AI-OCR · 基礎知識
導入事例から見るAI-OCRの選び方帳票・件数・数字の種類で事例を読み比べる【2026年版】
AI-OCRの導入事例を、帳票の種類、人の確認がどれだけ残るか、実績と試算の違い、料金の数え方、個人情報の扱いの観点で読み比べました。掲載各社の公式事例ページの記載をもとに、自社の検討に生かす手順をまとめます。

AI-OCRの導入事例には、何時間削減、何分の1に短縮といった数字が並びます。ただ、その数字は帳票の種類や件数、比べ方の条件がそろっていないと、自社に当てはめられません。
この記事では、掲載各社が公式サイトに載せている導入事例を読み比べ、選び方に生かす見方を整理します。社名と数字は、各社の事例ページの記載どおりです。
事例の数字を読む前にそろえる3つの条件
同じ時間削減でも、何を何件読んだ結果なのかで意味が変わります。まず次の3点を事例ページから拾ってください。
- 対象の帳票: 口座振替依頼書、FAX注文書、請求書、手書きの申込書など、どの書類を読んだか
- 件数と体制: 月に何枚、何人で処理していたか(エントリーは月1万枚以上の勤怠管理表、日研フードは多い月で5,800件ほどの受注)
- 比べ方: 導入後の実績か、トライアル時の比較か、件数を掛けた試算や見込みか
この3点が自社の業務と近い事例ほど、導入後の姿を思い描きやすくなります。逆に条件が遠い事例の大きな数字は、参考程度にとどめるのが安全です。
帳票の種類で事例を探す
選び方の第一歩は、自社と同じ帳票を読んでいる事例を探すことです。掲載各社の事例を帳票別に並べると、次のようになります。
| 帳票 | 導入企業(製品) | 事例ページに記載の成果 |
|---|---|---|
| FAX注文書 | 株式会社 ニイタカ(スマートOCR) | 毎月約50時間の作業が平均で3分の1ぐらいに短縮 |
| FAX注文書 | 日研フード株式会社(AnyForm OCR) | 基幹システムへの入力時間が半減 |
| 口座振替依頼書 | 住信SBIネット銀行株式会社(DX Suite) | 手入力に対して処理時間基準で6倍の削減効果(効果欄の記載。本文では約6倍の効率化を想定) |
| 住宅ローン仮審査申込書 | 株式会社広島銀行(DX Suite) | 1枚あたり25分から8分に削減 |
| 手書きの返信FAX | 株式会社グリーンクロス(PATPOST) | 1件あたり30秒から5秒へ短縮 |
| 給与支払報告書 | キステム株式会社(DynaEye 給与支払報告書OCR) | 7万件のうち4万5000件をOCRで処理 |
FAX注文書は、取引先ごとに書式が違う点で多くの会社に共通します。広島銀行のように、AI-OCRとRPAをつないで入力を一つの拠点に集めた例もあります。
人の確認がどれだけ残るかを見る
AI-OCRの事例でも、読み取った結果を人が確かめる工程はたいてい残ります。効果は、入力がなくなったというより、確認だけで済むようになったという書き方が多く見られます。
- 住信SBIネット銀行: 入力・チェック体制の1名分をAI-OCRで代替
- 株式会社東丸産業(おまかせAI OCR): 2人がかりの入力業務をほぼ1人で完結
- 株式会社MAYB3(DX Suite): 月間300〜500枚の処理で、確認作業は1日あたり数分
- 辻・本郷税理士法人(AIよみと~る): 自動入力されたデータを一人が確認するだけになった
確認の工程を誰が担うかまで書かれた事例は、社内の体制を組むときの参考になります。導入前に、確認と修正をする人の時間も見積もっておいてください。
実績と試算と見込みを分けて読む
事例の数字には、導入後に測った実績と、件数を掛けた試算や見込みが混ざっています。どちらの数字かは、本文の書き方で見分けられます。
| 導入企業 | 数字の種類 | 記載の内容 |
|---|---|---|
| 株式会社大京アステージ(PATPOST) | 試算 | 1件30分から15分への短縮を16,400件に当てはめ、年間4,100時間の削減見込み |
| 岡谷薄板販売株式会社(AIRead) | 見込み | 注文1件の手入力を約2分とし、1カ月あたり約15時間と約18時間の削減効果を見込む |
| 株式会社タイミー(SmartRead) | 実績と見込み | 導入時に月約20時間の削減、件数の増加で月約30時間以上を見込む |
| 株式会社ジェイエーアメニティーハウス(AIよみと~る) | トライアル時の比較 | 申込書400枚で、1件1分30秒以上の投入時間が半減 |
試算や見込みが悪いわけではありませんが、前提の件数や1件あたりの時間は自社の値に置き換えて計算し直してください。トライアルの数字は、本番の量や帳票の種類が増えたときに変わることがあります。
料金の数え方が選定理由になった事例
事例を読むと、読み取り精度だけでなく料金の数え方で製品を選んだ会社があります。1枚あたりの項目数が多い帳票ほど、この差が効いてきます。
- 鈴与商事株式会社(AIRead): 項目の多い注文書を大量に扱うため、読み取り枚数ごとの料金体系を選定理由に挙げている
- 株式会社 ニイタカ(スマートOCR): 月1000件がランニングコストの採算ラインで、試験導入から1年で到達
- 株式会社リカ・インターナショナル(スマートOCR): 運用コストを約10分の1に抑えたと記載
自社の帳票が1枚に何項目あるかを数えてから、枚数で数える製品と項目で数える製品を比べてください。料金の数え方の違いは、AI-OCRのおすすめ比較ページにある費用の目安の表でも確かめられます。
個人情報を扱う現場の事例
自治体や医療の事例では、読み取り精度に加えて、書類をどこで処理するかが論点になっています。社外のクラウドに出せない書類があるかを先に決めておくと、候補を絞りやすくなります。
- 広島県府中市(GenOCR): 個人情報を庁外のサーバーに上げることは慎重に判断していると記載
- 順風会 健診センター(DynaEye): 問診票をOCR処理して健診システムに自動入力
- 一般財団法人淳風会(PATPOST): 健診システム本体は改修せず、RPAと組み合わせて運用
同じ医療・健診の分野でも、社内で処理する製品とクラウドの製品の両方に事例があります。自社の情報の扱いのルールと照らして、近い形の事例を選んで読んでください。
事例を問い合わせに生かす手順
気になる事例が見つかったら、そのまま問い合わせの材料にできます。次の順に進めると、見積とトライアルの話が早くまとまります。
- 自社と同じ帳票・近い件数の事例を2〜3件選ぶ
- 事例の数字が実績か試算かを確かめ、自社の件数で計算し直す
- 確認と修正を担う人と時間を決めておく
- 事例と同じ帳票で困っているものを10〜20枚用意し、トライアルで読ませる
- 料金の数え方(枚数・項目・回数)に自社の量を当てはめて年間の総額を出す
事例ページの成果は、その会社の条件で出た数字です。自社の帳票で試した結果と並べて比べるのが、いちばん確かな選び方です。
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よくある質問
導入事例の時間削減の数字はそのまま自社に当てはまりますか?
当てはまるとは限りません。事例ごとに帳票の種類、件数、比べ方(実績・試算・見込み・トライアル時の比較)が違うため、前提の件数や1件あたりの時間を自社の値に置き換えて計算し直してください。
AI-OCRを入れると人の入力作業はゼロになりますか?
掲載各社の事例でも、読み取った結果を人が確かめる工程は多くの場合残っています。住信SBIネット銀行は入力・チェック体制の1名分を代替、東丸産業は2人がかりの入力をほぼ1人で完結、という書き方です。
自治体や医療機関の事例はありますか?
あります。広島県府中市(GenOCR)、順風会 健診センター(DynaEye)、一般財団法人淳風会(PATPOST)などの事例が各社の公式サイトに掲載されています。書類をどこで処理するかの考え方も事例ごとに違います。
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