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金属3Dプリントの受託造形 · 基礎知識

金属3Dプリントの設計ルールと精度|寸法公差・最小肉厚・サポート・熱ひずみを受託各社の公開値で確認【2026年版】

金属3Dプリントは自由な形を作れる一方、寸法の精度や薄さ、サポートの付け方には決まりがあります。掲載各社が公式に出している寸法公差、積層厚、最小肉厚、サポートや熱ひずみへの対策を整理し、データを作るときの注意点をまとめました。

公開 2026年10月1日

金属3Dプリントは、切削ではできない中空や格子の形を作れるのが魅力です。ただし、どんな形でも作れるわけではなく、精度にも限界があります。

データを作る前にルールを知っておくと、造形できない形や、仕上げで費用がかさむ形を避けられます。このページでは、掲載各社の公式な数字をもとに整理します。

寸法の精度はどれくらいか

造形のままの寸法の精度を、公式に出している会社は多くありません。公開されている数字は次のとおりです。

会社公式の精度の表記
伊福精密パウダーベッド方式の寸法公差±0.1㎜(比較表)
ODEC一般的に3Dプリンターは100μ単位までの寸法精度といわれると記載。ProX DMP200の繰り返し造形精度は20μm
KOEI TOOL装置仕様にレーザー精度±30μm
SOLIZE PARTNERS微細形状の再現レベルを0.1〜0.2mmまで

切削の部品のように、数μmの公差を造形のままで出すのは難しいと考えてください。精度が要る面は、削り代を付けて造形し、あとで機械加工するのが一般的です。

積層厚と表面の粗さ

金属3Dプリントは層を重ねて作るため、表面に層の段差が残ります。積層厚が薄いほど段差は細かくなりますが、造形時間は長くなります。

会社積層厚・表面についての公式の記載
J・3Dマルエージング鋼0.05mm、インコネル718 0.04mm、純チタンとアルミ0.03mm、SUS316L 0.02mm
ACR積層10μm(10μm以下も可能)。10μ金属粉末の独自仕様
有我工業所積層厚0.02〜0.06mm
中央可鍛工業積層厚さ20〜75μm、表面粗さRa10前後
金属技研造形まま面粗度Ra25(EBM)、Ra11(SLM)

J・3Dは、材質によって積層厚みが異なるため、同じ形でも材質によって価格が変わると書いています。表面の要求が高い部品は、研磨などの後加工まで含めて考えてください。

大きさの上限は装置で決まる

造形できる大きさは、受託の会社が持つ装置の造形エリアで決まります。公式に書いている最大の大きさを並べます。

会社方式公式の最大造形サイズ
明楽DED3000×1500×1100
JFEエンジニアリング鶴見製作所DEDφ1320×H1150
日本積層造形PBF800×400×500mm
東金属産業PBF(アルミ)600×600×500
ライト製作所PBF(アルミ)W420×D420×H500㎜
東レ・プレシジョンPBF250×250×H325mm

装置に入らない大きさの部品は、分割して造形し、あとで接合する方法もあります。分割の位置は強度と精度に効くため、受託の会社と相談して決めてください。

薄さと細さの限界

薄すぎる壁や細すぎる柱は、造形中に崩れたり、粉末が取れなくなったりします。最小の肉厚を公式に出している会社もあります。

  • 東金属産業: 最小肉厚 アルミt0.5、マルエージング鋼・インバーt0.3など
  • SOLIZE PARTNERS: 微細形状の再現レベルを従来の0.4mm程度から0.1〜0.2mmまで
  • 日本マイクロMIMホールディングス: 微小部品に特化したLMM方式

最小の肉厚は、材料と形と向きで変わります。薄い部分がある場合は、データを送る段階でその箇所を伝えておくと可否の判断が早くなります。

サポートと造形の向き

PBFでは、張り出した部分を支えるためにサポートと呼ぶ支えを一緒に造形します。サポートは後で取り除くため、付ける位置で仕上がりと費用が変わります。

  • ホワイトインパクト: 複数のスタッフがサポート位置や表面が荒れる部分を検討し、造形前に連絡
  • ライト製作所: サポート除去のしやすさと精度のため、傾けて造形した事例
  • 日本積層造形: 電子ビーム方式はサポートが簡素で済むと説明

サポートが付いた面は、取り除いた跡が残ります。見せたい面や精度が要る面には付けないよう、造形の向きを相談してください。

熱ひずみと残留応力

金属を溶かして固める工程では、熱で部品が反ったり、内部に応力が残ったりします。受託の会社は、解析や熱処理でこれに対処しています。

会社熱ひずみ・応力への公式の対策
東レ・プレシジョン造形解析ソフトで事前検証し、熱ひずみを予測してモデル形状を補正
SOLIZE PARTNERS造形前に解析して製品性能を予測し、造形方案を検討
ライト製作所造形工程に応力除去
中央可鍛工業熱処理(歪み取り、材質調整)

反りやすい形かどうかは、データを見れば受託の会社が判断できます。大きな平面や長い形は、事前に相談しておくと失敗を減らせます。

中空・格子構造を使うときの注意

金属3Dプリントの強みは、中空や格子(ラティス)の構造を一体で作れることです。ライト製作所は、ラティス構造や中空にすることで納期短縮と軽量化も実現するとしています。

  • 中に残った粉末を抜く穴を設ける
  • 内部の面は研磨しにくいことを前提にする
  • 内部の検査方法を決めておく(ホワイトインパクトはX線CTに対応)

東レ・プレシジョンは内面の研磨も行うとしています。内部の面の状態が性能に効く部品は、仕上げの方法まで含めて相談してください。

精度が要る部品の進め方

はめあいやシール面など、精度が要る部品を金属3Dプリントで作るときは、造形と切削を組み合わせるのが基本です。造形と機械加工を一貫で受ける会社なら、削り代の付け方から相談できます。

  1. 精度が要る面を図面で示す
  2. その面に削り代を付けて造形する
  3. 熱処理で応力を抜く
  4. 機械加工で精度を出す
  5. 測定して記録する

ODEC、金属技研、明楽、伸和精工は、造形後の機械加工を自社で行うと公式に書いています。仕上げを一社で済ませると、削り代の判断と加工の責任が一つにまとまります。

データを送る前に確かめること

最後に、3Dデータを送る前のチェック項目をまとめます。

  1. 精度が要る面に削り代を付けたか
  2. 薄い壁・細い柱の寸法を確認したか
  3. 見せたい面・精度が要る面を伝えたか
  4. 中空部に粉末を抜く穴があるか
  5. データ形式(STL・STEPなど)が受託先の指定に合っているか

J・3Dは見積にSTL・STEP・IGESなどの3DCADデータが必要としています。形式の指定は会社ごとに違うため、最初に確かめてください。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

金属3Dプリントの寸法精度はどれくらいですか?

会社と形状によります。伊福精密はパウダーベッド方式の寸法公差を±0.1㎜とし、ODECは一般的に100μ単位までの寸法精度といわれると書いています。精度が要る面は機械加工で仕上げるのが一般的です。

どのくらい薄い壁まで造形できますか?

材料と形で変わります。東金属産業は最小肉厚をアルミでt0.5、マルエージング鋼・インバーでt0.3などとし、SOLIZE PARTNERSは微細形状の再現を0.1〜0.2mmまで高めたとしています。

造形で反りが出ないか心配です。

東レ・プレシジョンは造形解析ソフトで熱ひずみを予測してモデルを補正し、中央可鍛工業は歪み取りの熱処理を行うとしています。形状を送って事前に相談してください。

【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら

東レ・プレシジョン株式会社

EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫

滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。

東レ・プレシジョン株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら

株式会社明楽

粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台

三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。

株式会社明楽の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら

金属技研株式会社

電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から

東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。

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