3比較ハブ金属3Dプリントの受託造形

金属3Dプリントの受託造形 · 基礎知識

金属3Dプリントの後加工と費用|熱処理・HIP・切削・研磨と、料金の目安を公開している受託先【2026年版】

金属3Dプリントの部品は、造形のあとに熱処理・サポート除去・切削・研磨などの後加工が必要になることがほとんどです。掲載各社が公式に出している後加工の範囲と、料金や見積の目安を整理しました。

公開 2026年10月1日

金属3Dプリントの費用を考えるとき、造形の費用だけを見ていると見誤ります。後加工の費用と日数が、造形と同じくらいかかることもあるからです。

このページでは、掲載各社が公式に書いている後加工の範囲と、料金の考え方を整理します。

造形から完成までの工程

PBFの部品は、造形後に次のような工程を経て完成します。どこまでを受託の会社に任せるかで、費用と手間が変わります。

  1. 造形(積層)
  2. 応力除去などの熱処理
  3. ベース板からの切り離し(ワイヤーカットなど)
  4. サポート除去
  5. ブラストや研磨などの表面仕上げ
  6. 精度が要る面の機械加工
  7. 検査

ライト製作所は造形工程を、積層・応力除去・ワイヤーカット・サポート除去と書いています。このあと、必要に応じて切削や表面処理に進みます。

各社の後加工の範囲

後加工の範囲を公式に書いている会社を並べます。社内で一貫して行う会社ほど、工程間の運搬がなく日数を読みやすくなります。

会社公式に書いている後加工
東レ・プレシジョン表面・内面の研磨(Ra20μm→Ra0.5μmの例)、精密洗浄、検査
金属技研HIP処理、熱処理、機械加工(Ra0.2)、検査
ODEC機械加工による二次加工、ベースプレートの研磨
KOEI TOOL#3,000までの鏡面磨き、シボ加工
ホワイトインパクトショットブラスト(標準)、アルマイト、テフロン、X線CT
JFEエンジニアリング鶴見製作所熱処理、サポート除去、研磨、仕上げ加工、寸法検査・非破壊試験
伸和精工精密切削による仕上げ、ねじの追加工、ヘリサート、含浸処理

どの後加工が必要かは、部品の使い方で決まります。装置に直接組み込むなら、表面と寸法の仕上げまで含めて頼むのが確実です。

熱処理とHIP処理

熱処理は、造形で残った応力を抜いたり、材料の強さを整えたりする工程です。HIP処理は、高温高圧で造形体の内部の欠陥をつぶす処理です。

  • 金属技研: HIP処理を積層造形の後工程に併用して内部欠陥をつぶす。造形直後のTi-6Al-4V材で約10μm程度の内部欠陥を確認した例
  • 東金属産業: マルエージング鋼の時効処理を社内で完結
  • 中央可鍛工業: 歪み取り、材質調整の熱処理
  • KOEI TOOL: マルエージングは焼入後HRC51-57

強度や疲労が問題になる部品では、HIPを含めた処理の要否を最初に相談してください。

表面の仕上げと機械加工

造形のままの表面はざらざらしており、精度が要る面には向きません。金属技研は造形まま面粗度Ra25(EBM)・Ra11(SLM)を、機械加工でRa0.2にすると書いています。

仕上げの種類目的公式に挙げている会社の例
ブラスト粉や汚れを落とし、表面をそろえるホワイトインパクト、中央可鍛工業
研磨表面粗さを下げる東レ・プレシジョン、JFEエンジニアリング鶴見製作所
鏡面磨き金型の転写面などを仕上げるKOEI TOOL(#3,000まで)
機械加工はめあい・穴など精度の要る面を作る金属技研、ODEC、伸和精工、明楽

機械加工で仕上げる面には、造形の段階で削り代を付けておく必要があります。

検査と品質の記録

金属3Dプリントの部品は、外から見えない内部の状態が品質を左右します。検査の方法を公式に書いている会社を並べます。

  • JFEエンジニアリング鶴見製作所: 寸法検査、非破壊試験、組織観察
  • ホワイトインパクト: マイクロフォーカスX線CT撮影(分解能0.5μm)
  • オリックス・レンテック: 造形過程モニタリング・記録機能、造形レポート出力機能
  • 伊福精密: 三次元測定器(Carl Zeiss CONTURA-HTG)でスキャンして品質測定
  • 東レ・プレシジョン: JIS Q 9100を取得

検査の記録が必要な場合は、項目と方法を見積の前に伝えてください。検査が増えるほど費用も上がるため、必要な範囲を決めておくことが大切です。

後加工を別の会社に出す場合の注意

造形だけを頼み、後加工を別の会社に出すこともできます。ただし、その場合は次の点に注意が要ります。

  • 削り代の量を、造形の会社と加工の会社で事前にそろえる
  • 治具の基準になる面を造形で作っておく
  • 熱処理の前後どちらで削るかを決める
  • 運搬の日数と、責任の分かれ目を確認する

迷う場合は、造形から仕上げまで一貫で受ける会社に相談する方が、全体の日数を読みやすくなります。

料金の目安を公開している会社

金属3Dプリントの料金を公式に出している会社は少数です。公開されている例を、税の表記どおりに並べます。

会社内容公式の表記
伊福精密素材料金 SUS316L1Kg=26,000円(2018年のレート、税表記なし)
伊福精密素材料金 6-4チタン1Kg=100,000円(2018年のレート、税表記なし)
伊福精密造形料金(体積)造形形状の1c㎥=600円(税表記なし)
伊福精密造形料金(時間)1時間=12,000円(税表記なし)
伊福精密素材変更の段取り6万円(税表記なし)
金属技研ある部品1個の比較事例従来90万円・13日→積層造形30万円・4日(税表記なし)

伊福精密の素材単価は、料金ページで2018年のレート(1€=130円)と注記されています。体積の例では、729c㎥の造形が単純計算で437,400円になると示しています。体積が大きいほど費用が上がるため、中空や格子で体積を減らす設計は費用にも効きます。

見積を早く取る方法

見積の速さや方法も、会社ごとに違います。公式に書いている方法をまとめます。

  • 日本積層造形: 3DデータをWebにアップして概算見積を算出するシミュレーション
  • SOLIZE PARTNERS: 問い合わせ・見積に1営業日以内に回答
  • オリックス・レンテック: 3Dプリント試算・造形シミュレーションを無料で利用可能
  • J・3D: 3DCADデータ・数量・材質・追加工の有無で見積

どの会社でも、3Dデータがあると見積が早く正確になります。後加工の要否と数量も、最初の依頼で伝えてください。

費用を抑える考え方

金属3Dプリントの費用は、体積・高さ・材料・後加工でほぼ決まります。次の工夫で抑えられることがあります。

  1. 中空や格子にして体積を減らす
  2. 造形の高さが低くなる向きを相談する
  3. 精度が要る面だけを機械加工する
  4. 同じ造形で複数個をまとめて作る(ライト製作所は多品種の同時造形が可能と記載)
  5. 材料の切り替えが要らない材料を選ぶ

見積の段階で、後加工ごとの費用を分けて示してもらうと、どこを削れるかが分かります。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

金属3Dプリントの部品は造形のままで使えますか?

多くの場合、熱処理・サポート除去・表面仕上げ・機械加工などの後加工が必要です。東レ・プレシジョンは造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで研磨した例を、金属技研は機械加工でRa0.2にすると公式に書いています。

金属3Dプリントの料金の目安はありますか?

伊福精密が、素材料金(SUS316Lが1Kg=26,000円など。2018年のレートと注記)と造形料金(造形形状1c㎥=600円、1時間=12,000円)の例を公開しています(税表記なし)。

見積を早く取るにはどうすればよいですか?

3Dデータを用意するのが一番です。日本積層造形は3DデータをWebにアップして概算見積を出せるシミュレーションを用意し、SOLIZE PARTNERSは1営業日以内に回答するとしています。

【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら

東レ・プレシジョン株式会社

EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫

滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。

東レ・プレシジョン株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら

株式会社明楽

粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台

三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。

株式会社明楽の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら

金属技研株式会社

電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から

東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。

金属技研株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

関連記事