CMP装置 · 基礎知識
CMPの研磨対象別の違い|Si・SiC・サファイア・Cu・酸化膜・化合物半導体・ガラスで何が変わるか【2026年版】
CMPは、何を磨くかで装置もスラリーも条件も変わります。掲載会社の公式情報から、基板と膜の種類ごとに、対応をうたう装置と受託の例を整理しました。
CMPで磨く物は、大きく分けて、基板そのものと、基板の上につけた膜の2つです。ベアウェーハを鏡面にするのか、配線の金属膜を平らにするのかで、求められることがまったく違います。
この記事では、研磨対象ごとに、掲載会社が公式に挙げている装置と受託の例を整理します。
研磨対象を一覧で比べる
まず、研磨対象ごとに、公式に対応や事例を挙げている会社を並べます。
| 研磨対象 | 公式に挙げている会社(例) |
|---|---|
| シリコンベアウェーハ | スピードファム(FAM59SPAW/FAM50SPAW)、岡本工作機械製作所(材料ウエーハ用ポリッシャー)、ダイトロン(MCP-302) |
| SiC | ディスコ(DFP8141)、東京精密(ChaMP211)、北川グレステック(受託)、ティ・ディ・シー(受託)、日本エンギス(事例) |
| サファイア・LT・LN | ディスコ(DFP8141)、北川グレステック(LEDサファイア)、ティ・ディ・シー(LT&水晶) |
| Cu・Au・Tiなどの金属膜 | 北川グレステック(受託)、マイポックス(メタル膜のCMP受託) |
| SiO2・SiNなどの絶縁膜 | 北川グレステック(受託)、マイポックス(絶縁膜のCMP受託) |
| 化合物半導体(InP・GaAs・GaSb) | 日本エンギス(貼付・研削・CMPの事例)、ラップジャパン(小径の化合物半導体ウェハ) |
| ガラス | ティ・ディ・シー(テンパックスガラス)、北川グレステック(TGV) |
装置メーカーが対応をうたう対象と、受託で実績がある対象は必ずしも同じではありません。自社の材料に近い実績を持つ会社から当たってください。
シリコンのベアウェーハ
シリコンのベアウェーハは、鏡面に仕上げる研磨が中心です。デバイスの膜のCMPとは別の装置が使われることが多い分野です。
- スピードファム: シリコンベアウェーハ向け自動片面研磨装置FAM59SPAW・FAM50SPAW。セラミックプレート自動搬送、超低熱膨張定盤
- 岡本工作機械製作所: エッヂプロファイルと除去量均一性を高めた材料ウエーハ用全自動ポリッシャー
- ダイトロン MCP-302: φ300mmを枚葉で全自動ポリッシング。オプションで一次・二次・仕上げに対応
北川グレステックは、ベアウェーハの原料はシリコンが主流だが、セラミクスやSiC、GaNの需要も増えていると説明しています。
SiC・サファイアなどの硬脆材料
SiCやサファイアは硬く、割れやすい材料です。削れる速さが遅く、専用の装置や条件が求められます。
| 会社 | 公式記載の内容 |
|---|---|
| ディスコ DFP8141 | サファイアやSiCなど硬脆材料の加工に特化したCMPポリッシャ。サファイア、SiC、LT、LNなどのCMPに対応 |
| 東京精密 ChaMP211 | SiCやMEMS、マイクロLED、SAWフィルター等のデバイスに最適 |
| 日本エンギス | SiCパワー半導体で、2軸研削盤HVG-300DSOとポリッシング装置(ダイヤモンド砥粒もしくはCMPスラリー)の事例 |
| ティ・ディ・シー | SiCウエハで表面粗さRa0.1nm以下(接合用基板)の加工事例 |
硬脆材料では、研削で厚さを合わせ、ラップやポリッシュで傷を減らし、最後にCMPで仕上げる流れが一般的です。研削から一貫して相談できる会社を選ぶと、工程の間の受け渡しが楽になります。
金属膜(Cu・Au・Ti)とダマシン
配線の金属膜のCMPでは、溝に埋めた金属の余分な部分だけを除きます。削りすぎると配線が細くなり、削り残すとショートの原因になります。
- 北川グレステック: 埋め込み配線等を形成するプロセスで不要な膜をCMPで除去。金属等膜材料はAu、Cu、Tiなど
- 北川グレステック: TSV(Si貫通電極)、TGV(ガラス貫通電極)、ダマシンプロセスの実績
- マイポックス: メタル膜などのCMPを受託
- 荏原製作所: めっき装置(UFP600AS型)も同じカテゴリで製品化
金属膜のCMPでは、終点の見極めが大事になります。量産機の終点検出の仕組みは、荏原製作所や東京精密が製品ページで紹介しています。
絶縁膜(SiO2・SiN)と層間の平坦化
多層配線を作るときは、層を重ねるたびにできる段差を平らにします。北川グレステックは、段差や層間膜の高精度な平坦化は多層配線に必要不可欠だと説明しています。
- 北川グレステック: 層間膜の平坦化。膜材料はSiO2、SiN、樹脂、セラミックなど
- マイポックス: 絶縁膜、樹脂膜のCMPを受託
絶縁膜の平坦化は、膜の下の模様の密度で削れ方が変わります。テスト用のパターンを使って、面内の均一さを確かめてから条件を決めてください。
化合物半導体とガラス
InPやGaAsなどの化合物半導体は、薄く仕上げる工程でCMPが使われます。ガラスは、流路や貫通電極を作る基板として研磨されます。
| 会社 | 公式記載の内容 |
|---|---|
| 日本エンギス | InP、GaAs、GaSbなどを貼付・研削・ポリッシングで板厚100µm以下に仕上げる工程。CMPで研削痕と残留応力を除去 |
| ラップジャパン LM-15 | 小径の化合物半導体ウェハのCMP加工の研究開発装置として最適 |
| ティ・ディ・シー | テンパックスガラスで仕上げの厚み公差±1um(流路の深さ管理) |
| 北川グレステック | TGV(ガラス貫通電極)の実績 |
化合物半導体のウェーハは小径のものが多く、大きな装置では扱いにくいことがあります。小径に合う装置や治具を持つ会社を選んでください。
日本エンギスの事例では、貼り付けの段階で接着のばらつきを1µm未満に抑えたと書いています。薄く仕上げる工程では、研磨の前の貼り付けの精度も結果を左右します。
材料が決まったら、相談の前に用意するもの
研磨対象が決まったら、次の情報をそろえて相談すると、装置や受託の提案が具体的になります。
- 基板の材料と、膜の材料・厚さ(膜があれば)
- ウェーハや試料のサイズと枚数
- 目標の表面粗さ、平坦度、残す膜の厚さ
- 前後の工程(研削、洗浄、接合など)
- 使いたいスラリーやパッドの指定があるか
ティ・ディ・シーは材料の提案・調達や試験片の製作にも対応すると書いています。材料の入手から相談したい場合は、受託研磨の会社も候補に入れてください。
材料が新しいほど、公開されている事例は少なくなります。近い材料の事例を手がかりに、複数の会社に同じ条件で相談して比べてください。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社東京精密SiC・MEMSを開発から量産まで
- ダイトロン株式会社300mmベアウェーハの枚葉研磨
- 株式会社ディスコ硬脆材料を全自動で
- 株式会社荏原製作所量産ラインのCMPなら
- 日本エンギス株式会社化合物半導体の薄化なら
- 北川グレステック株式会社開発用装置と受託を一社で
- ラップジャパン株式会社消耗品評価の卓上機なら
- マイポックス株式会社受託でまず試すなら
- 株式会社岡本工作機械製作所研削から仕上げポリッシュまで
- スピードファム株式会社ベアウェーハの片面研磨なら
- 株式会社ティ・ディ・シー接合前の平滑化を1点から
参照元
よくある質問
SiCのCMPに対応している装置は?
ディスコのDFP8141はサファイアやSiCなど硬脆材料に特化したCMPポリッシャで、東京精密のChaMP211はSiCやMEMS向けの小型CMP装置です。受託では北川グレステックとティ・ディ・シーがSiCの対応や事例を挙げています。
Cu配線のCMPを外注できますか?
北川グレステックは、埋め込み配線のプロセスで不要な膜をCMPで除去する受託を行い、Cu、Au、Tiなどの膜材料とダマシンプロセスの実績を書いています。マイポックスもメタル膜のCMPを受託しています。
化合物半導体を薄くするには?
日本エンギスは、InP、GaAs、GaSbなどを貼り付け、研削、CMPの順に加工し、板厚100µm以下に仕上げる工程をデモラボの事例として紹介しています。
【用途別】CMP装置メーカーおすすめ3選
研究開発用の装置を、受託でプロセスを試してから選ぶなら
北川グレステック株式会社
卓上型から3インチ〜300mmのCMP実験装置まで。SiC・TSV・ダマシンの受託CMPも同じ会社で
試験・量産用のCMP装置をウェハサイズに合わせて案内し、マニュアルローディングのCMP実験装置は3インチ〜150mm/200mm/300mmをドレス機構付きでそろえる。卓上型は酸性・アルカリ性のあらゆるスラリーに対応。CMP受託加工ではプロセス開発・試作・消耗品評価を請け負い、SiCパワーデバイス、SOI、MEMS、TSV、TGV、ダマシンプロセスの実績を公式に記載。
SiC・MEMSなど8インチ以下のデバイスを、開発から量産まで同じ装置で
株式会社東京精密
小型CMP装置ChaMP211は2〜8インチの研磨ヘッドで、R&Dから試作、量産まで拡張可能。300mm機ChaMP332も
ChaMP211は量産ラインで培った技術を載せた小型のCMP装置で、SiCやMEMS、マイクロLED、SAWフィルター等のデバイスに最適と記載。2〜8インチの研磨ヘッドで同じ本体のまま異なるウェーハサイズを研磨でき、ウェーハローダと洗浄ユニットを積んでフルオート動作が可能。エアフロート式ヘッドSylphideと白色光の終点検出を備える。
半導体工場の量産ラインに、スループット重視で入れるなら
株式会社荏原製作所
F-REX300XA型は1テーブル1ヘッドのデュアルモジュール方式。終点検出とインライン膜厚測定はオプション
F-REX型はウェーハ表面を化学的機械的に研磨するクリーンルーム設置型のCMP装置で、ドライイン/ドライアウト、多段薬液洗浄に対応。F-REX300XA型は新開発の高効率搬送機構とWPH最適化アルゴリズムを搭載し、1テーブル1ヘッド、デュアルモジュール方式、クロスコンタミ対策、改造が容易なモジュール構造を備え、F-REX300X型比で約10%の消費電力削減をうたう。