEPなど)
  • 材料の種類(Ti6Al4V、純チタン、Inconel718・625など)
  • 精度が要る面と削り代
  • 後処理(熱処理・HIP・機械加工)の要否
  • 検査と記録の要求

情報がそろっていれば、方式と装置の選定から一度で相談できます。

チタン・耐熱合金の頼み先

内部の品質まで詰めるなら金属技研、仕上げと品質規格なら東レ・プレシジョン、1個を早くならJ・3D、大型や肉盛りなら明楽やJFEエンジニアリング鶴見製作所が候補です。

  • HIP処理まで: 金属技研
  • 研磨・洗浄まで: 東レ・プレシジョン
  • 1個を早く: J・3D
  • 大型・肉盛り: 明楽、JFEエンジニアリング鶴見製作所

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

チタンを金属3Dプリントで造形できる会社はどこですか?

金属技研(Ti6Al4V・TiAl)、東レ・プレシジョン、J・3D(純チタン)、オリックス・レンテック(Ti6Al4V)、明楽(チタン合金、DED)などが公式に挙げています。

造形したチタン部品の内部の欠陥が心配です。

金属技研は、HIP処理を造形の後工程に使って内部欠陥をつぶすと書いています。造形直後のTi-6Al-4V材で約10μm程度の内部欠陥を確認した例も公開しています。

インコネルの造形はどこに頼めますか?

金属技研・J・3D(Inconel718)、中央可鍛工業(Inconel625・718)、東レ・プレシジョン、オリックス・レンテック、明楽などです。

【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら

東レ・プレシジョン株式会社

EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫

滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。

東レ・プレシジョン株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら

株式会社明楽

粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台

三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。

株式会社明楽の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら

金属技研株式会社

電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から

東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。

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