CMP装置 · 基礎知識
CMP装置の種類とウェハサイズの選び方|卓上・マニュアル・フルオート・枚葉・片面研磨の違い【2026年版】
CMP装置は、研究室向けの卓上機から、量産ラインのフルオート機まで形がさまざまです。掲載会社の公式情報から、装置の形ごとの違いと、対応ウェハサイズの読み方、選び方の順番を整理しました。
CMP装置を探し始めると、卓上型、マニュアル、セミオート、フルオート、枚葉、片面研磨など、いろいろな呼び方が出てきます。呼び方の違いは、ウェーハの載せ降ろしと洗浄を人がするか、機械がするかの違いでおおむね整理できます。
この記事では、掲載会社の公式情報をもとに、装置の形と対応ウェハサイズの選び方を整理します。
装置の形を一覧で比べる
まず全体像です。自動化の範囲が広いほど、装置は大きく、処理できる枚数は多くなります。
| 形 | 人がすること | 掲載会社の例(公式記載) |
|---|---|---|
| 卓上型 | ウェーハや試料の載せ降ろし、洗浄 | 北川グレステック、ケメット・ジャパンMAT事業部(BC-15CN)、ラップジャパン(LM-15)、ムサシノ電子 |
| マニュアル(R&D用) | 載せ降ろし、条件の設定 | ミクロ技研(MGP-15S/612/712)、北川グレステック(マニュアルローディングCMP実験装置) |
| セミオート | 載せ降ろし(研磨の工程は自動) | Mini-Lab CMP100(一次・二次ポリッシュとリンスの3プロセス) |
| フルオート(カセットtoカセット) | カセットの出し入れ | ディスコ DFP8141、東京精密 ChaMP211(ウェーハローダ搭載でフルオート動作が可能)、ダイトロン MCP-302 |
| 量産ライン向け(ドライイン/ドライアウト) | カセットの出し入れ | 荏原製作所 F-REX型・F-REX300XA型 |
研究開発の段階では、条件を細かく変えて試せるマニュアル機が便利です。量産では、人の手を介さないことが品質と処理量の両方に効きます。
対応ウェハサイズの読み方
対応ウェハサイズは、装置の選び方の出発点です。最大径だけでなく、どこまで小さい試料に対応するかも確かめてください。
| 会社・製品 | 対応サイズ(公式記載) |
|---|---|
| Mini-Lab CMP100 | ウエハ最大径φ4"(φ100mm) |
| ラップジャパン LM-24-CMP | Φ4"、Φ6"、Φ8" |
| 東京精密 ChaMP211 | 2〜8インチ研磨ヘッドを提供可能 |
| ミクロ技研 | φ100mm、φ200mm、φ300mm(機種別) |
| 北川グレステック(マニュアル実験装置) | 3インチ〜150mm、3インチ〜200mm、3インチ〜300mm |
| ケメット・ジャパンMAT事業部 | チップサイズ〜φ300mm |
| 東京精密 ChaMP332/ダイトロン MCP-302 | 300mm |
| ディスコ DFP8141 | Φ200mm(研磨可能ウェーハ径Φ8 inch) |
| 岡本工作機械製作所 PNX1200 | 450mmウェハー用(ファイナルポリッシャー) |
チップや小片を磨きたい場合は、チップ対応をうたう機種が向きます。ケメット・ジャパンMAT事業部のBC-15CNは、チップ基板対応のCMP実験装置です。
1台で複数のサイズを扱う
研究開発では、扱うウェーハのサイズが途中で変わることがあります。ヘッドや治具の交換で複数サイズを扱える装置があります。
- 東京精密 ChaMP211: 同じボディ上で、異なるウェーハサイズの研磨が可能
- ラップジャパン LM-24-CMP: ポリッシングヘッドはワンタッチで交換可能
- ミクロ技研: 研磨ヘッドとポリッシングプレートが容易に交換可能
- 北川グレステック: 試験・量産用の装置をウェハサイズに合わせて案内し、オーダーメイドにも対応
サイズを替えるたびに条件の出し直しが要る点は、どの装置でも同じです。交換部品の価格と納期もあわせて聞いておいてください。
枚葉か、複数枚を同時に磨くか
ウェーハを1枚ずつ磨くか、複数枚を一度に磨くかでも装置の形が変わります。公式の記載から、同時に磨ける枚数の例を並べます。
| 会社・製品 | 公式記載の内容 |
|---|---|
| ダイトロン MCP-302 | ウェーハ枚葉研磨装置。2軸のトップリングで同時に2枚のポリッシングが可能 |
| ラップジャパン LM-24-CMP | ポリッシングヘッド2軸で2枚のワーク加工か、片側でインラインドレッシング |
| 荏原製作所 F-REX300XA型 | 1テーブル1ヘッド、デュアルモジュール方式 |
| スピードファム FAMシリーズ | 定盤径12〜48インチの片面研磨装置(ラップ、ハードポリッシュ、ポリッシュに対応) |
デバイスウェーハのCMPは、1枚ごとに条件を管理できる枚葉が中心です。ベアウェーハや基板の研磨では、大きな定盤で複数枚を磨く片面研磨装置も使われます。
CMP専用機と、研磨装置でCMPもできる機種
装置には、CMP専用として作られたものと、ラップやポリッシュの装置でCMPもできるものがあります。目的に合う方を選んでください。
- CMP専用: 荏原製作所 F-REX型、東京精密 ChaMPシリーズ、ディスコ DFP8141、ミクロ技研、Mini-Lab、北川グレステック、ケメット・ジャパンMAT事業部、ラップジャパン
- 研磨装置でCMPまで対応: ムサシノ電子(研磨盤と研磨剤の選び方でCMPまで対応と記載)、日本エンギス(ダイヤモンド砥粒もしくはCMPスラリーを使うポリッシング装置の事例)
- ベアウェーハのポリッシュ: ダイトロン MCP-302、スピードファム FAMシリーズ、岡本工作機械製作所 PNXシリーズ
結晶の試料や小さな部品を磨く研究なら、研磨装置でCMPまでできる機種が使いやすいことがあります。デバイスの膜を平らにするなら、CMP専用機を選んでください。
設置場所とユーティリティを確かめる
CMP装置は、電源のほかに、純水、圧縮空気、冷却水、排水が要ります。小型機でも、置き場所の準備は欠かせません。
| 会社・製品 | ユーティリティ・寸法(公式記載) |
|---|---|
| Mini-Lab CMP100 | 3相200V、クリーンドライエアー5.0kg/c㎡以上、純水1.5kg/c㎡以上、チラーは別途オプション |
| ダイトロン MCP-302 | W1680×D2600×H2200mm、約4,500kgw、研磨定盤は工場冷却水で温度を一定に |
| ディスコ DFP8141 | 装置寸法900×2,584×2,000mm |
研究室では、純水と排水の設備がないことが導入の壁になりがちです。装置を決める前に、建物の設備担当と配管の経路を確かめてください。
迷ったときの選ぶ順番
装置の形は、次の順番で決めると迷いにくくなります。
- 研磨したい物の最大サイズと最小サイズを決める
- 1日に磨きたい枚数と、条件を変えて試す頻度を決める
- マニュアルでよいか、カセットtoカセットが要るかを決める
- 研磨対象に合うCMP専用機か、研磨装置かを選ぶ
- 設置場所の電源、純水、排水、床の強さを確かめる
迷う段階なら、受託やテスト加工で一度磨いてみるのも有効です。北川グレステックは千葉テクニカルセンターで実機を見られると書いています。
この記事に出てくるメーカー
- 株式会社東京精密SiC・MEMSを開発から量産まで
- ダイトロン株式会社300mmベアウェーハの枚葉研磨
- 株式会社ディスコ硬脆材料を全自動で
- 株式会社荏原製作所量産ラインのCMPなら
- 日本エンギス株式会社化合物半導体の薄化なら
- ケメット・ジャパン株式会社 MAT事業部(エム・エー・ティ)チップ・小片からの実験なら
- 北川グレステック株式会社開発用装置と受託を一社で
- ラップジャパン株式会社消耗品評価の卓上機なら
- ミクロ技研株式会社300mmまでのR&D機なら
- Mini-Lab株式会社4インチまでの小型機なら
- ムサシノ電子株式会社研究室の試料研磨なら
- 株式会社岡本工作機械製作所研削から仕上げポリッシュまで
参照元
よくある質問
研究室にはどの形の装置が向いていますか?
条件を細かく変えて試すなら、マニュアルの卓上機かR&D用機が向きます。Mini-LabのCMP100(最大φ100mm)、ミクロ技研のφ100〜300mmのマニュアル機、北川グレステックやケメット・ジャパンMAT事業部の実験装置があります。
1台で複数のウェーハサイズを磨けますか?
東京精密のChaMP211は2〜8インチの研磨ヘッドを用意し、同じ本体で異なるウェーハサイズを研磨できるとしています。ラップジャパンのLM-24-CMPはΦ4"・Φ6"・Φ8"に対応します。
チップや小片も磨けますか?
ケメット・ジャパンMAT事業部はチップサイズからの実験装置をそろえ、BC-15CNをチップ基板対応のCMP実験装置としています。受託ではマイポックスが小片やチップに対応しています。
【用途別】CMP装置メーカーおすすめ3選
研究開発用の装置を、受託でプロセスを試してから選ぶなら
北川グレステック株式会社
卓上型から3インチ〜300mmのCMP実験装置まで。SiC・TSV・ダマシンの受託CMPも同じ会社で
試験・量産用のCMP装置をウェハサイズに合わせて案内し、マニュアルローディングのCMP実験装置は3インチ〜150mm/200mm/300mmをドレス機構付きでそろえる。卓上型は酸性・アルカリ性のあらゆるスラリーに対応。CMP受託加工ではプロセス開発・試作・消耗品評価を請け負い、SiCパワーデバイス、SOI、MEMS、TSV、TGV、ダマシンプロセスの実績を公式に記載。
SiC・MEMSなど8インチ以下のデバイスを、開発から量産まで同じ装置で
株式会社東京精密
小型CMP装置ChaMP211は2〜8インチの研磨ヘッドで、R&Dから試作、量産まで拡張可能。300mm機ChaMP332も
ChaMP211は量産ラインで培った技術を載せた小型のCMP装置で、SiCやMEMS、マイクロLED、SAWフィルター等のデバイスに最適と記載。2〜8インチの研磨ヘッドで同じ本体のまま異なるウェーハサイズを研磨でき、ウェーハローダと洗浄ユニットを積んでフルオート動作が可能。エアフロート式ヘッドSylphideと白色光の終点検出を備える。
半導体工場の量産ラインに、スループット重視で入れるなら
株式会社荏原製作所
F-REX300XA型は1テーブル1ヘッドのデュアルモジュール方式。終点検出とインライン膜厚測定はオプション
F-REX型はウェーハ表面を化学的機械的に研磨するクリーンルーム設置型のCMP装置で、ドライイン/ドライアウト、多段薬液洗浄に対応。F-REX300XA型は新開発の高効率搬送機構とWPH最適化アルゴリズムを搭載し、1テーブル1ヘッド、デュアルモジュール方式、クロスコンタミ対策、改造が容易なモジュール構造を備え、F-REX300X型比で約10%の消費電力削減をうたう。