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金属3Dプリントの受託造形 · 基礎知識

金属3Dプリントの材料の選び方|SUS316L・チタン・アルミ・インコネル・マルエージング鋼と対応する受託先【2026年版】

金属3Dプリントで使える材料は、受託の会社と装置によって決まります。SUS316L・SUS630・チタン・アルミ・インコネル・マルエージング鋼・銅などについて、掲載各社が公式に挙げている対応状況と、選ぶときの考え方を整理しました。

公開 2026年10月1日

金属3Dプリントの材料は、切削のように好きな材料を選べるわけではありません。装置ごとに使える粉末が決まっていて、会社によって扱える材料の幅が大きく違います。

材料を先に決めてから会社を探すと、候補が一気に絞れます。このページでは、掲載各社の公式な対応材料をもとに、材料ごとの頼み先を整理します。

よく使われる材料と特徴の目安

受託でよく扱われる材料の大まかな特徴を押さえます。同じ名前でも、3Dプリント用の粉末は鋳造材や圧延材と性質が少し違うことがあります。

材料特徴の目安よくある用途
SUS316L耐食性の高いステンレス流路部品、治具、装置部品
SUS630(17-4PH)熱処理で強度を上げられるステンレス強度が要る機械部品
アルミ(AlSi10Mgなど)軽く、熱を伝えやすい軽量部品、熱交換部品
チタン(Ti6Al4V・純チタン)軽くて強く、耐食性が高い航空宇宙・医療の部品
インコネル(718・625)高温で強度を保つニッケル合金耐熱部品、タービン周り
マルエージング鋼熱処理で高い硬さが出る金型部品、冷却水路付き入子

材料の性質を確かめる試作なら、量産と同じ系統の材料を選ぶのが基本です。

ステンレス(SUS316L・SUS630)

ステンレスは、ほとんどの受託先が扱っている材料です。公式にステンレスを挙げている主な会社は次のとおりです。

  • J・3D: SUS316L(積層厚0.02mm)
  • ODEC: 17-4PH・SUS316L・SUS420J2
  • 有我工業所: SUS316Lの特性を掲載
  • 東金属産業: SUS316L(最大250×250×300)
  • ACR: 17-4PH(SUS630相当)。積層10μmから
  • 伸和精工: 17-4PH(SUS630)

ステンレスは比較的手に入りやすく、試作の最初の材料として選ばれることが多い材料です。耐食性重視ならSUS316L、強度重視ならSUS630というように、目的を伝えて選んでください。

アルミ(AlSi10Mgなど)

アルミは、軽量化や熱交換部品で選ばれる材料です。アルミだけを扱う会社と、多くの材料の一つとして扱う会社があります。

会社アルミについての公式の記載
ホワイトインパクトアルミ専門。アルミ専用機で異材料の混入によるクラックの心配がない。最大250×250×300mm
ライト製作所アルミパウダー(AlSi10Mg)。W420×D420×H500㎜
東金属産業AlSi10Mg 最大600×600×500
J・3Dアルミニウム(積層厚0.03mm)

反対にフジは、チタンやアルミ粉末は粉塵爆発の可能性があるため対応不可としています。アルミの造形は、扱える会社を最初に確かめてください。

チタンとインコネル

チタンやインコネルは、切削では工具が傷みやすい難削材です。金属3Dプリントなら、必要な形に近い状態で作れるため、削る量を減らせます。

  • 金属技研: Ti6Al4V・Inconel718・TiAl。電子ビームとレーザーの2方式。Ti6Al4V専用機あり
  • 東レ・プレシジョン: チタン、インコネルを含む15種類の材料
  • J・3D: インコネル718、純チタン
  • オリックス・レンテック: チタン合金、インコネル、Ti6Al4V、インコネル718
  • 中央可鍛工業: Inconel625・718
  • 明楽: チタン合金、インコネル(DED)

チタンは航空宇宙や医療の部品で使われることが多く、品質管理の要求も厳しくなりがちです。品質の記録や検査が必要なら、その体制を公式に書いている会社を選んでください。

マルエージング鋼と金型用の鋼

マルエージング鋼は、造形後の時効処理で硬さを出せるため、金型部品によく使われます。冷却水路を中に通した入子を作る用途が代表的です。

  • KOEI TOOL: マルエージング。硬度HRC31-37(焼入後51-57)。SKD61の入子の造形も受託
  • 東金属産業: マルエージング鋼の時効処理を社内で完結
  • J・3D: マルエージング鋼(積層厚0.05mm)
  • ODEC: マレージング鋼
  • 伸和精工: H13工具鋼(SKD61)、A2工具鋼(SKD12)、D2工具鋼

金型部品では、硬さと冷却水路の位置を両方決める必要があります。金型メーカーが母体の会社なら、型の設計まで含めて相談できます。

銅・タングステンなど特殊な材料

銅や高融点の金属は、扱える会社が限られます。公式に挙げている会社は次のとおりです。

  • 東レ・プレシジョン: タングステン、純タンタルなど15種類
  • 日本積層造形: 100種以上の粉末で造形実績。新規開発粉末にも対応
  • ODEC: 銅合金
  • 伸和精工: 銅
  • フジ: 銅合金をPBF造形品の一部に付加造形したサンプル

特殊な材料ほど、条件出しに時間がかかり、費用も上がる傾向があります。量産で使う予定があるかどうかも、最初に伝えておくと話が早く進みます。

異材料の混入(コンタミ)への配慮

粉末を使う装置では、前に使った別の金属の粉が混ざる心配があります。これを防ぐ体制を公式に書いている会社があります。

  • 東金属産業: 材質ごとに3Dプリンタを使い分け、異金属混入を防止
  • ホワイトインパクト: アルミ専用機のため、鉄やチタンなどの混入によるクラックの心配がない
  • 伊福精密: 素材変更が必要なときは段取り費用6万円が追加

材料を切り替えるには装置の清掃が要るため、材料によっては日数や費用が加わります。混入が許されない用途では、材料ごとに装置を分けているかを聞いてください。

材料によって造形できる大きさも変わる

同じ会社でも、材料ごとに使う装置が違い、造形できる大きさが変わることがあります。東金属産業は、材料ごとの最大造形サイズを公式に分けて書いています。

材料東金属産業の最大造形サイズ最小肉厚
アルミ(AlSi10Mg)600×600×500t0.5
SUS316L250×250×300t0.3
マルエージング鋼・インバー300×300×300t0.3

大きな部品を作りたい場合は、材料と大きさの組み合わせで頼める会社が変わります。材料を先に決め、その材料で造形できる大きさを確かめてください。

材料を決める手順

材料は、部品の用途と、量産で使う材料から逆算して決めます。

  1. 量産または最終で使う材料を確認する
  2. 耐食・強度・耐熱・軽さのうち何を優先するか決める
  3. その材料を扱う会社に絞る
  4. 後加工(熱処理・表面処理)が必要かを確かめる

材料が決めきれないときは、用途と使う環境を伝えて、受託の会社から提案を受けるのが近道です。

この記事に出てくる会社

参照元

よくある質問

金属3Dプリントで一番よく使われる材料は何ですか?

掲載各社ではステンレス(SUS316L・SUS630)とアルミ(AlSi10Mg)を扱う会社が多く見られます。チタンやインコネル、マルエージング鋼は扱う会社が限られます。

アルミの金属3Dプリントはどこに頼めますか?

ホワイトインパクトとライト製作所がアルミを主に扱い、東金属産業はAlSi10Mgを最大600×600×500で造形すると書いています。フジはアルミ粉末に対応していません。

チタンの造形を頼める会社はどこですか?

金属技研(Ti6Al4V・TiAl)、東レ・プレシジョン、J・3D(純チタン)、オリックス・レンテック(Ti6Al4V)、明楽(チタン合金、DED)などが公式に挙げています。

【用途別】金属3Dプリントの受託造形おすすめ3選

※2026年10月時点の公式サイト情報をもとに編集チームが選定。選定基準。

1イチオシ

PBFで1個の試作部品を、表面・内面の仕上げまで任せるなら

東レ・プレシジョン株式会社

EOS M290を3台、材料は15種類。造形後Ra20μmの面をRa0.5μmまで磨く2次加工を一貫

滋賀県大津市の精密加工会社で、2015年からEOS M290による受託造形を行っている。EOS M290を3台(250×250×H325mm)とTRUMPF TruPrint1000を2台(Φ100×H100mm)持ち、ステンレス、インコネル、タングステン、チタン、純タンタルなど15種類の材料を使える。1個から試作し、量産品にも対応すると記載している。

東レ・プレシジョン株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

2

大型部品や異種金属の肉盛り・補修をDEDで頼むなら

株式会社明楽

粉末DEDと五面加工機のハイブリッドで最大3000×1500×1100。造形から切削仕上げまで一台

三重県員弁郡東員町の金属加工会社で、DED方式(デポジション方式)の金属3Dプリンターで受託造形を行う。粉末DEDと五面加工機のハイブリッド機は最大造形サイズ3000×1500×1100(高さ)で、切削主軸を積んで積層造形と切削を複合で行える。材料はチタン合金、インコネル、ステンレス、マルエージング鋼、コバルトクロム合金、インバー材、アルミ合金。

株式会社明楽の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

3

チタンや耐熱合金を、内部の品質まで詰めて使うなら

金属技研株式会社

電子ビームとレーザーの2方式に、HIP処理と熱処理、Ra0.2の機械加工を一貫。最低1個から

東京都中野区に本社を置く金属加工会社で、熱処理やHIP処理を中核技術に持つ。金属積層造形では電子ビームとファイバーレーザーの2種類の造形機を持ち、Ti6Al4V・Inconel718・TiAlに対応する。造形エリアはレーザー機で最大275W×275L×420Hmm、Ti6Al4V専用機でΦ350×380Hmm。最低1個から対応すると記載している。

金属技研株式会社の公式サイトへ当サイトの紹介を読む

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