CMP装置 · 用途別
MEMSと接合前の平滑化に使うCMP|原子レベルの表面と異種材料の貼り合わせに向けた装置と受託【2026年版】
MEMSや、異なる材料のウェーハを貼り合わせる接合では、接合面を極めて平滑に仕上げる必要があります。掲載会社の公式情報から、接合前のCMPの事例、装置、受託の選び方を整理しました。
ウェーハ同士を直接貼り合わせる接合では、表面のわずかな凹凸やパーティクルが、はがれや空洞の原因になります。そのため接合の前にCMPで表面を平滑にし、精密に洗浄します。
この記事では、MEMSと接合前の平滑化に使うCMPを、掲載会社の公式情報で整理します。
接合前のCMPに取り組む会社の一覧
まず、MEMSや接合に向けたCMPを公式に挙げている会社を並べます。受託が中心ですが、装置もあります。
| 会社 | 区分 | 公式記載の内容 |
|---|---|---|
| ティ・ディ・シー | 受託 | 接合用基板のSiCウエハでRa0.1nm以下、LT&水晶基板の異種材料接合の平滑化 |
| マイポックス | 受託 | 研磨・洗浄に加え、独自のポリシング加工と洗浄処理を組み合わせた接合処理 |
| 北川グレステック | 装置+受託 | MEMS(マイクロマシン)などのCMP受託 |
| ケメット・ジャパンMAT事業部 | 装置+テスト加工 | MEMS、SOIなどのテスト加工 |
| 東京精密 | 装置 | ChaMP211をMEMS、SAWフィルター等のデバイス向けと記載 |
接合まで一緒に頼みたいならマイポックス、極めて平滑な面を少数で作りたいならティ・ディ・シー、装置を入れるなら東京精密や北川グレステック、と目的で分かれます。
接合用の基板に求められる平滑さ
ティ・ディ・シーは、接合用基板は接合強度の向上や良好な接合状態のために、接合面の平滑化やナノレベルの表面粗さが必須になると説明しています。公開されている事例を並べます。
| 材料 | 公式記載の精度 | 用途 |
|---|---|---|
| SiCウエハ | 表面粗さRa0.1nm以下 | 接合用基板 |
| LT&水晶基板(LT側) | Ra0.2nm以下、膜厚ばらつき150nm以下(φ100×LT膜厚1um) | 異種材料の接合の平滑化・LT膜極薄化 |
| テンパックスガラス | 仕上げの厚み公差±1um(50×50×t1程度) | 基板に彫られた流路の深さ管理 |
数字は、それぞれの事例の材料と条件での結果です。自社の材料と構造で同じ平滑さが出るかは、試作で確かめてください。
CMPのあとの精密洗浄まで一続き
CMPで平滑にしても、スラリーの粒やパーティクルが残れば接合はうまくいきません。接合の前工程では、CMPと洗浄を一続きで考えます。
- ティ・ディ・シー: 接合用基板は、一般的にCMP研磨加工を行った後に精密洗浄を実施すると説明
- マイポックス: 一般的なRCA洗浄から特殊洗剤を用いた化学洗浄、スクラブ式の物理洗浄まで対応
- 北川グレステック: ポストCMP洗浄を受託。研磨機と洗浄機が一体のDry-In/Dry-Out装置も
- 東京精密 ChaMP211: 洗浄ユニット搭載で精密洗浄が可能
CMPと洗浄を別の会社に頼むと、運ぶ間に表面が汚れることがあります。可能なら、研磨から洗浄までを同じ場所で行える会社に頼んでください。
MEMSのCMP
MEMSは、シリコンなどに微細な構造を作り込んだデバイスです。構造の上に膜を重ねたり、別のウェーハで蓋をしたりする工程で、CMPによる平坦化が使われます。
- 北川グレステック: SiCパワーデバイス、SOI、マイクロマシン(MEMS)、光学系デバイスなどのCMP受託
- ケメット・ジャパンMAT事業部: SiCパワーデバイス、SOI、マイクロマシン(MEMS)のテスト加工
- ティ・ディ・シー: CMP研磨加工の用途として、パワーデバイスやMEMSデバイス用のウエハを挙げる
- 東京精密 ChaMP211: SiCやMEMS、マイクロLED、SAWフィルター等のデバイスに最適
MEMSは品種が多く、1品種あたりの枚数が少ないことがよくあります。受託や小型の装置から始めるのが現実的です。
接合処理まで任せる
研磨と洗浄だけでなく、貼り合わせの処理まで外に任せる方法もあります。マイポックスは、研磨・洗浄・接合をまとめたサービスを案内しています。
| マイポックスの公式記載 | 内容 |
|---|---|
| サービスの範囲 | 半導体ウェーハや関連部品向けのワンストップソリューション型の受託研磨・洗浄・接合 |
| 接合 | 独自のポリシング加工や洗浄処理を組み合わせた接合処理 |
| サイズ | 常温接合装置は6"・4"(3"以下やチップなどの異形ウェーハは専用治具で対応可)。CMP装置は12"〜4"(3"以下はマニュアル対応) |
| 移管 | 研磨装置や研磨材一式を顧客の製造ラインへ移す技術移管 |
工程をまとめて任せれば、工程の間の受け渡しで起きる汚れや傷を減らせます。社内で接合を行う場合も、接合面の状態の受け渡し方を決めておいてください。
薄く仕上げる貼り合わせ基板
異なる材料を貼り合わせたあと、片方を薄く削って仕上げる工程もあります。ティ・ディ・シーのLT&水晶基板の事例は、この工程の例です。
- ティ・ディ・シー: LT&水晶基板のLT側を研磨し、LT膜厚1umまで極薄化。膜厚ばらつき150nm以下
- 日本エンギス: ガラス等の基材上にウエハを貼り合わせる貼付装置(接着バラツキTTV<1µm)
- 日本エンギス: 化合物半導体を貼付・研削・CMPで板厚100µm以下に仕上げる工程
極薄に仕上げるほど、厚さのばらつきが問題になります。目標の厚さと、許されるばらつきを最初に伝えてください。
SOIやSAWフィルターなど関連するデバイス
貼り合わせや極薄の層を使うデバイスは、MEMSのほかにもあります。公式に挙げられている対象を並べます。
- 北川グレステック、ケメット・ジャパンMAT事業部: SOIのCMP受託・テスト加工
- 東京精密 ChaMP211: SAWフィルター、マイクロLED向けと記載
- ディスコ DFP8141: LT、LNのCMPに対応
- ティ・ディ・シー: LT&水晶基板でLT膜を極薄化する事例
SAWフィルターに使うLTやLNは、割れやすい材料です。接合のあとに薄くする工程では、貼り合わせた基板の反りにも注意してください。
少量・多品種で進めるときの考え方
MEMSや接合のデバイスは、品種が多く、1品種の枚数が少ないことがよくあります。少量でも頼みやすい先を選ぶのが大事です。
| 進め方 | 向く場面 | 公式記載の例 |
|---|---|---|
| 1点からの受託 | 研究や試作で数枚だけ欲しい | ティ・ディ・シー(1点〜量産) |
| 試作から中量の受託 | 試作のあと少量の生産も任せたい | マイポックス(試作、少量〜中量の生産) |
| 小型装置の導入 | 社内で頻繁に条件を変えたい | 東京精密 ChaMP211、北川グレステックの実験装置 |
社内に装置を入れるかどうかは、試作の頻度と、外に出せない情報の多さで決めるのが目安です。最初は受託で始め、頻度が上がったら装置を検討する流れも取れます。
接合前CMPを依頼するときの準備
接合前のCMPは、接合の方法と組み合わせて考える必要があります。依頼の前に、次の点をそろえてください。
- 貼り合わせる2つの材料と、接合の方法
- 目標の表面粗さと、許される反りや厚さのばらつき
- CMPのあとの洗浄と、接合までの時間の制約
- 試料のサイズと枚数、試作か量産か
- 表面の評価の方法(粗さ、パーティクル、平坦度)
ティ・ディ・シーは1点から量産まで対応し、材料の提案・調達や試験片の製作にも対応すると書いています。材料の選定から相談したい研究段階では、こうした受託先が頼りになります。
接合の結果がよくなかったときに、CMPと洗浄と接合のどこに原因があるかを切り分けられるよう、各工程の記録を残しておいてください。工程をまとめて任せる場合も、記録の受け渡しを約束しておくと安心です。
接合前の表面は時間とともに変わるので、研磨から接合までの時間と、その間の保管方法や容器も決めておきましょう。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社東京精密SiC・MEMSを開発から量産まで
- 株式会社ディスコ硬脆材料を全自動で
- 日本エンギス株式会社化合物半導体の薄化なら
- ケメット・ジャパン株式会社 MAT事業部(エム・エー・ティ)チップ・小片からの実験なら
- 北川グレステック株式会社開発用装置と受託を一社で
- マイポックス株式会社受託でまず試すなら
- 株式会社ティ・ディ・シー接合前の平滑化を1点から
参照元
よくある質問
接合前の基板をどこまで平滑にできますか?
ティ・ディ・シーは、接合用基板のSiCウエハで表面粗さRa0.1nm以下、LT&水晶基板でRa0.2nm以下の加工事例を公開しています。
研磨から接合までまとめて頼めますか?
マイポックスは、半導体ウェーハや関連部品向けに、受託研磨・洗浄・接合をまとめたワンストップのサービスを案内しています。
MEMSのCMPを試せる会社は?
北川グレステックはMEMSなどのCMPを受託し、ケメット・ジャパンMAT事業部はMEMSやSOIのテスト加工を行っています。装置では東京精密のChaMP211がMEMS向けとされています。
【用途別】CMP装置メーカーおすすめ3選
研究開発用の装置を、受託でプロセスを試してから選ぶなら
北川グレステック株式会社
卓上型から3インチ〜300mmのCMP実験装置まで。SiC・TSV・ダマシンの受託CMPも同じ会社で
試験・量産用のCMP装置をウェハサイズに合わせて案内し、マニュアルローディングのCMP実験装置は3インチ〜150mm/200mm/300mmをドレス機構付きでそろえる。卓上型は酸性・アルカリ性のあらゆるスラリーに対応。CMP受託加工ではプロセス開発・試作・消耗品評価を請け負い、SiCパワーデバイス、SOI、MEMS、TSV、TGV、ダマシンプロセスの実績を公式に記載。
SiC・MEMSなど8インチ以下のデバイスを、開発から量産まで同じ装置で
株式会社東京精密
小型CMP装置ChaMP211は2〜8インチの研磨ヘッドで、R&Dから試作、量産まで拡張可能。300mm機ChaMP332も
ChaMP211は量産ラインで培った技術を載せた小型のCMP装置で、SiCやMEMS、マイクロLED、SAWフィルター等のデバイスに最適と記載。2〜8インチの研磨ヘッドで同じ本体のまま異なるウェーハサイズを研磨でき、ウェーハローダと洗浄ユニットを積んでフルオート動作が可能。エアフロート式ヘッドSylphideと白色光の終点検出を備える。
半導体工場の量産ラインに、スループット重視で入れるなら
株式会社荏原製作所
F-REX300XA型は1テーブル1ヘッドのデュアルモジュール方式。終点検出とインライン膜厚測定はオプション
F-REX型はウェーハ表面を化学的機械的に研磨するクリーンルーム設置型のCMP装置で、ドライイン/ドライアウト、多段薬液洗浄に対応。F-REX300XA型は新開発の高効率搬送機構とWPH最適化アルゴリズムを搭載し、1テーブル1ヘッド、デュアルモジュール方式、クロスコンタミ対策、改造が容易なモジュール構造を備え、F-REX300X型比で約10%の消費電力削減をうたう。
自社の材料に合うCMP装置・受託先を、無料で相談する
研磨したい材料(基板・膜)、ウェハや試料のサイズ、目標の表面粗さや平坦度、処理枚数、装置の購入か受託か、使う場所(研究室・クリーンルーム)を送っていただくと、編集チームが条件に合う掲載会社へ匿名で概要を伝え、見積やテスト加工の窓口をおつなぎします。費用はかかりません。