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金属3Dプリントの受託造形 · 基礎知識

金属3Dプリントの方式の違い|PBF・電子ビーム・DED・焼結型を、受託各社の設備で比べる【2026年版】

金属3Dプリント(金属AM)には、粉末を敷いて溶かすPBF、電子ビームで溶かす方式、粉末やワイヤーを盛るDED、造形後に焼結する方式などがあります。掲載各社が公式に出している設備と説明をもとに、方式ごとの得意・不得意を整理しました。

公開 2026年10月1日

金属3Dプリントを頼むとき、最初に知っておきたいのが造形方式の違いです。方式によって、作れる大きさ、細かさ、表面の状態、後加工の量が大きく変わります。

受託の会社はそれぞれ特定の方式の装置を持っています。このページでは、掲載各社の公式な設備と説明をもとに、方式の違いを整理します。

主な方式の全体像

まずは、受託でよく使われる方式の大まかな違いを押さえます。細かい形はPBF、大きな形や肉盛りはDEDというのが基本の分け方です。

方式造形の仕組み得意なこと
PBF(レーザー)敷いた金属粉末をレーザーで溶かして固める細かい形、中空や格子の構造
PBF(電子ビーム)粉末を電子ビームで溶かす。真空・予熱で造形残留応力の少ない造形、速い造形
DED粉末などを吹き付けながらレーザーで溶かして盛る大きな形、既存部品への肉盛り、補修
造形後に焼結する方式粉末を固めた形を作り、焼結して金属にする比較的低コストな造形

同じ金属3Dプリントでも、PBFとDEDでは別の工法と考えた方が分かりやすいほど違います。部品の大きさと細かさから、どちらに当たるかを先に考えてください。

PBF(パウダーベッド方式)

PBFは、金属粉末を薄く敷き、造形したい部分だけをレーザーで溶かして固める工程を繰り返す方式です。受託の会社で最も多く使われています。

会社公式に書いているPBFの設備
東レ・プレシジョンEOS M290 3台(250×250×H325mm)、TRUMPF TruPrint1000 2台(Φ100×H100mm)
J・3DEOSINT M280・M290。4台を24時間365日稼働
ODECSodick製、3D Systems製。250×250×250mmなど
中央可鍛工業SLM280(280×280×365mm、700W×2)
オリックス・レンテックBLT-S310/S320(250×250×400mm)、EOS M 290

造形サイズは250mm角前後の装置が多く、細かい形を高い精度で作るのが得意です。一方で、装置の箱に入らない大きな部品は作れません。

電子ビーム方式(EB-PBF)

電子ビーム方式は、熱源にレーザーではなく電子ビームを使うPBFです。日本積層造形は、電子ビーム方式とレーザー方式の違いを公式に公開しています。

項目電子ビーム方式(EB-PBF)レーザー方式(L-PBF)
粉末粒径45〜105μm45μm未満
積層厚50〜90μm20〜50μm
チャンバー内真空・予熱不活性ガス置換
サポート簡素(予熱するため)必要(常温のため)

日本積層造形は、電子ビーム方式は造形が速く、予熱により応力除去などの熱処理も基本的に不要としています。レーザー方式は粉末が細かいため、表面粗度に優れ細かい構造物に向くと説明しています。

電子ビーム方式の装置は、日本積層造形と金属技研が持っていると公式に書いています。金属技研はTi6Al4VとTiAlに電子ビーム機を使っています。

DED(指向性エネルギー堆積)

DEDは、金属粉末を吹き付けながらレーザーで溶かし、肉を盛るように造形する方式です。明楽は、後加工と組み合わせて高精度な部品にも適応すると説明しています。

会社公式に書いているDEDの設備最大造形サイズ
明楽粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機3000×1500×1100
JFEエンジニアリング鶴見製作所芝浦機械 ZK-T2010(5軸)φ1320×H1150
JFEエンジニアリング鶴見製作所ニデックマシンツール LAMDA500(3台)500×500×500
フジLASERTEC 65 DED hybrid(同時5軸加工)φ500×400

DEDは大きな部品や、既存の部品に形を追加する用途に向きます。造形面は粗めのため、切削の仕上げと組み合わせるのが一般的です。

造形後に焼結する方式とLMM

粉末を樹脂などで固めて形を作り、あとから焼結して金属にする方式もあります。焼結の際に縮むため、その分を見込んで造形します。

  • 伸和精工: Markforged Metal。造形サイズ300×220×180mm。焼結後はこのサイズから20%縮小。データ入手後7〜10日
  • 日本マイクロMIMホールディングス: 光重合性樹脂と金属粉末を混ぜて光で造形するLMM方式。微小部品に特化

伸和精工は、この方式の金属3Dプリンターを低コストで造形できる装置として紹介しています。縮む割合を見込んだ設計が必要なため、寸法の厳しい箇所は切削で仕上げる前提で考えてください。

ハイブリッド機という選択肢

造形と切削を1台で行えるハイブリッド機を持つ会社もあります。造形の途中や直後に削れるため、精度の要る面を同じ段取りで仕上げられます。

  • 明楽: 粉末DEDと五面加工機のハイブリッド。切削主軸を搭載し、積層造形と切削の複合加工
  • フジ: レーザー金属積層造形と同時5軸加工のハイブリッド。金型補修を1台で

ハイブリッド機は、造形のままでは精度が足りない部品の手間を減らせる一方、対応できる材料や大きさは装置ごとに違います。

方式によって後加工の量が変わる

どの方式でも、造形のままで完成品になることは多くありません。ただし必要な後加工の種類と量は、方式によって違います。

方式よくある後加工
PBF(レーザー)ベース板からの切り離し、サポート除去、応力除去の熱処理、研磨
PBF(電子ビーム)サポート除去、機械加工(予熱により熱処理は基本的に不要と日本積層造形は説明)
DED切削による仕上げ(ニアネットシェイプから削る)
焼結する方式焼結、寸法の厳しい箇所の切削仕上げ

金属技研は、造形のままの面粗度をRa25(EBM)、Ra11(SLM)とし、機械加工でRa0.2に仕上げると書いています。方式を選ぶときは、後加工まで含めた日数と費用で比べてください。

部品の条件から方式を選ぶ

方式は、部品の大きさ・細かさ・用途から逆算して選びます。次の表を目安にしてください。

部品の条件向く方式相談先の例
250mm角以内で細かい形・中空PBF(レーザー)東レ・プレシジョン、J・3D、ODEC
チタンで応力を抑えたい電子ビーム方式金属技研、日本積層造形
メートル級の大型DED明楽、JFEエンジニアリング鶴見製作所
既存部品の補修・肉盛りDED明楽、フジ
工具鋼や銅を低コストで焼結する方式伸和精工

迷ったら、部品の大きさと最も細かい部分の寸法を伝えて、方式から提案を受けてください。

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参照元

よくある質問

金属3Dプリントの方式はどう選べばよいですか?

部品の大きさと細かさで選ぶのが基本です。250mm角程度までの細かい形はPBF、メートル級の大型や肉盛り・補修はDEDが向きます。明楽は最大3000×1500×1100のDEDハイブリッド機を持っています。

電子ビーム方式とレーザー方式は何が違いますか?

日本積層造形の説明では、電子ビーム方式は造形が速く予熱で残留応力が少なくサポートが簡素、レーザー方式は粉末が細かく表面粗度に優れ細かい構造に向くとしています。

焼結する方式の金属3Dプリントとは何ですか?

粉末を固めた形を作り、焼結して金属にする方式です。伸和精工は造形サイズ300×220×180mmで、焼結後はこのサイズから20%縮小すると書いています。

【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら

東レ・プレシジョン株式会社

EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫

滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。

東レ・プレシジョン株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら

株式会社明楽

粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台

三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。

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3

チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら

金属技研株式会社

電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から

東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。

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